ベルギーの若者
 
 今日のASLは、TAC15雷の谷。1942年2月のソ連大反攻を受けるドイツ軍。この谷あいの町を守っていたのは、なんと14〜18歳という若年のベルギー志願兵でした。大軍で攻めるソ連は9ターンの終わりに、谷の下の建物15個の内13個以上支配していたら勝ちです。ドイツ軍が悲惨なことになりそうな設定ですが。
 攻めるソ連軍は、36個もの分隊(内3分の1は徴募兵)に、T−34が4両と、火炎放射器搭載型のOT−34まで1両います。ただしこの時期の戦車は無線がありません。対するドイツ軍はまずSS12.5分隊。それに加えて、37ミリ対戦車砲2、81ミリ迫撃砲1、地雷36火力、氷でできていてどこにでも(開豁地でも)内容物ごと隠匿配置できる土塁扱いの雪壁4、105ミリ盤外砲があります。さらに第5ターン以降に爆装のスツーカ3機が登場し、第7ターンには3号戦車2両、4号戦車1両、4個分隊が登場します。
 積雪があり、低草地は林、ハマダは茂みになります。レベル2の高さはありません。ロシア軍は雪のカモフラージュをされています。
 ほぇ?なんでベルギー人の若年兵がSSなの?しかも防御側に盤外砲も航空支援もあり?話が全然違うぞ。戦力評価をしてみます。攻撃側は平地を超えて攻めるものの、冬季迷彩があるので、困難地形修正は無しで計算します。それでも結果は防御側が16%の優勢で、防御側の勝率は7割と予想されます。ベルギー人さん強すぎ。
 アーカイヴでは攻撃側が勝った1例だけが記録されていますが、この戦力では防御側が有利なのは明らかです。なのでバランスルールでT−34を1両追加しますが、それでも防御側は15%の優勢で、状況は大して変わらないでしょう。子供がドイツ、私がソ連です。


 ドイツ軍は町を中心に守るものの、ステップ前面の林にもいくつかユニットを置いています。ソ連軍はいくら冬季迷彩があると言っても、ドイツには盤外砲があるので、密集は危険です。そこでソ連軍は横一列に広がって侵入します。
 町はずれの中央には林の切れ目があって、町の中から撃たれるので、ソ連軍中央は隠蔽を付けたままゆっくり前進し、撃てる敵が少ない左右では駆け足で進みます。そしてソ連から見て左手の涸れ谷に、クレスト状態のドイツ2個スタックがあって、これが機関銃だと前進に邪魔なので、ソ連は火炎放射器戦車を含む4両の戦車を接近させます。そして火炎放射器を撃つと、なんといきなり12、故障。ひどい。ソ連は早くも最重要兵器を失ってしまいます。しかも相手は結局ダミーでした。一方ドイツは戦車に対して盤外砲を撃ちましたが効果なし。

 第2ターン左右のソ連軍は、こういう開けた地形での常套手段になったウミガメ戦術です。左7個、右9個の射撃グループで撃ち、結果はダミー除去と隠蔽除去。大した戦果ではありませんが、これで安心して前進できるようになりました。一方中央からのドイツ軍の射撃は、隠蔽と迷彩効果にも関わらず当たりまくり、徴募兵はバシバシ消えていきます。また左手のソ連戦車は谷に降りて無線手に近づいていきます。

 第3ターン、ソ連軍はドイツ前衛の半個分隊に急接近し、次々とこれらを倒します。
さらに逃げようとした中央のドイツ中機関銃を、ソ連軽迫撃砲が足止めし、次のターンには致命的命中でこれを除去してしまいます。ドイツは残った部隊を町に集め、防衛態勢を整えます。

 さて割と順調に村はずれまで接近でき、一見いい感じに見えるソ連軍ですが、早く町を占領しないと、恐怖のスツーカや盤外砲に襲われることになるでしょう。そこで第4ターン、ソ連はまず戦車を町に接近させますが、地雷に引っかかり、損害は免れるのもの前進を止められたので、他の戦車は迂回ルートに進みます。そして歩兵は町を取り囲む森に入り、次の総攻撃の準備に入ります。
 そんな中ドイツ盤外砲の観測弾が、ソ連左手の迂回中の戦車のいる良い位置に落ちます。付近の森にいた多くのソ連軍は突撃でそこから離れますが、ドイツはそのまま攪乱砲撃で攻撃。そしてこれが丁度戦車や歩兵が集まっていた林に致命的命中し、このスタックが消滅してしまいます。それ以外の場所も攪乱砲撃の割に良く効いて、多くの歩兵が混乱やクラス低下し(ソ連はELRが2しかない)、ソ連左翼が実質壊滅状態になります。

 順調そうな進撃が、一回の砲撃でここまでひどいことになるとは。かなり厳しい状況のソ連軍ですが、第5ターンに右翼で最後の頼みの前進をしてみます。そして良い位置にある木造建物に入ってみると、やっぱりそこには地雷が。突っ込んだ兵は損耗混乱クラス低下で、消滅したも同然です。他の接近路は林ばかりで、後ろにはドイツ重迫撃砲や9−2指揮官付き重中機関銃スタックが待ち構えており、どこも入ったら死にそうです。しかもこのターンからスツーカ登場チェックが始まり、迂回しても平地に出た所を狙い撃ちされるでしょう。ソ連無理です、投了です。



 この戦力差では、運に恵まれなければソ連勝てっこないのに、ドイツの方が運が良いのではどうにもなりません。やはり戦力評価は正直です。

 
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