鉄壁対二重包囲
 
 今回、浜甲子園さんとVassalでAP171 Possl’s Posseを対戦しました。前にこのシナリオをやった時は、戦力的にドイツが有利だろうと思っていました。しかし前回AP131 春のコオロギで、攻撃側の戦車戦力が防御側の戦車増援より先に到着すると、防御側の戦車が不利を強いられるのがわかりました。このシナリオでは一応攻撃側戦車を止め得る初期配置の砲や戦車がありますが、数が少ないので全部を止めきれず、ドイツは思ったほど有利でないかもしれません。
 攻撃側にこれを生かす有力な手はあるのか、そして集中決戦戦術は本当に他所の人とやって有効なのか、この対戦で確かめたいと思います。浜甲子園さんがソ連、私がドイツです。


 ドイツの基本的な考えは前回と同じく、高台の街の中心部で道路に狐穴を置いて建物を繋ぎ、そこに部隊を並べる集中決戦戦術です。少し変えたのは、丘を降りた前面にダミーを2つ置いて、前方に置かれるソ連軍が隠蔽できないようにしたこと。鬼スタックは作らず、前方のどこから来られても均等に火力を発揮できるようにして、隙を無くしたこと。そして前回戦車に後ろから攻撃されて危なくなったので、マルダーIIIは後方の果樹園に後ろ向きで置き、戦車ダミーを右前に置いたことです。
 これにより前面からの攻撃はほぼ完璧に撃退できるでしょうし、側面に回り込まれても内部で移動して対応でき、背面からの戦車攻撃にもかなり耐えられるでしょう。少し気がかりなのは左側面を回って後方に回り込まれることですが、これも危険な動きがあれば通り道が見える街の中央に中機関銃と−1指揮官を送り、増援と一緒に挟み撃ちすれば問題ないだろうと考えました。
 これに対しソ連の配置は前面に6個分隊とSU-76M2両、右側に3個分隊と右奥の建物2階に隠蔽監視用の半個分隊。これは三方に分かれて移動し、第1ターンは高台に登らず一旦隠蔽を置いてから、第2ターンに総攻撃を掛けてくるのではないかと、この時点でドイツは予想していました。

 第1ターン、ソ連は前面でまず半個分隊がダミーを潰し、1個分隊がいきなり高台に登ってきました。それなら16火力修正0の洗礼だ!12、効果無し、中機関銃故障。あれ?
 続いて残るソ連歩兵が、中央左右に分かれて前進し丘を囲みます。さらにオープントップも丘の左右に分かれて進み、右側のがドイツ歩兵の視界に入ったので、8火力で射撃!11、効果無し。あれれ?
 防御射撃でドイツは街の中央に隠れていた砲を出し、ソ連分隊に対して7以下。9、外れ、ROF終了、自分の隠蔽も取れる。あれれれ?なんかドイツが思ってたのと全然違う。
 丘に登ったソ連分隊はまんまと突撃で建物に入り、他の部隊は下で隠蔽を付けました。
 ターン後半、中機関銃は直らず、ドイツは建物のソ連分隊に砲を撃ちますが、6以下は8を出して外れ。さらに前面の歩兵が20火力で撃つものの、9でピンチェックはクリアされて効果無し。このサイコロ1ターンずっと8以上しか出てないんですが、何これ?ドイツは仕方なく残った部隊の再配置をしますが、ソ連兵が残ってしまったので、隠蔽も置けません。

 第2ターン、ソ連はまず左から1個分隊ずつ丘に登ってきます。ドイツ軍4火力の臨機射撃は1個が効果無し、1個が損耗。やっと1つ効いた。そして指揮官軽機関銃付きには、中機関銃分隊が8火力修正0。でまたもや9で、ピンチェックオールクリア。うーん。
 さらに右手では、2個分隊と軽機関銃2爆薬1指揮官のスタックが高台の上へ。4火力修正0の射撃も8で効果無し。さらに外側を迂回する分隊に半個分隊が−2修正で2回撃つも、両方効かず。
 そして増援の戦車は丘に迫り、その後オープントップがマルダーを潰しに来るのかと思っていたら・・何とさらに脇を迂回して丘の後方に登り、丘へ通ずる道路前に陣取ってしまいました。
 そうか。こんな狙いがあったのか。こうされると増援の4号戦車が丘の中心に入れない。ドイツは単に包囲攻撃をする一重包囲を想定していましたが、ソ連がしてきたのは包囲した上に増援まで断ってくる二重包囲でした。防御射撃でドイツ砲はもう1個分隊を混乱させ、ソ連の前進射撃は外れたものの、これは非常にまずい状況。ドイツにこの危機を脱出する手はあるのか?

(下が南)

 第2ターン後半、ドイツは戦車とパンツァーシュレック付き2個分隊を南、軽機関銃を持った3個分隊を西の進入口に置くと、前面の建物に残るソ連兵に30火力の鬼射撃。しかし10でNMCをクリアされて効果無し。続けてそこへ砲を撃っても1MCをピンで耐えられる。
 さらに隣接する平地のソ連半個分隊を、半個分隊で撃つとまた11。最後にほとんど期待できない8火力+4を撃ったのが、ようやく3を出して後方のソ連スタックの1個分隊を混乱させたものの、これでは状況の好転には足りない。ドイツは移動に移ります。
 南からの戦車と歩兵はSU-76M近くの麓に進んで、戦車はソ連増援が丘に登るのを阻止します。そして西の歩兵が丘を登ってもう1両のSU-76Mを側面から狙う。
 ここでソ連の防御射撃ですが、驚いたことに麦畑を通し林と建物の隙間を縫って、指揮官付きT-34/85から4号が見えていました。今回は振り向きざまで外れたものの、次はやられる可能性が高い。
 そして前進射撃でSU-76Mを撃つドイツ歩兵。これに4を出して1MCを与えたものの、やっぱりクリアされてしまいます。これドイツもう無理じゃないかな。

 第3ターン、審判の時。まずT-34/85が4号戦車へ。これがやられればまず終わり。12。ほあ?さらに南側のSU-76Mが近づいて来たドイツ増援歩兵を撃ち、ROFバーストした3回目でこれも故障。うおお、これはドイツチャンスか?
 ソ連はまさかの事態に態勢を一旦立て直し。北側のSU-76Mを引き揚げ、増援を右側面に並べます。さらに正面からシャーマンと2個分隊を丘に登らせて、これは1個分隊が混乱しました。そして4号戦車期待の反撃は。効かない。SU-76Mへのパンツァーシュレック、ファウストも当たらない。
 ターン後半、ドイツは4号戦車がもう1度撃つ。しかし倒せない。なら追加射撃。故障。SU-76Mのシュレック・ファウストもまた当たらない。シャーマンへのパンツァーファウストもまた当たらない。
 ならばもう1両の4号戦車が丘を登り、SU-76Mに隣接攻撃だ。するとソ連分隊が8火力+3射撃。そんな射撃効きっこないよ・・なんでそっちのは効く。4号スタン。こうなったら北の増援スタックをSU-76Mに隣接させて24火力射撃。さすがにこれは効くだろう。ピン、蓋を閉じただけ。
 そしてソ連は砲を一発修理したT-34/85で4号を破壊。中央のドイツ歩兵もソ連の攻撃で混乱が増え始めた。結局ドイツはせっかくのチャンスを何も生かせなかった。

 ドイツがちょっと夢を見ただけの第3ターンが終わって、第4ターン。全方向からのソ連一斉突入を、ドイツの戦力ではもはや止めようがありません。少しだけ追い返したものの、街の中心部では全体が白兵戦を受けてドイツ軍は壊滅。ドイツ投了です。



 確かにドイツのサイの目は悪かったです。IFTは28回で平均7.82、THは23回で7.91、TKは3回で9.00でした。しかし負けたのは明らかに作戦負けによるもので、ソ連戦車が高台の両脇を迂回して後ろに回り、ドイツの丘への増援を阻止して来ることを考えていなかったせいです。春のコオロギの時に攻撃側の戦車が有利な位置に先着して増援を阻止したことからすれば、当然今回も警戒しておくべきでした。
 今回背面攻撃に備えて中央後方に置いたマルダーIIIは、戦車ダミーと共に丘後方の両脇に置いて、ソ連戦車の迂回移動を牽制していたら、まだまだ戦えていたと思います。もちろんこれをするとマルダーはソ連戦車に倒されるかもしれませんが、隠蔽に加えてハルダウンの可能性がありますし、ドイツの増援が先に街中へ入ることの方が重要です。
 また今回の状況でも増援は2つに分けるのではなく、西のソ連戦車に集中して確実にこれを倒し、増援を入れられるようにするべきだったと、終わってから浜甲子園さんに指摘されました。私はT−34に上がられてしまうとどうしようもなくなると思って4号を阻止に回したのですが、高台に上がられても後ろのマルダーがある程度牽制できるので、確かにその手も十分可能でした。
 やはりいつもと違う相手との対戦は、非常に多くの学びがあります。ルールも我が家での誤りがいくつか見つかりました。集中決戦戦術の有効性については、次回以降に持ち越しです。

 それから攻撃側戦車をほとんど止められない春のコオロギの時ほどではないにしろ、今回のように攻撃側が先に防御側戦車・砲の3倍の戦車を投入できる場合は、防御側の戦車数を0.5倍することにします。防御側の戦車数はその後に防御補正で2倍するので、結果的にこの場合は戦車戦を防御効果無しで評価することになりますし、春のコオロギのような場合(0.25倍)では攻防が逆転したという計算になります。

 
インデックスへ