鉄の墓標
 
 今日のASLは、Euro-Pack III - Late War `44-45よりEP61のElusive Armor逃げ上手な戦車。1945年フィリピンに上陸したアメリカ軍は日本戦車の奇襲を受け、これを駆逐戦車で救援します。先に20損害ポイントを稼いだ方が勝ち、そうでなければ7ターンの終わりに日本が勝ちます。太平洋地形で建物は全て小屋です。
 日本は新砲塔九七式中戦車6両が第1ターンに北西から侵入。アメリカは日本の侵入口近くの平地に、スタックできない9個分隊と、機動中のM7プリースト(105ミリ榴弾)を配置。そして第3ターンに76LのM18駆逐戦車5両が南からやってきます。
 以前日本戦車のTK値が実際より高すぎることを書きましたが、今回これに基づいて新砲塔チハのTK値を11から10に減らしてやります。
 何もしなければ日本の勝ちなのでアメリカを攻撃側とすると、戦力評価では全く互角となります。しかしこのシナリオは今まで例の無い戦車戦なので、予想勝率はあまり参考になりません。日本の頼みの新砲塔チハは、アメリカに一矢報いることができるでしょうか?子供がアメリカ、私が日本です。


 アメリカは近づいて来た日本戦車に反撃できるよう、全体で固まって配置します。これにいきなり突っ込むのは危険なので、日本戦車はプリーストから6へクスの距離に並んで停止しました。射撃戦ではプリーストが一方的に撃破され、アメリカ歩兵がいくつか混乱しました。またアメリカ分隊がバーサークしたものの、日本戦車への白兵戦は効果無し。
 第2ターン、日本戦車はアメリカ軍に突っ込んで、オーヴァーランを掛けながら包囲します。これで大量のアメリカ兵が除去され、これからアメリカ戦車がやって来てもほぼアメリカに勝ち目は無いので、日本の勝ちとして終わりにします。

(下が西)


 ちょっとこれではアメリカどうしようもないんじゃないということで、アメリカ軍の配置範囲を道路の線まで広げてもう一回やってみます。アメリカ軍はぎりぎりまで下がって配置し、日本戦車はやや効率の悪い位置までしか進めません。


 戦車戦では、日本戦車がバズーカに撃たれて1両やられるのと引き換えに、プリーストを破壊。アメリカ歩兵たちはジャングルや小屋に隠れました。こうなっては日本も追撃は無理なので、後ろに下がってアメリカ戦車の反撃に備えます。
 しかし考えてみるとこの位置では、お互い威力の下がる遠距離でアメリカ戦車に撃たれます。すると元々オーヴァーキルであるアメリカ戦車砲の破壊確率は変わらず、日本だけが6以下破壊から5以下破壊に下がって不利になるのです。
 そこで日本は後ろのジャングルの隙間に隠れることにしました。ここなら至近距離での戦闘になるので、日本は7以下破壊に上がって有利に戦えるはず。アメリカ軍もこれを追って、日本戦車の隠れるジャングルに迫ります。


 そして準備が整ったアメリカ軍は、次々とジャングルに突っ込んで日本戦車と対峙。アメリカ戦車はAPCR弾によって2回撃つチャンスがあるので命中率が高く、前進射撃にもかかわらず前面にいる日本戦車2両をたちまち炎上させます。一方日本からの射撃は、移動、ジャングル地形、小型、蓋閉じ、煙でかなり当てにくく、もう絶望的。
 ところがここから日本に奇跡が起こります。望みの無い射撃をした2両が、続けて2(致命的)と3を出して連続命中させ、正面のアメリカ戦車2両を破壊してしまいます。さらに次のターンにはまた致命的命中を出して3両目が炎上。日本のVPは17になって、あと1両破壊したら日本は勝ってしまいます。
 ちょっとあり得ない結果になったので、アメリカはこれ以上戦車をやられないよう、後は歩兵に任せることにしました。日本戦車は周りから隣接して来たアメリカ歩兵に対して撃ったものの、火力が低すぎて効果無し。そして45年型バズーカは命中率が高くて、白兵戦に頼るまでも無く4両目の日本戦車を倒し、アメリカの勝利となりました。



 チハ改の正しいTK値10を使って普通のサイの目だったら、アメリカ駆逐戦車はもっと強かったはずです。多分シナリオそのままでも、アメリカが歩兵を林近くに分けて置けば序盤の損害を軽減でき、戦車戦での挽回も不可能ではなかったと思います。
 新砲塔チハが6両も出て来て活躍するシナリオは珍しく、日本戦車ファン?には堪らないシナリオではないでしょうか。

 
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