経済戦争の勝敗2
以前経済戦争の勝敗で、経済大国という名とは裏腹に実は日本は経済戦争で負けており、これからも逆転は期待できないという話を書きました。あれから8年以上が経ち今の状況を改めて見てみます。
この間にはリーマンショック(その実はサブプライムローンによる金融商品危機)や、欧州国家連鎖破綻不安など、世界経済が崩壊するのではないかという大事件を乗り越え、ひとまず落ち着きを取り戻しているようです。その間世界の国々の経済の浮沈はどうだったのでしょうか。正確に比べるため円換算して為替の影響を除いた各国の株価指数の伸び(年率平均)をこの10年(2014年8月末時点)で比較してみます。(参考サイト 私のインデックス)
日本 3%
日本もリーマンショックを乗り越え、株価は伸びています。これで日本も安心でしょうか。
先進国
アメリカ 7.9%
ドイツ 9.7%
イギリス 6.7%
主要な先進国は、金融危機の震源地にもかかわらず、日本の2〜3倍もの率で伸びています。とっくに頂点を過ぎたと思われるイギリスですら日本の倍以上です。
新興国
中国 14%
インド 14.5%
ブラジル 16.8%
ロシア 5.3%
金融危機が起きるたびに海外からの投資が引き揚げられ、大暴落を繰り返してきた新興国ですが、最終的には先進国をも上回る大幅な伸びです。さすがにウクライナ危機の真最中のロシアは見劣りしますが、それでさえも日本の倍近い伸びです。
近隣国
韓国 12.1%
台湾 8.2%
中国はもちろん他の近隣国も、日本を尻目に3、4倍もの速度で成長しています。日本の低成長は地域性によるものではないようです。
非常に残念なことですが、以前の予想は思った以上に当たっており、日本は復活するどころかどんどん遅れていくばかりです。厳しい現実に目を背けたい人たちは、「欧米はこれから失われた10年に入り、先に立ち直った日本はその隙に抜き返す」「中国や韓国の経済はすぐに崩壊する」などいう妄想を吐き続けてきましたが、現実は全くそれに反しています。
今日本の企業全体が収益力を上げるためどう変わるべきか、一刻の猶予も無く考え実行しなければならないのに、テレビや政治などでも出てくるのは「日本はこんなにすごい」というのを探し出しては自己満足したり、もともと実力がある経済にしか効かない金融緩和や円安などの一時しのぎばかり。正社員を切って非正規化し、ブラック化して社員をこき使っても、どんどん経済は弱っていくばかりです。日本はもう目覚める気は無いのでしょうか。
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