戦艦
現代において戦艦は主力兵器の座を空母に追われ、そしてその空母さえも費用対効果を疑問視され、ミサイル艇の方が有用な兵器なのではないかと言われ始めています。そして過去の遺物として残った数少ない戦艦は、上陸支援・対地砲爆撃といった限られた任務でしか使い道が無く、わざわざ新造するものではなくなっています。
時代の流れが逆戻りすることはなく、この未来世界においても戦艦は同じような境遇に置かれています。しかし戦艦は完全にその役目を終えてしまったのでしょうか?ここでは戦艦の果たすべき役割について考えてみます。
また序盤を乗り越えた初心者の中には、要塞化された前線を攻めあぐねる人がいるかもしれませんが、以下はその解決のためのヒントにもなるでしょう。
確かに戦艦(B,B1,B2,BB)は、コストも維持費も高く、建造には2ターンかかり、平時にはすぐ退役してしまうにもかかわらず、戦闘ではミサイル艇や打撃巡洋艦に簡単に沈められてしまいます。これは戦艦が、宇宙戦闘での決戦兵器ではない事を意味しています。
では戦艦は一体何のために存在しているのでしょうか?その答は、インペリウムの華とも言える惑星攻略戦です。
大きな爆撃力、対空射撃に対する高い防御力、地上軍を搭載して上陸させる能力。まさに強襲上陸のためと言える能力が揃っています。互いの戦力が強大化してくるキャンペーン中盤以降の上陸作戦において、戦艦は重要な役割を担うことになるでしょう。
しかし同じ戦艦でも、地球と帝国ではその位置付けが異なっています。そこに注意しながら、戦艦の具体的な活用について考えてみましょう。
地球
どちらも大きな軍事的成功を収めることがないまま、キャンペーン中盤を迎えた場合、地球は毎ターン50程度の収入を得ることができるようになります。そうなると巡洋艦以下の艦を全て作り尽くしてしまえるほどの資源が、じきにたまるでしょう。
地球は巡洋艦以下全てで248爆撃力を持ち、これは5.9個の砲台を黙らせることができます。砲台の数は最大で11個なので、帝国が3つの前線基地に均等に配置すると、多いところでも砲台は4個しか置けません。したがってこれだけの爆撃力があれば、完全に対空射撃を制圧できるように見えます。
しかし整備不良やそれまでの戦闘での損失により、実際に使える爆撃力はそれより少なくなります。もしかすると帝国は、アジッダ上空にモニター艦や戦闘機を含む艦隊を配置して、この方面の侵攻を宇宙で阻止し、砲台をシリウス方面に5個づつ配置してくるかもしれません。そういった理由により爆撃力が不足してしまうと、上陸作戦は危険なものになってしまいます。
また上陸時に前哨基地や砲台を同時に輸送し、領土の交換で敵前哨基地を除去したり、占領したばかりの基地への反撃を防ぎたい場合もあります。しかし輸送艦の数は限られているので、輸送力が足りずに大きなチャンスを逃すこともよくあります。
そんな時に戦艦は、勝利を決める切り札となるのです。
もし単に爆撃力や輸送力が欲しい場合、それらの能力はBBと同等で、建造コストが2割も安いBの方が有利です。
しかし帝国の前線に居る戦闘機やモニター艦を、排除しつつ爆撃したい時には、遠距離では戦闘機を、近距離ではモニター艦さえ一方的に破壊できるBBが、その威力を発揮します。状況によってどちらを建造するか決めてください。
帝国
帝国の場合戦艦には建造制限があるので、上陸のためにあと一歩の戦力が欲しいという時でも、必ずしもその時に造れるとは限りません。
しかも建造制限の無い艦を全て造っても、160爆撃力3.8回分にしかなりません。モニター艦の100爆撃力を加えれば、260爆撃力6.2回分になりますが、モニター艦は片側でしか使えません。
したがって地球が十分な砲台と地上戦力を揃えてしまったら、2つ以上の艦種で建造許可をもらわない限り、前線の基地を直接上陸で奪取するのは難しくなってしまいます。
このように帝国の戦艦は、地球に比べると上陸作戦の切り札としての意味は薄くなっています。しかし帝国の戦艦には、代わりに別の役割があります。
バランスのための直訴制限ルール(自作ルールB、国際通信社版の戦略的バリアント1,2など)を使っていて、あまり大戦闘が起こらず互いに軍備を強化し合う状況が続いた場合、先に述べたように、最終的には地球だけが前線を破る能力を得てしまうことが多いでしょう。
そこで帝国は、できればそうなる前に状況を有利にしたいところです。そしてその手段の一つとして、初期の戦力差を利用して地球に消耗戦を仕掛け、戦力差を拡大する戦略が考えられます。
この消耗戦略を行う時に、帝国の補充は大きな助けになりますが、戦艦があるとこの効率が高まるのです。補充は毎ターン1ユニットに限られているので、当然できるだけ高価な艦を補充した方が有利ということです。
地球の戦艦の場合、長期間使うには整備が大変ですが、帝国なら出てくる度に戦闘で消費すれば、整備のコストはかかりません。いくら倒してもすぐに復活してくる戦艦は、地球にとって大きな脅威となるでしょう。
また帝国の巡洋艦以下の艦は、近距離において、地球の重巡洋艦にほとんど歯が立ちません。しかし戦艦なら、歯が立たないのは逆に地球の重巡の方です。地球の重巡が増えてきたら、戦艦は有力な対抗兵器ともなるでしょう。
そして地球の戦力をすり減らすことに成功し、地球が地上か宇宙のどちらかを守り切れなくなったら、いよいよ本攻勢です。
地球が砲台設置を優先していて、宇宙で突破できたなら、地球の序盤戦略で書いたようなワールドの封鎖と占領も、もちろん有効です。しかし戦力の整ったキャンペーン中盤では、プロキシマケンタウリ、ジャンクション、サーペドンを占領して、そこに前哨基地を置くと、平時の交換でプロキオンの砲台群ごと大量の前哨基地を除去でき、効果的です。
もし地球がそれを恐れて宇宙艦の生産を優先し、前線対空力に不足を生じるようになれば、その時こそ戦艦が本来の惑星攻略艦としての力を発揮することでしょう。
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