もうポンコツなんて呼ばせない?
 
 今日のASLは、Critical Hit # 5.2よりシナリオPB-CH(E)、Morning Traffic。きっと朝の渋滞という意味で、グデリアンの進撃がここで停滞したということなのでしょうか。フランスで進撃を続けるドイツ軍は、アミアン近くでソンム河を越え、付近のフランス軍を排除しようとします。ドイツは8ターン終了時に、橋を越えた奥にある集落の内、4軒中3軒の建物を支配していたら勝利です。ただしドイツの戦車がすべて破壊された時は、4軒全てを支配しなければなりません。
 ドイツは13個分隊と、第2ターンには2号戦車3両、4号戦車1両で攻めます。そしてフランスは9個分隊と、なんとあのポンコツFT−17が3両!さらに第2ターンにはもう2両!河には3本の橋が架かっており、ドイツは対岸に1個分隊だけ隠匿配置できます。そしてドイツは攻撃側ですが、先に配置して後番です。
 さて戦力評価ですが、また3本の橋なので攻撃補正無しとして、フランス18%の優勢で勝率9割となります。しかしなんと言ってもフランスの戦車がアレなので、本当にそんなに有利かどうか?子供がフランス、私がドイツです。


 ドイツによる範囲の限定された初期配置が終わると、フランスの配置です。ドイツ軍のいる町の対岸には建物4ヘクスが崩れた村があり、フランスはそこに初期配置できないものの、先番の移動でそこに入って守ることもできます。
 ただここで戦うとなると、後から来る足の遅いFT−17は合流するのに時間が掛かって各個撃破されることになり、建物が崩れているので安全な後方地域を確保しづらいです。しかもこのシナリオの勝利条件は突破ではないので、3本の橋に防御効果は期待できず、わざわざここで守るメリットは感じられません。そこでフランスは戦力の大半を勝利条件集落に下げ、ここを決戦場として戦うことにしました。
 そしてもちろんFT−17はお家戦車にします。足が遅く攻撃では役に立たない彼らでも、これなら頑張ってくれるのでは?

 第1ターン、フランスは集落の間にある道路2か所に壕を掘り始めます。そしてドイツは橋を渡りますが、遠距離からの機関銃に撃たれて2個分隊混乱。
 第2ターン、有利な12へクスの距離で平地に陣取り、建物2階のフランス機関銃と対峙したドイツ鬼スタック。しかしたった4火力によって、指揮官と中機関銃分隊は混乱、残り2個の軽機関銃分隊はピン。弱すぎる。ドイツ前途多難です。ドイツは残った部隊で町の前方まで進みます。また増援の戦車は、両者とも歩兵たちと合流しました。
 第3ターン、林に進んだドイツ軽機関銃たちは、またフランス鬼スタックに撃ち負け、町に入った2号戦車も、建物2階にいた37ミリ砲歩兵に撃たれて危うい状態です。
 ターン後半、4号戦車が37ミリ砲のある建物に煙幕を撃ち、2号戦車は難を逃れます。そして生き延びたドイツ全軍は、麦畑でウミガメ戦術。全体で2階に前進射撃をします。


 第4ターン、ドイツはウミガメたちで建物2階を撃ち続け、フランス37ミリ砲を無力化しながら、全体でじわりと麦畑内を前進。ドイツ戦車も固めの2両(2号F型と4号C型)を前面に、柔らかいのはその陰と側方に進めます。またこのころ回復しようとしていたドイツ兵に次々と狙撃が命中し、指揮官や半個分隊が除去されました。
 第5ターン、激しい撃ち合いが続きますが、建物内のフランス軍はなかなか倒せずにいました。しかしターン後半には、建物中央にいたFT−17の37ミリ砲型が、ドイツ戦車に捉えられついに棺桶入りです。

 第6ターンにフランスは、建物裏の石壁内で何もできずにいた37ミリ砲FT−17を、建物防衛のため建物内に突っ込ませました。しかしこれは地下室を踏み抜いて地獄行き。歩兵戦でも互いに混乱を出す中、脇から撃っていた2号が、ここで75ミリ砲のFT−17に衝撃を与えます。さらに破壊を狙ってROFで撃ったこの2号でしたが、今度は砲を故障させてしまい、その後完全に壊れてリコールとなります。
 ターン後半、フランスの対戦車火力が無くなったのを見て、ドイツはまず4号で煙幕を撃ち、次に2両の2号戦車で左右から集落に隣接して、石壁内にいた操作班をオーヴァーランします。こうなってみるとさっき地下室に落ちたFT−17は、側面を守る大事な働きをしていたことが分かります。フランスは無理をするべきではなかったんじゃないかな。
 さらに少し離れて支援をしていたドイツ中軽機関銃スタックは、ここで中機関銃を捨てて突っ走り、衝撃中のFT−17のいる建物に白兵戦。しかしPAATCに成功した1個だけでは、護衛の分隊を倒せず混戦になります。

 第7ターン、2号戦車の強力な隣接火力は、フランスの戦力を確実に削っていきます。建物内にいた機関銃型FT−17も、ここで破壊されてしまいました。一方フランスも、混戦区画にいたFT−17が衝撃から回復し、白兵戦ではそこに増援を送ってドイツ軍を一方的に損耗させました。
 ターン後半、ドイツは2号でまたフランス兵を混乱させ、歩兵を着実に前進させて、ついに1つ目の建物を占領しました。そして白兵戦ですが、戦車が残ったのでまたPAATCで増援を阻害され、やっぱりドイツは勝てません。


 最終ターン、フランスの反撃でドイツは占領した建物を奪還されてしまいました。しかしドイツもATRで混戦中のFT−17を破壊し、残るフランス戦車は林の中の機関銃型1両のみとなります。ただ白兵戦ではやっぱりフランス軍を倒せませんでした。
 そしてターン後半、白兵戦に勝てなかったので、ドイツは建物2階に残るフランス兵にたどり着くルートがありません。そこで付近の歩兵で撃ってみましたが、効果は無し。後は戦車で建物に突っ込み、建物が2階ごと倒壊する可能性に賭けてみましたが、それも起こらず2号戦車は地下室に落ちて失われます。結局ドイツは建物を1つ支配しただけで終わり、フランスの勝利です。


 フランスが戦力的にかなり優勢な割に、意外と最後まで勝負になったのは、FT−17の弱さもありますが、3つの戦術上の理由が考えられます。
1.側面の守りに効いていたFT−17を、建物に突っ込ませて失ったこと
2.2階に37ミリ砲を置き続けたため、ウミガメ戦術に撃たれて早々無力化したこと
3.ドイツ軍が麦畑を進む時にファイアレインを使わなかったため、すばやく近づかれたこと
ウミガメ戦術は強力なので、守る方も各個撃破されないよう注意が必要です。
 それから結果的にはほぼ一方的に破壊されたFT−17ですが、全体として見ればドイツの前進を相当押しとどめており、弱いなりにも役に立ったと言えるでしょう。

 
インデックスへ