多人数ゲーム
 
 第三帝国では多人数プレイ用の勝利条件もあります。しかしこれを使うと色々奇妙なことが起こります。
例えば

 フランスは’40年秋を生き延びてやっと手詰りですが、枢軸が本気でフランスを攻撃したら、それさえもほとんど達成不可能で、フランスに勝ち目はありません。
 するとフランスは勝つために連合軍を裏切り、最初からドイツと手を結ぶことになります。生き延びさせてもらう見返りとして、フランスは中小国に宣戦し、形ばかりの攻撃をしてドイツに介入させ、同盟国をプレゼントしていきます。最終的にはスペインさえもドイツの同盟国になります。フランスはパリさえあれば他は勝敗に関係ありませんから、国内も順次場所を空けて、枢軸に通過してもらいます。しかもこんな裏切り行為をしても、イギリスはフランスになんら手出しはできないのです。

 イタリアもまた似たようなことが起こります。連合軍に本気で攻められたら手詰りがいいところでしょう。
 そこで危険を感じたらギリシャやユーゴスラビアを連合軍にプレゼントして、ドイツを直接攻撃してもらいます。最終的にはトルコも貢ぎ物になるかもしれません。

 さらにドイツとソ連が戦う必要もありません。ドイツは本国とポーランドさえ維持できれば戦術的勝利です。ソ連も強力なドイツと戦うより、バルカンを制覇してイタリアやスカンジナビアを目指した方が有利です。

 これらは起こり得る現象のほんの一部に過ぎず、多人数ゲームで最善を尽くそうとすれば、どんな展開になるか全く想像がつきません。これは多人数勝利条件が、歴史における各国の目標と異なっているのが原因です。
 シミュレーションとしては全く訳のわからない展開ですが、普通のマルチゲームとして考えれば、ある意味おもしろいゲームと言えるかもしれません。しかしプレイヤーの交渉と腹次第で展開がどうにでも転がるゲームは、厳密な作戦研究をするのは困難です。したがって今回の研究では、2人プレイキャンペーンゲームについてのみ研究します。
 
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