橋上の煙 〜A fire along the river〜
今日のASLは、A22カレーの急所。1940年5月のカレーでイギリス軍は全滅の瀬戸際にあり、その命運はマルク運河に架かる3つの橋を守れるかに懸かっていました。ドイツは9ターンの終わりに、運河の北にいる分隊数(車両は2個分隊と数える)で上回っていれば勝利です。運河の付近には火事が発生しており、風で煙が広がっています。
運河の北を守るイギリスは、14個分隊と40L対戦車砲2門、76ミリ迫撃砲1門、さらに機関銃10火力のマーク6戦車3両とブレンガンだけのダイムラー偵察車1台です。そしてドイツは17個分隊と75*の4号戦車1両、37Lの3号戦車5両で、ボード20に置きます。
戦力評価は、4本の橋だった前回同様、3本の橋自体の補正はしないものの、広い突破の補正を打ち消すこととして計算してみます。するとイギリスは9%の優勢で、予想勝率は6割となりますが、予想通りになるかどうか。子供がイギリス、私がドイツです。
ドイツ軍の方がイギリス軍より数が多いので、ドイツ軍が全て無傷で橋を渡ってしまったらドイツが勝ってしまいます。そのためイギリスは3つ全ての橋を守らなければなりませんが、兵力を3つに分けたらどれか1つへの集中攻撃を防ぎきれません。
そこでイギリスは、まっすぐな運河に掛かっている中央と西の橋については、川沿いに両方を撃てる位置に機関銃等を置いて、火力を効率的に使えるようにします。
一方東の橋と中央の橋との間には煙があり、両方を同時にカバーはできないので、東には戦力を多めに配置します。ただ東で戦うことになれば、中央の機関銃は位置を移して、町中の煙を通したファイアレインが使えます。
さてこれを見たドイツ、西側では隠蔽を置くために建物の陰に置いた部隊が多すぎると感じます。
「これはいきなり戦車と歩兵が一緒に橋を渡れば、結構行けるのでは?」
そこでドイツは重中機関銃を西側の3階建て建物に置き、残りの部隊を戦車にスタックさせて西側の道路に並べます。そしてまず機関銃で橋の前面の建物にいる部隊を撃ちましたが、これは効果なし。しかしそれでもドイツ軍は前進を始めます。
まず第一陣、正面の軽機関銃分隊が撃ってきましたが、これを躱し渡河に成功します。そして第二陣、今度は中央から重機関銃に撃たれます。最初の射撃は1分隊が混乱しただけでしたが、次の移動でファイアレインに撃たれ、残った分隊も混乱してしまいました。
そこでドイツは渡河をここまでにし、橋の前面に戦車を並べて、橋の正面の生垣には軽機関銃スタックを持ってきます。

(下が南)
ターン後半、イギリスは中央の建物に隠していた対戦車砲で撃ってきます。これが離れているにも関わらず次々と命中し、3号戦車が1両破壊、1両衝撃となってしまいました。そして東のイギリス部隊は西に向い、西の建物中央にいた部隊は外側に広がります。
第2ターン、ドイツはひとまず4号戦車で煙幕を撃ち、次のターンに風で広がって中央の重機関銃からのLOSを遮るのを待ちます。そして射撃戦ではお互いに混乱が出ます。
ターン後半には、西の林に現れたイギリス76ミリ迫撃砲が、橋の南側スタックに白燐弾を落とし、そこの分隊が一部混乱します。またこの煙でドイツ軽機関銃スタックも射撃を遮られてしまいます。しかし撃った迫撃砲の方も、直後にドイツ鬼スタックに撃たれ、すぐ混乱してしまいました。そして広がった煙幕で射撃を遮られたイギリス重機関銃は、運河の上を通して橋を撃てる隣の平地にシフトします。
第3ターン、ドイツ軍は鬼スタックの支援を受けながら前進しようとします。しかし白燐弾のせいで煙幕の配置は失敗し、運河を通してのイギリス重機関銃の射撃も強力で、橋を越えられません。ただ幸い3号戦車の衝撃は回復したので、次ターン以降に望みを繋ぎます。そしてイギリスは次々と東からの増援が到着し始めます。
第4ターン、煙幕の配置に成功したドイツは、残る3号戦車に橋を渡らせ、建物前にスモークディスチャージャーで煙幕を置きながら、建物内後方に隠れるイギリス戦車に隣接していきます。そして橋を渡った歩兵第一陣は、西側の建物を完全制圧し、第二陣も橋を渡り切りました。
ターン後半、イギリスは引き続き増援を送り込もうとしますが、ドイツ戦車に邪魔されて難しい状況です。しかしドイツも第三陣が撃たれてかなりの混乱を出し、なかなか前進が続きません。

第5ターン、至近距離射撃により建物内のイギリス戦車が炎上したものの、ドイツ戦車の方も故障が続出。そしてイギリスも、砲が故障したドイツ戦車に白兵戦で反撃しようとしましたが、PAATCに失敗してしまいます。またATRでも何度か撃ちましたが、これも威力が低くて効いていません。
第6ターン、イギリス戦車も破壊し終えたし、白兵戦やATRも恐いので、3号戦車は西側に移動します。そして回復したドイツ歩兵第三陣は、再び橋の上まで進みます。しかし煙幕が晴れたところを撃たれ、全員混乱してまた潰走してしまいました。一方イギリスも今のところ建物で固く守っていますが、炎上した戦車から引火して、建物に火災が発生したのが気がかりな所です。
第7ターン、今度はすでに運河を渡った4号戦車が煙幕を撃ち、今動けるドイツ兵が橋に進みました。また渡河したドイツ軍は、西側から歩兵と戦車を建物に突っ込ませて近接攻撃開始。そして最後に、今まで遠距離支援を続けていた鬼スタックも、橋付近に前進しイギリス重機関銃と対峙します。
ターン後半、重機関銃の撃ち合いは互いに効果が無く、辺りは火災が広がって大変な状態になります。これでマーク6が建物中央に居られなくなり、東側に移動せざるを得なくなりました。そして主砲が故障してずっと直らなかった3号が、ATRに撃たれてついに炎上します。
第8ターン、3号戦車は既に2両が同軸機銃を完全に壊してしまっており、完全に機能しているのは1両だけ。4号戦車の煙幕も外れたので、機関銃の故障した3号は、橋の上に行ってスモークディスチャージャーを使います。そしてドイツは、そこに最後の生き残りを進ませました。またもう一両の機銃故障3号は、逃げてきたマーク6の隣に回り込んで射撃開始。
今や建物の火災は1階ほとんどに燃え広がっており、建物内のイギリス軍は逃げ道を失います。しかしドイツ軍さえ食い止めれられば、イギリスとしては勝利であり、この状況でも彼らは引き続き勝利条件に数えられるようです。
最終ターン、3号は建物内のマーク6を仕留めます。しかし他の攻撃は、煙だらけの建物に遮られて効きません。そして橋を渡ろうとしたドイツの最終部隊でしたが、結局重中機関銃に止められて終わりました。
ここで川の北の分隊数を数えてみると、ドイツ14個分隊相当に対しイギリス16個分隊相当。もうこれ以上イギリス軍に損害を与えることもできないので、これでイギリスの勝利です。それにしても建物内の彼らはこの後降伏して、火事から逃げ延びられたのでしょうか。

前回も今回も、予想勝率6割の戦力優勢側が、両者に勝ち目がある状況で勝ちました。これにより3本以上の橋での戦力評価は、「橋自体の防御効果は無いものの、広い突破の有利は打ち消す」という考え方で概ね良さそうです。ただ防御側は集中決戦戦術を使えないことから、戦力勝負ができず、勝敗は戦力の優劣以外の要因によって左右されやすいでしょう。
インデックスへ