ウォーゲームのおもしろさ5
5.テーマ
今まで挙げた理由では、ウォーゲームのおもしろさを説明しきれていない気がします。もっと本質的な理由が何かあるように思います。
そこで考えられる理由が、あまりに当然ですが、戦争をテーマにしているということです。
世界を見ると肉体系スポーツが盛んです。スポーツとは何でしょうか?体力作り?違います。戦争の代償行為です。
ただ腹筋運動や腕立て伏せをするだけのことを、普通スポーツとは呼びません。逆に中国や欧米などの文明国では、チェスや囲碁などの戦争を模したゲームを、スポーツと呼んでいます。
戦争は戦うべき外敵を失った人類の「アレルギー」と言えます。細菌や寄生虫等の目標を失った免疫機構が攻撃性を暴走させる、アレルギーと同じなのです。
そしてその「アレルギー」の特効薬がスポーツです。戦闘を模した競技をすることで、人を殺すことなく闘争本能を満足するのです。格闘技は言うに及ばず、陣形を組んで敵陣に攻め込むフットボール等の競技はまさに戦争そのもので、最も人気があるのもうなずけます。戦争に近い競技ほど闘争本能を満足させてくれるのです。
しかしこのような肉体系スポーツが、兵士タイプの人間のためのスポーツであることは明らかです。したがって王・将軍タイプの人間には違ったスポーツが必要になります。
そう。それがゲームです。ゲームはSports of Kingなのです。
そして肉体系スポーツでも戦争の形に近いものほど人気があるのと同様に、ゲームでも戦争の形に最も近いウォーゲームが最もおもしろいのも当然のことです。つまりウォーゲームは king of game、言い替えるとking of sports of king なのです。
これを裏付けるように、チェス・将棋の起源として、2400年の昔、インドのシネグラムという戦争好きの王様に戦争を止めさせようとして、バラモンのシッサという知恵者が、戦争に似たゲーム「チャトランガ」を作ってやらせたら、これに熱中して王様は戦争をしなくなったという話があります(東公平 チェス入門より)。戦争をゲームとして遊ぶということは、ただおもしろいだけでなく、世界を平和にし、人類を救うすばらしい行為でもあるのです。
ぶっしゅくん!戦争なんかやめてウォーゲームしようぜ!
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