九七式中戦車の能力評価検討
 
 ASLでの日本の九七式中戦車は、本当にこの強さで正しいのか疑問に思ったので調べてみました。



 まず砲身ですが、24口径のドイツ・ソ連戦車が短砲身扱いになっているのに、19口径の九七式が中砲身扱いは明らかにおかしいです。同じ砲身長の八九式はちゃんと短砲身になっています。
 しかしこれくらいはまだましです。もっと疑問なのは日本の57ミリ砲のTKナンバーが、中砲身で9、短砲身でも8もあることです。M4シャーマンの側面装甲は4。近距離で側面を撃てば九七式や八九式でもシャーマンを倒せることがある?そうだっけ?
 そこで資料を探してみました。
97式中戦車の解説
九七式中戦車チハ
九七式中戦車(Wikipedia)

 九七式の57ミリ砲の装甲貫通力は、100mの距離で徹甲弾でも30ミリ(九七式中戦車チハ)、早い時期からよく使われていた徹甲榴弾(九二式徹甲弾)では21ミリ(97式中戦車の解説)とあります。
 一方シャーマンの装甲は一番薄い所でも38ミリありますから(M4シャーマン戦車)、撃ち抜けるとは思えません。
 おそらくASLのデータは、口径や砲身長などのカタログデータから算出してこのような数値になっていると思われます。しかし実際には日本の冶金技術が低いために、当たると脆い弾頭が砕け散ってしまい、データ上同じでもずっと低い威力しかなかったそうです。

 では正しいTKナンバーはどのくらいが妥当なのでしょうか。
 97式中戦車の解説の中には
「捕獲したM3スチアート戦車を57ミリ砲で試射実験をしたところ正面装甲は500m、300mで撃っても塗料が剥がれただけで、側面装甲を至近距離300mからの射撃も砲弾の方が砕け散っただけでした(-_-;).そこで、側面300mから小隊3台で榴弾を使って集中射撃したところやっと装甲に穴が空いた そうです。」
との記述があります。57ミリHEのTKナンバーは6で、それより低い貫通力であればAPのTKナンバーは5以下でしょう。
 また日本の対戦車ライフルの装甲貫通力は220mで30ミリだそうですが(九七式自動砲(Wikipedia))、57ミリ砲は徹甲榴弾だと250mで20ミリ(97式中戦車の解説)、徹甲弾でも200mで28ミリ(九七式中戦車チハ)となっています。対戦車ライフルよりも威力が低いということはやはり、日本のATRのTKナンバーの6より小さい5以下と考えられます。

 とは言っても、いくら何でも機関銃と同じ威力の4ということはないでしょうから、九七式中戦車の57ミリ砲のAPのTKナンバーは5が妥当でしょう。
 なお、八九式戦車は九七式と口径・砲身が同じで、
「尚、「発射装薬の改善と砲尾部の改修により初速が350m/sから420m/sとなった」という記述が散見されるが、仮制式制定段階での砲としての性能は九〇式五糎七戦車砲と同一である」(九七式中戦車(Wikipedia))
とのことです。また37ミリ中砲身の軽戦車も、300mで25ミリで、後に改良して500mで25ミリと、九七式と同等の装甲貫通力を持っています(九五式軽戦車 ハ号)。したがって八九式戦車も軽戦車も、TKナンバーは同じ5が妥当でしょう。

 次に九七式改に積まれた47ミリ長砲身の新砲塔についてはどうでしょうか。
 九七式中戦車チハによると、チハ改47mm長砲身(徹甲弾)の装甲貫通力は、100mと200mで�弦�D型75mm短砲身とほぼ同じになっています。チャートで75*のTKナンバーは10、47Lは11になっていて、57ミリ砲の時ほど誤差は大きくありませんが、75*と同じであれば九七式改の47ミリ長砲身砲のTKナンバーは10が妥当でしょう。


 さて今度は装甲です。97式中戦車の解説にも九七式中戦車チハにも、以下の文が載っています。
「千葉下志津原、戦車兵操典普及教育
小林中佐
敵を知り味方を知れば百戦あやくからず。戦車対戦車の 戦闘は、彼我戦車の戦闘性能に最大の影響を受ける。
敵戦車はBTを我は97式を想定すると、敵は射程距離1500mで我を貫通 できるのに対し、我は彼の側面装甲を500mで貫通できるのみ。」
 BT7の側面装甲は1□、97式中戦車の正面装甲は3□。そしてBT7の45ミリ砲長砲身のTKナンバーは10で、1500m(37〜38ヘクス)では−3されるので7になります。一方97式は先の考察で5です。
 するとBT7が97式を撃つ時は最終TKナンバーが7−3=4、97式がBT7を撃つ時も5−1=4でどちらも同じなので、このことからすると装甲の値は妥当そうです。またここからも97式のTKナンバーは5が妥当な事が裏付けられます。

 さらに九七式中戦車#防御力(Wikipedia)では、以下のように書いてあります。
「また口径12.7mmのM2 重機関銃では近距離である射距離100yd(約91.4m)において、あらゆる装甲箇所を貫通させる事は出来ず、射距離50yd(約45.7m)においては、一番装甲の薄い箇所である車体側面下部の懸架装置周辺、砲塔後部機関銃ボールマウント部分、及び車体後面下部で35%が貫通したとしている。」
 12.7ミリ重機関銃の50ヤードの例で見ると、TKナンバー5が1へクスで+2、後面で+1されて8になり、97式の車体後面下部の装甲は2なので、最終TKナンバーは8−2=6になります。5以下で破壊ですから、35%の貫通率ならば、やはり97式の装甲値はだいたい妥当と言えるのではないでしょうか。
 97式中戦車の解説に、「製作方法に重大な欠点が有ったため脆かった」とあったので、もっと酷いかと思っていましたが、意外と大丈夫でした。

 ただ日本の戦車はリベット留めで作られており、
九七式中戦車#防御力(Wikipedia)
「車体形状を構築するフレームにリベットで装甲を接合した車体は被弾時に鋲がちぎれて飛び、乗員を殺傷することが問題視されていた。」
九七式中戦車チハ
「徹甲弾がチハの装甲を突き抜けると、このリベットが車体の中をピュンピュン飛び跳ねて乗員を殺傷するんですよ。」
第二次大戦型各国戦車の生産性について
「・「スペイン動乱」、「ノモンハン事件」等でリベット留めの脆弱性は各国で見直され、早期に溶接や鋳造工法に改善されたが、日本はリベット留めをその後も継続して用いた。」
などとあります。これはあんなに小さいチハが中型として命中判定を受けることで、弱点の大きさを表現しているのかもしれません。

 
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