ダイスの小部屋
ダイスの小部屋へようこそ。ここでは私たちが常日頃振っていながら、ふと見落としがちなダイスの性質について、ちょっとお話しようと思います。
皆さんは、ダイスを振って1が出るのは、全体のうちどの位だと思いますか?
1/6?
では2はどうですか?
やはり1/6ですか?
どの目も1/6ずつ出るということですね?
本当でしょうか?
では試してみましょう。
コロコロ・・・
ちょっと二千回ほど振ってみました。正確には2044回ですね。
使ったダイスは、その辺に売っている10mm角で1の目が赤く大きいやつです。ホビージャパンダイスと言われるダイスと同じものですね。
振り方による偏りを無くすため、陶器のカップに投げ入れました。1回には10個ずつです。外に出てしまったものは数えないことにしたので、総回数は10の倍数ではありません。
次の表はその結果です。
目 |
回数 |
割合(%) |
1 |
366 |
17.9 |
2 |
308 |
15.1 |
3 |
340 |
16.6 |
4 |
313 |
15.3 |
5 |
349 |
17.1 |
6 |
368 |
18.0 |
ふむ、少し偏りがありますね。
1と6が最多で2が最少、3は2より多いが、4ではまた減って、5、6と増える。
これはどういうことでしょうか?
ではダイスをよく見てみましょう。
1の目の穴が大きいことははっきりしていますが、良く見ると、2、3に比べて4、5、6の目の穴が小さくなっています。
なるほど、これで解りました。
穴の容積が大きい目ほど出やすいという事ですね。
1つの穴の大きさが同じなら、穴の数が増えるほど出やすくなる訳ですが、穴が小さくなる2と4では出にくくなるという事です。
興味深いのは、重い目が下になりやすいのではなく、軽い目が他の全ての目に対して出やすいのだということです。言い替えると、1と6は表裏にあって両方軽いから釣り合うという事ではなく、両方出やすくなっているということです。
では12.7mm角のアバロンヒルダイスはどうでしょう?
穴の大きさが皆同じなので、6が一番出やすく、小さい目ほど出にくくなることが予想できます。
ではまた二千回ほど振ってみましょう。同じ要領で5個ずつ振ります。10個だとカップに入らないからです。
コロコロ・・
あれ?変ですね?
もう千回ほど振ってみます。
コロコロ・・
やはり傾向は変わりませんね。結果は次のようになりました。全部で3089回です。
目 |
回数 |
割合(%) |
1 |
493 |
16.0 |
2 |
492 |
15.9 |
3 |
504 |
16.3 |
4 |
517 |
16.7 |
5 |
556 |
18.0 |
6 |
527 |
17.1 |
確かに概ね大きい目ほど出やすくなっているのですが、1と6で逆転が起きています。
穴の深さを見ても皆同じに見えます。どういうことでしょう?
もしかするとアバロンヒルダイスは、中にバランス調整の為の「しこみ」があるのかも知れませんね。おっともちろんこれはただの推測ですよ。お間違いなく。
でも「しこみ」の位置を間違えたアバロンヒルダイスがあったりしたら、たまりませんね。
それにしても出やすい目と出にくい目に、アバロンヒルダイスで1.13倍、ホビージャパンダイスでは1.21倍の差があるということに、私はとても驚きました。せっかく確率を考えて作戦を練っても、ダイスが狂っていては全て台無しです。
しかもこんな僅かな重さの違いだけで、これだけの差が出るのです。ましてや、直接ころがりに影響を与える角に破損や摩耗を受けたダイスは、使いものにならないと考えていいでしょう。
それでは正しいゲームをするには、どうすればいいのでしょうか?
私の知っている方法は2つあります。
1.カード
市販のプレイングカード、通称トランプと呼ばれていますが、これの1から6までを抜き出して、シャッフルして引く方法です。10面体ダイスなどの代わりも可能です。
なお複数回引く時は、1回ごとに引いたカードを戻してシャッフルしないと、確率が変わってしまうので注意してください。
原始的にも見える方法ですが、製造上の不具合をほとんど気にする必要が無く、安価で、入手も容易です。
私はPaths of GloryやWeb&Starshipで初めて実践しましたが、同時射撃の解決時に、せーので開くのはなかなか盛り上がって良いです。
欠点はたくさんダイスを振るゲームでは、不便なことです。
2.プリシジョンダイス

バックギャモンの公式大会用に売られているらしい、プリシジョンダイスというものがあります。正確なダイスという意味ですね。
これは「しこみ」ができないように半透明の素材を使い、穴を色違いの同じ材質で埋めて、各面の重さを可能な限り均一にしたものです。カジノで使われているダイスも、やはり同じ作り方をしています。
バックギャモンの公式大会規定では、このダイスの使用が義務づけられているばかりか、いつでもダイスの交換を要求できるという徹底ぶりです。
しかしせっかくのプリシジョンダイスも、摩耗してしまったら意味がありません。振る時は最低でも紙の箱、できれば布かフェルトの上で振ってください。決して石、ガラス、金属の上や中で振ってはいけません。
なおカジノダイスを代わりに使うこともできますが、角が丸めてないので摩耗しやすく、やや大きめなのでたくさん振るには不便です。ゲームに使うには、やはりプリシジョンダイスの方が良いでしょう。
欠点としては扱っている店が少ない上、私の知る限りでは、プリシジョンダイスは2個で1500円、カジノダイスでも2個で1200円と高価なことです。
しかし一点の曇もない戦いを求める真のゲーマーにとっては、必須のアイテムと言えるのではないでしょうか。
ネット上のお店では、ゲームストアバネストさんが扱っています。あまりたくさん置いてあるものではないので、欲しい人は急いで注文した方がいいでしょう。
蒼き臥竜へ戻る