零下45度の対決
 
 今日のASLは、またTotal Eastern Front PackよりTEF1-6 The Battle for Pisino。ピシノがどこにあるか、モスクワに近い所と思われますが、検索しても出てきません。独ソ戦最初の冬は異常な厳冬で、ソ連軍の反攻によりドイツ戦線は各所で突破されました。ドイツは危険に晒された補給集積所を救うため、マイナス45度の極寒の中、ソ連が守りを固めている村ピシノへ、SSによる攻撃を仕掛けます。
 ドイツは8ターン以内のゲームターン終了時に、12VP以上かつソ連より多いVPを稼いでいたら勝利です。両者が通常の損害ポイントを得るのに加え、ドイツだけは支配している建物区画ごとに1VPが入ります。

 守るソ連は、まず15個分隊が建物か野戦構築物に初期配置で、狐穴やロードブロック、要塞化などを与えられたポイントで購入できます。第3ターンには、11個分隊と76*歩兵砲が北西から侵入し、その際6台のそりを伴います。厄介なことにそりはVPの対象になると、通常ルールに定められています。
 そしてドイツは全てSSライフル兵で、東から5.5個分隊、南からは5個分隊が、第1ターンに侵入します。そして第4ターンには東か南から11.5個分隊が、必要ならサイドカーに乗って侵入。サイドカーの方はVPの対象になりません。さらに第5ターンには2号F型戦車5両が、南から侵入します。
 積雪があり、全ての建物は木造1階建てで、果樹園はありません。そして厳冬ルールが適用され、ドイツの砲とSWは故障ナンバーが2低くなります。
 戦力評価はドイツが0.4%優勢なだけの互角で、予想勝率5割。子供がソ連、私がドイツです。


 盤上には22区画の建物区域があってマップ上に散在しているので、ソ連の守り方が難しくなっています。ソ連は森に隔てられた中央南北の建物群に守備隊を分けて置き、他は捨てることにしました。南側では建物の隙間にも部隊が並んでいるので、そこには壕があるはずです。
 そしてドイツの攻め方も難しいのは同じ。普通のシナリオは戦力を集中して1点を攻撃することが多いです。しかしこのシナリオは初期戦力を東と南に分けられており、集中するには南東の森から攻めなければなりません。ところがここだとソ連軍の守る所を効果的に攻撃できず、増援が出そろうまで大した戦果は得られないでしょうし、前面には平地が広がっていて前進も難しくなります。
 そこでドイツは戦力を統合せず、序盤の主目標を建物の支配と攻撃拠点の確保に置くことにしました。このシナリオは武器がすぐ故障する分、いつもよりドイツは射撃戦に弱いですが、その代わりに少ないVPで勝利でき、建物もいくつかは簡単に取れます。損害を抑えながらあらかじめ建物を取っておけば、増援が来てから足りないVP分のソ連軍を除去するだけですむのです。
 そのためにまず南からの部隊を西側から森へ侵入させて、付近の建物を支配し、ソ連の増援による攻撃に備え、中央のソ連軍への攻撃準備をします。また東からの部隊は、一番東の建物と石垣の付近を確保し、反対側からソ連軍を攻撃していきます。

 第1ターン、ドイツは西の森、東の石垣に到達します。すると北側にいたソ連軍は、石垣のドイツ軍と対峙する東の森まで前進してきました。そして西のドイツ軍が分隊だけで防御射撃をすると、なんとソ連分隊は戦禍でクラス上昇&ヒーロー登場。それらは突撃で建物の陰に隠れます。
 第2ターン、西の森のドイツ軍は付近の建物を占領しつつ、ソ連増援に備えて北側にシフト。東の石垣ではドイツフルスタックが射撃しましたが、隠蔽の相手に機関銃を使うのは故障が恐いので、歩兵だけで撃って効果無し。他の部隊は石垣沿いに広がります。
 ターン後半もソ連が小さな再配置をしただけで、大きな動きはありません。ただソ連の射撃で、西の森のドイツ軍にもヒーローが登場しました。

 第3ターンもソ連の増援を警戒しないといけないので、ドイツは大きく動けません。東の森でソ連分隊に半個分隊で隣接したくらいです。
 そしてターン後半、ソ連の増援ですが、これもどこに行くか難しい所。最大の難点はソリがVPの対象で、2号戦車の攻撃に弱いので、どう守るかということです。積み荷を降ろしたら帰ってくれればいいのに、ゲーム上は勝手に帰すとVP献上になりできません。ソ連はいろいろ考えた結果、空いた中央北の建物群に進み、ドイツの増援に備えることにしました。
 まず準備射撃では、西の森の北端から増援を撃とうと見張っていたドイツ軽迫撃砲を、ソ連は機関銃を含む射撃グループで撃ち、これを除去。これでソ連増援は安全に進めるようになり、全員建物群に到達しました。そして空荷になったソリについては、後ろに歩兵砲を置いて、2号戦車が狙ってきたら撃てるようにします。

(下が南)

 第4ターン、現在ドイツは建物6区画が確保できているので、後6VPを取れば勝てます。ここでドイツにも到着した増援の何をどこに割り振ればいいのか。これらはサイドカーに乗って長距離を駆けることもできますが、中央北にはソ連の大軍が入って安全に近づける建物は無くなったので、それはやめた方が良さそうです。
 この状況を見て考えたドイツは、東西から既存の部隊と一緒に攻撃して南北のソ連軍を分断し、その後南側のソ連軍を囲んで集中攻撃して、損害を与えていくことにします。そのためにまず強い指揮官のいない西の森には、10−2指揮官と中機関銃とATRを含む1スタックを送り、攻撃力を強化。そして爆薬を持つ残りの部隊は東に出して、強力なソ連増援部隊に対抗できる数を揃えます。
 ドイツは西で部隊を統合して攻撃態勢を整えます。そして東では爆薬を持った半個分隊で森の前面を攻撃し、9−2のフルスタックがそれに続いて、ソ連軍の一角を崩そうとしました。ところがソ連分隊は爆薬攻撃を受けたのに無傷。突撃で隣接するつもりだった9−2スタックは、進めなくなってしまいました。
 ターン後半、ソ連は東の森に増援を投入して徹底抗戦する手もありましたが、ドイツの東側への増援の多さや次のターンの戦車を警戒して、森の部隊は北の建物に引き揚げました。西からのドイツの射撃は、着いたばかりの中機関銃が組み立て中だったので、分隊のみで撃って効果無し。

 第5ターン、まずドイツの西からの10−2による準備射撃が、ヒーローもついて12火力−1。ヒーローにはATRを持たせており、12へクス先までヒーロー修正付きで撃てるのです。そしてこれがKIAとなり、中機関銃ごとソ連分隊が消し飛びました。
 さらに東では、安心して南の建物群攻撃に専念できるようになった9−2が、森の南西端で隠蔽を維持したまま射撃位置に着きます。また北のソ連軍が逆襲してきて邪魔しないよう、残りの部隊は森で防壁を作りました。
 それから登場した2号戦車は、下手な動きをしてATRや歩兵砲、もしかすると機関銃にでも2両以上破壊されると、倒さなければならない敵の数が増えてしまいます。そのくせ20ミリ砲は9以上で故障してしまい、リスクが高い割に働きはあまり期待できません。そこで無理はせず、ATRが有りうる所からは7へクス以上離れて、南の建物を遠く取り囲むようにしました。
 ターン後半、出てきたドイツ9−2スタックに対して、ソ連は12火力の先制射撃をしますが、9−2たちは耐え切ります。そしてドイツの番。重機関銃まで加わった10−2とヒーローの射撃は、30火力−1でファナティック分隊をKIA。さらに東の森からの9−2の射撃は24火力修正0で、ソ連の重機関銃を混乱させました。しかしこれに止めを刺そうとした2号戦車3両の射撃は効かず、逆に1両の主砲が故障します。

 とは言え第6ターン、ソ連軍はもう吹雪前の灯火。ドイツ軍は混乱したソ連分隊に対し、9−2スタックと2号戦車でさらなる射撃を加え、除去することに成功しました。これで勝利得点は12に達して、ドイツの勝利です。


 運良くヒーローが登場し、それに持たせるATRもあったことや、本格射撃が始まってからのサイの目が良かったのも、ドイツのスムーズな勝利に貢献しました。しかしやはり攻撃位置の選択と増援の配分や、厳冬での故障を避けるため、高い効果が見込める時以外機関銃の射撃を控えたことなど、状況に対応した作戦が最大の勝因でしょう。

 
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