盤外砲違ってた
今日はだいぶ前に一度やったデラックスASLシナリオ10、ザ・ファイナルバトル。広い突破の補正を入れて戦力評価を再計算したら、これが唯一15%以上の優勢で負けているシナリオだったので、改めてやってみることにしました。前回ドイツが負けた理由は、前進防御をしてソ連の盤外砲にまともに撃たれたせいとだいたい分かっています。今まで積み上げてきた戦術を存分に使えば、今度はドイツが勝てるのでは?
前回と同じく子供がドイツ、私がソ連です。
ソ連の盤外観測員の位置は決まっていて、離れれば離れるほど死角が伸びるので、ドイツはほとんどの戦力を一番奥の建物群に置いて、盤外砲を避けます。これには、事前砲撃を受けても回復して隠ぺいする余裕を作れる、というメリットもあります。
一番大きな建物には火事が発生していますが、その程度ではここを避ける理由にはなりません。そして若干の部隊が前方に出て来ていますが、これは何の狙いがあるのか?
第1ターンソ連軍は中央を中心に広がって進み、ドイツは展開をしながらパラパラ部隊を前に出してきます。第2ターンもソ連軍は進み、前にいた徴募半個分隊を囲んで撃ちますが効きません。生き残った徴募兵は、建物の中から自らを犠牲にしてパンツァーファウストを撃ち、ISU122を1両破壊してしまいます。
第3ターン、ソ連軍は邪魔をしているドイツ徴募半個分隊を躱しながら進みますが、下手に前に出るとドイツの盤外砲や鬼スタック(10へクスまでなら24火力もある9−2付きSS)にやられます。道路向かいの隠蔽された恐らく半個分隊の列を、一気に前に出て撃ちたいところでしたが、慎重に進むことにします。第4ターン、ソ連はドイツ前衛中央部にふわふわ煙幕を落とし、そこに白兵戦を仕掛けてドイツ徴募半個分隊たちを倒します。
第5ターン、煙幕が晴れる前にソ連今度は左手の戦列に道路を渡って突っ込みます。どうせこれも徴募半個分隊だから大丈夫だろう。いたのはまさしくそれでしたが、彼らはただの徴募兵ではありませんでした。兵を送っても送っても、やって来るソ連軍をFPFも駆使して次から次へと撃退し、半個分隊2個倒すのにソ連は何個分隊やられたことか。遠くから駆け付けたサブマシンガンエリート2個など、蛇の目で2個ともKIAです。
右手でもエリート2個分隊が、建物4階にいるドイツ半個分隊の真下まで上ったら、ドイツ鬼スタックに撃たれて両方混乱。ソ連機関銃部隊も、重たいくせにドイツよりずっと劣る火力で、あまり有効に戦えていません。そして止めにドイツは、味方の半個分隊を巻き添えに、盤外砲を落として左手から攻め込んでいたソ連軍を吹き飛ばします。
これまで倒したドイツ兵は若干の徴募兵だけで、ドイツの主力は盤外砲で狙えない大きな石造建築の中に丸々残っており、ドイツ盤外砲も5へクス以内に近づくと36火力−2で撃ってくる悪鬼スタックも健在。しかもパンターやら88ミリ砲やら、明らかに格上の奴らががっちり戦車を拒んでいて、ISU122の支援は期待薄。
たとえここでこれほどやられていなかったとしても、この先どうにも進めません。やはり18%の優勢は覆しようがなく、ソ連投了です。

囮の徴募半個分隊を前に出してソ連軍に攻撃させ、それを鬼スタックや盤外砲で撃つという戦術が効果的で、ただでさえ優勢な戦力のドイツは圧倒的な強さでした。何度やってもソ連が勝つでしょう。
これでこのシナリオも1勝1敗の引き分けになったので、15%以上の優勢側が負けたシナリオは無くなりました。
さて前回も今回も盤外砲が勝負を分けたシナリオでしたが、今回のゲームが終わってから盤外砲のルールを見ている時に、ネットにあった今使っている日本語ルールですが、不自然な所を見つけ疑問に思いました。
C1.21でOBAの追加カードを引く条件として
「AR(等)カウンターがあるへクスもしくはその隣接へクスに、観測員から確認された(1.6 も参照)HIP でない敵地上ユニットがいなければならず、そうでないならば、2 回目の(すなわち追加の)砲撃権を得る試みを行わなければならない。」
とあります。
この中で"観測員から確認された"とだけ書けば、HIPでないことは明らかなのに(確認されたHIPはあり得ない)、わざわざ"HIPでない"と重複して書いてあります。これは何かおかしい。
そこでAH版のHJ訳を見てみると、
「非隠匿状態の地上ユニットがAR(等)カウンターのあるヘクス内またはそのへクスに隣接しているが、それらのユニットは全て観測員から確認されてはいない場合、(2 回目の(つまり追加の)砲撃権を得る試みを行わなければならない。)」
となっています。またAH版の英文を見ても訳に誤りはありませんでした。これはネットの訳と大分意味が違います。
するとMMP版でルールが変わったのか、ネットの訳に誤訳があるのかという事になります。
そこで千葉会の掲示板で質問したら、ザ ハさんがその部分のMMP版の英文を見せてくれました。確認するとAH版と変わっておらず、ネットの訳が誤訳と考えられました。そしてザ ハさんもこれに同意してくれて、AH版のHJ訳が正しいことが確認できました。
これでどう変わるかというと、ネットの和訳では「AR等と同じか隣接したヘクスに、確認された敵地上ユニットがいる時だけ、追加カードを引かなくていい」ということだったのが、それに加えて「AR等と同じか隣接したヘクスに、隠匿でない敵地上ユニットが未確認のものも含めて全くいない時も、引かなくていい」ということになります。
すると攻撃側が敵との間に煙幕を置くのに追加カードが要らなくなったり、確認された敵がいない時に追加カード無しでひとまず敵がいない所にSRを置いておけたりします。防御側なら敵の進撃予想地点にあらかじめSRを置いておいて、敵が近くに来たらすぐFFEに変えられるようにしておくのも良いでしょう。かなり使いやすくなると思います。
インデックスへ