押しつぶされた風船
 
 今日のASLは、アニュアル96よりA91 ゴラへの道。ソフィン継続戦争で、侵入したフィンランド軍にソ連軍が反撃し、拠点を奪還した。しかしそれはフィンランド軍の罠で、ソ連軍は包囲されてしまった。フィンランドは7.5ターン以内に、西からの部隊を3VP以上東側のボードに送り込んだら勝利です。深雪で、真ん中の道路は除雪されています。
 包囲されたソ連は冬季迷彩があり、エリート6個一線級10個分隊と機関銃重2(狐穴に置く)軽4です。
 これを攻めるフィンランドも冬季迷彩で、東側はエリート7.5個分隊と軽機関銃3爆薬2を初期配置、西側は一線級6個分隊と機関銃中1軽1軽迫撃砲1が第1ターンに侵入します。そして第2ターンには、軽機関銃と爆薬を持ったエリート1個分隊が、北か南から入って来ます。エリートはスキーを装備し、格闘戦を選べます。
 部隊数では防御側の方が多く、一見ソ連有利に見えます。しかしフィンランドは、初期配置の強力なエリートスキー部隊でソ連の薄い所に穴を空けて、そこからたった1.5個分隊抜ければ勝ちなのです。そのためソ連は薄く両面防御をしなければならず、これは分割防御で評価すべきなのかもしれません。しかしそれだと今度はフィンランドがかなり有利ということになり、ちょっとバランスが分からないので、シナリオ通りにやってみます。
 子供がフィンランド、私がソ連です。


 ソ連はどこから攻められても良いように、ダミーも利用しながら両面に戦線を築きました。コミサールを使えると良いのですが、9−1と7−0しかいないので、それはできません。
 そしてフィンランドは西側を三つに分けて、どれか1つでも抜ければ良いようにし、東側では中央北寄りを集中攻撃して、戦線に穴を空けようとします。しかしソ連は多方向からの臨機射撃とファイアレインを駆使し、隣接して来たフィンランド兵を両方混乱させて、この攻撃を食い止めました。これは防御が上手く行った。
 と言ってもターン後半、8火力を持つ強力なフィンランドエリートとこれ以上撃ち合っても絶対負けるので、ソ連は東の部隊を森の中に下げて、ずらりと並んだ戦線を作ります。そして西では重機関銃2つの鬼スタックを、フィンランド軍中央と南を抑える要所に動かし、こちらからの攻撃もがっちり食い止める構え。

(下が南)

 第2ターン、東のフィンランド軍は、質を頼りにソ連戦線へ正面から横一列でぶつかって行きます。するとやはりフィンランド兵は強く、ソ連はぎりぎり持ちこたえたものの、所々穴が開いて次は耐えられるか分かりません。
 そして西側では、北からやってきたフィンランド別働隊が、ソ連戦線の端に爆薬攻撃。不運にもこれが不発で、続く白兵戦も隠蔽のまま隠れたソ連兵を倒せませんでした。しかしこちらも全体にじわじわ隣接され、ソ連は不安な状況。
 ターン後半、ソ連軍は後退して新たに戦線を作り直しましたが、北側が押し潰されていて苦しい感じ。

 第3ターン、フィンランド軍の総攻撃に、ソ連も全力で迎え撃つものの、質が違い過ぎて崩れました。
 ターン後半、ソ連は撃てるだけの射撃をしますが、当然撃ち負け。東では取り残された混乱フィンランド部隊を攻撃しに行くものの、こちらも狙撃兵で混乱を出す始末。ソ連負け。



 ソ連はできるだけの事をしたつもりでしたが、薄く引き延ばされた所を質の高い部隊に両面集中攻撃されたら、結局風船のように破れてしまいます。やはりソ連は分割(分散)防御を強いられるということで、攻撃側1.5倍として戦力評価すると、フィンランド12%優勢の予想勝率8割5分となります。
 ただ今回の守り方ではほぼ勝ち目が無さそうなソ連ですが、バランスルールで8−1を入れてコミサールにし、全軍を東側だけに配置して、フィンランドスキー部隊を徹底的に迎撃する作戦を取ると、状況が変わり得るのか?ソロで試してみました。


 ソ連は森の東側に完全な戦線を作り、後ろにコミサールを控えさせました。これに対し東のフィンランド軍は見えない所で隠蔽を付け、冬季迷彩を利用して隠ぺいを維持したまま1ヘクスずつ進みます。
ソ連は撃ち合っても勝てるとは思えないので一退一進。西の突破側も迫って来たので、ソ連は二重戦線に引き直しました。
 第2ターン、また1へクスずつ迫る東側のフィンランド軍。やはりソ連は一退一進で現状を維持します。


 第3ターン、隣接されてはさすがにソ連も撃つしかない。ここで運良く3を出して1つ損耗させたものの、やはり高火力エリートには撃ち勝てません。フィンランド軍はあっさり森の外縁部に侵入してしまいました。ソ連は混乱した内のクラス低下しなかった分隊らをコミサールで即時回復させたものの、西側でも弱い所を削られ、戦線は押し込められるばかり。
 第4ターン、フィンランド軍がさらに攻撃を掛けると、ソ連はまた3を出して損耗させたり、倍火力の敵に白兵戦で耐えて混戦にしたりして健闘します。がそれでもやはり火力が違い過ぎて、削られながら押し込められるのを止められません。これにより下側の脱出ルートが開通し、フィンランドの突破はほぼ確実になったので、ここで終わりにしました。



 ソ連軍を可能な限り集中しても、フィンランドには冬季迷彩で隠蔽のまま進むという手が有り、結局ソ連は広がった両面防御をするしかなくなります。なのでやはり分割・分散防御と見て間違いありません。そしてこの守り方ならソ連が右側で一度くらい撃ち勝てる可能性もいくらかあり、ソ連の予想勝率1割5分というのもだいたい妥当だと思います。

 
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