地球の序盤戦略
帝国の攻撃パターン
開始時において、戦力では帝国が圧倒的に勝っていますが、生産力では地球が上回っています。従って序盤の地球の目標は、帝国の攻撃を防いで持久戦に持ち込むことにより、生産力の優越を生かすことです。
帝国の強力な攻撃を防ぐには、その攻撃パターンを知り、それぞれに対策を講じなければなりません。それは大きく分けて3つあります。
1.プロキオンまたはバーナード星に、無爆撃降下
単純ですが非常に脅威です。どちらの星系も失うと領域の防御が極めて困難になる重要星系です。
対策は基本的に砲台・地上軍の増強しかありません。しかし輸送艦を置くことで多少の時間稼ぎにはなります。
2.バーナード星突破
帝国は全艦をアジッダに初期配置し、反撃フェイズにバーナード星へジャンプします。第2地球フェイズで撃退できなければ、帝国は自軍ターンでほぼ確実にソル・アルファケンタウリの恒星ヘクスに戦闘艦を配置します。すると地球の前哨基地は全て連絡切れになり、次の地球の収入は20ルーに落ちてしまいます。
そればかりかもし帝国がワールドを一つ占領すれば、次の地球の収入はわずか14ルーで、それより後も戦争終結まで8ルー減ったままになります。これも単純で強力な攻撃です。
これには全艦で攻撃するしかありません。戦力で劣っているので、整備されたモニター艦の参加が必須になります。またタンカーを作ってシリウスを越えられるようにし、帝国の攻撃失敗のリスクを高めることも、大きな抑止力になります。
3.プロキオン突破
これも狙いは2.と同じですが、対策が違うので別項目にしました。
帝国の攻撃は1ターンに3回なので、3線防御を敷けばソル到達を防げます。つまり第1線をシリウス、第2線をプロキオン、第3線をジャンクション、ハデス、インフェルノとし、それぞれに偵察艦を配置すればいいのです。
もし帝国が反撃フェイズにシリウスを占領しなければ、当然第3線は不要になります。
これらは第1ターンの攻撃パターンですが、第2ターン以降も常に似たような攻撃があり得ることを忘れないでください。
最初の生産
まず序盤は地球・帝国を問わず大型艦を作ろうなどと考えてはいけません。大型艦は建造費が高いのはもちろん、維持費が高いため後の生産に大きな負担となります。しかも戦闘では艦数で勝っていない限り、真っ先にミサイル艇や打撃巡洋艦の目標となってしまいます。その力は降下作戦を行えるほど戦力が整って、初めて発揮できるのです。
では最初の生産で必要となるものを説明していきましょう
注 オリジナルルール(特に第2版)の場合、主力艦は中盤になってもいま一つ使いにくいと思います。そのような時は自作ルールの使用をお勧めします。
モニター艦の維持費
バーナード星突破に対抗するためです。アジッダ方面にいるのが帝国全軍でないなら、サイコロを振る手もあります。
降下兵
帝国が地上軍を増強して、第2ターンに無爆撃降下を仕掛けてきた場合、初期戦力では足りません。防御射撃を考えに入れても、費用対戦闘力は一般兵より勝ります。
戦闘機
帝国が第2ターンにバーナード星突破をかけてきた場合、反撃の主力になります。防御兵器と言うとモニター艦も浮かびますが、生産の時点で前線の基地は封鎖されている可能性が高く、その場合モニター艦だとそこに置けませんが、戦闘機なら後で輸送できます。また維持費がかからないことと、距離決定の艦数に入らないのも大きな利点です。
偵察艦
帝国が第2ターンにプロキオン突破をかけてきた場合に必要になります。初期戦力の偵察艦は第1ターンに全て失われる可能性があるので、あるだけ作ります。
タンカー
シリウス方面からの反攻の脅しとして必要になります。
生産の例
SC 5
F 5
MB 1
TR 2
AO 1
降下兵2
M整備 計27ルー
帝国が全艦をアジッダに初期配置した場合の例です。反撃の脅しのためミサイル艇と輸送艦を入れてみました。
ミサイル艇、空母、前哨基地も有用で維持費のかからない良い生産物ですが、第1ターンは余裕がないので、本格的な生産は第2ターン以降相手の様子を見ながらになるでしょう。
最初の移動
初期配置は全部バーナード星で問題ありません。
第1フェイズではシリウス、プロキオン、バーナード星の宇宙に偵察艦を1ユニットずつ、プロキオンの地上に前哨基地、砲台、降下兵(又は一般兵2)を、Emberに前哨基地を配置します。そしてモニター艦と故障艦はバーナード星の地上に、それ以外の戦闘艦はソルに配置します。
帝国が無爆撃降下をした場合、降下部隊は砲台と前哨基地の対空射撃を受け、平均で一般兵は3ユニット中1ユニット、降下兵は5/9ユニットが残ります。すると地上軍の平均戦闘力の高さから、地球がやや有利です。可能なら降下兵と共に輸送艦を1ユニット以上置き、降下兵が複数対1で攻撃されるのを防ぎます。
もし地上戦で負けても、輸送艦等を犠牲にして時間を稼ぎ、第2ターンの増援で反撃します。
注 上記は砲台が3以下で目標を破壊する初版ルールに基づいています。第2版では2以下で破壊に弱められているので、十分な防衛は不可能になります。日本語版では3以下破壊のバリアントを使うようお勧めします。
もし帝国が反撃フェイズにシリウスを攻撃したなら(プロキオン突破の可能性)、第2フェイズにすることは輸送艦をソルに引き揚げることだけです。そして地球の反撃フェイズには帝国の行動に応じ、プロキオン方面の第3線を作るなり、バーナード星に反撃するなりできます。
もし帝国が反撃フェイズにバーナード星突破をかけた場合、第2フェイズにそれを攻撃し、いきなり一大決戦の始まりとなります。
シリウス・プロキオンの偵察艦を除いて全艦を投入すれば、少なくとも第1ラウンドは絶対に数では負けず、攻撃側なので組み合わせを自由に決められます。
遠距離では輸送艦を盾にしてビーム力の高い艦を守り、モニター艦は駆逐艦に当て、ミサイル挺で重巡洋艦に集中ミサイル射撃をします。
近距離になったらモニター艦は帝国の最強艦に特攻、駆逐艦は軽巡洋艦に当て、帝国巡洋艦の全滅を狙います。巡洋艦さえなくなれば、帝国はモニター艦を破壊できません。また軽巡洋艦と偵察艦は、有れば輸送艦に特攻させます。帝国に輸送艦が無くなれば、再び生産されるまで降下を受けません。
もし帝国のバーナード星突破が帝国プレイヤーターンになってからの場合、整備不良艦が発生することで帝国の戦力が低下するため、撃退はずっと容易になります。
第2ターン以降地球プレーヤーターンには領内から帝国を追い出し、同じ要領で帝国の攻撃に備えます。戦闘では攻撃側が有利なので、十分な戦力の優越がない限り、主力を敵に攻撃される位置に残してはいけません。そのために自軍の基地のある前線星系では、敵を撃破した後、1ユニットを残して降下させる方法があります。
反攻の狙い
バーナード星突破に反撃した時などに、一時的に帝国艦隊を撃滅して、帝国領内に侵攻できることがあります。しかしほとんどの場合、最前線の基地は守りが堅すぎて攻撃不可能でしょう。
そんな時はヌスクかデュシャームを狙います。まずこのどちらかを占領して前哨基地を置きます。帝国に反撃の余裕を与えないよう、必要なら他の星系にも同時に降下して、そのターンで戦争が終わるようにします。すると平時にはそことアジッダの帝国基地は、領土の交換で除去されます。そして勝者である地球は、先に前哨基地を置くことができるのです。
ヌスク/デュシャームが共に地球の手に落ちた場合、ラガシュ/アマークも容易に手に入ります。3ワールドの収入は24ルーもあり、ここでの勝利はキャンペーン全体の勝利につながるでしょう。
この作戦の存在は、帝国の全滅覚悟の強引な攻撃に対する抑止力になります。最初の移動で前哨基地を一つ設置せずに残しておいたのは、この抑止力を現実的なものにするためです。
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