地下室を巡る頭脳戦(SF5検証)
 
 今日はSword & Fire: Manilaを始めて早い頃にやったSF5 No Safe Refugeを、もう一度やって研究してみます。子供が日本、私がアメリカです。
 これを最初にやった時はまだSFの特性が分からず、アメリカ有利かと思って戦力調整をしてやったら、アメリカが全然勝てませんでした。その後多くのSFシナリオをやって、日本軍がSF地下室を生かして戦うと、戦力差を覆しうることが分かりました。そこで今度は戦力調整なしでやって、日本は勝てるのか検証してみます。ただし日本軍が形だけの同士討ちをして、謎の増援呼び出し儀式をするのを防ぐため、日本バランスで増援は日本の狙撃兵活性化時とします。


 日本軍は地下室のある3つの建物だけに置かれています。これまでの経験で、地下室でなければアメリカの強力な火力に耐えられないことが分かっているからです。
 特にマニラ総合病院は大きくて階段が建物内側にあり、地下室を攻撃しようとアメリカ軍が階段を降りると、周り中から包囲攻撃を受けるので、これを支配するのは困難を極めます。日本軍は大分の数が最初から地下に潜っていて、アメリカ軍は外部から攻撃することもできないので、ここの攻略はあきらめるしかありません。
 するとアメリカは、病院以外の全ての勝利条件建物を支配するしかないので、やはり前回の2回目と同じく科学棟を攻めます。一方日本は、奥の聖母被昇天大学で、地下室への入り口に爆薬の完全設置を始めました。

 ここからしばらくゲームを続け、少数の守備隊しかいなかった科学棟は難なく陥落しました。しかし日本が聖母被昇天大学の地下室への階段を塞いだ時点で、地雷が山積みされ鉄条網に覆われた塹壕から、アメリカが地下室を全て攻めとるのは無理ということで、ゲームを終了しました。


SF地下室の活用

 今回の検証をもとに日本軍の守り方を考えてみます。日本軍が地下に籠ると、アメリカがマニラ総合病院を地下まで占領するのはほぼ不可能で、聖母被昇天大学(Assumption College)も爆薬の完全設置で入り口を破壊すると、地下への侵攻が不可能になります。これが成功すれば日本は勝ちかと思いましたが、ネットの和訳の旧訳に抜けがあり、新訳には次の内容が追加されていました。

A26.161 〜B.偶然の火災や瓦礫化によって進入できなくなった区域は、その区域のあるヘクスを支配している陣営に支配される。

 これにより日本軍が地下に隠れた場合、階段が全て塞がれたなら、アメリカは建物の全ヘクス(つまり0レベル)を支配すれば建物地下を支配できます。また日本が塞がなくても、アメリカの方で全部の階段を爆薬で塞げば、やはり責任を問われず同様の状況にすることができます。
 日本はこれを防ぐため、地雷と鉄条網で覆った塹壕を1つずつ両方の建物に接続し、地下室への入り口を確保する必要があります。入り口が残っていれば、放火しても支配は失わないので、日本は両方の建物の階段を放火で塞ぎ、塹壕からの入り口をしっかり固めることで、アメリカの圧倒的な火力に十分対抗できるでしょう。
 以上が竜派で導き出されたSF5 No Safe Refugeの結論です。このシナリオはSword & Fireで前半最大のシナリオであり、普通なら射撃と白兵戦による激しい戦闘を期待するところでしょう。しかし当然のことながら、アメリカ軍の強大な火力を相手に、日本軍がまともに撃ち合ったら、勝てる訳がありません。アーカイヴでアメリカが圧勝しているのは、そういうことでしょう。
 すると日本がルールと勝利条件から最善を尽くすなら、地下室に隠れる以外の選択はありません。そうなると地下への入り口はできるだけ少ない方が有利なので、必然的に階段を塞ぐことになります。これは期待したようなドンパチではないかもしれませんが、ルールと勝利条件を良く理解し、思い込みに囚われない作戦を考えるという頭脳戦であり、ウォーゲーマーとして指揮官としての器量が試される、意義深いシナリオと言えます。


SF地下室ルール

 最後にSF地下室がある建物の条件について確認しておきます。これが違っていると、全てが無意味になってしまうので。
All stone and adobe buildings with a printed stairwell or Steeple symbol [EXC: Single-Hex Two-Story House not described in 4.2, Multi-Material buildings, and Intramuros Stairwells]
石造とレンガ造建物で、印刷された階段、または、尖塔シンボルがある、全てのもの(例外 1ヘクス2階建て建物の内4.2で述べられていないもの、多材建物、イントラムロスの階段)
 ややこしい条件ではあるものの、紛らわしい所は無いと思います。

 しかし中には誤って「印刷された、階段または尖塔の、シンボルがあるもの」と解釈し、地下室を持つ階段シンボルは△と□のものだけで、ルールで階段シンボルと書かれていない〇印は含まない、と考える人がいるかもしれません。しかし印刷されたものとされていないものがあるのは階段だけなので、尖塔にもかかるような解釈はおかしいです。またシンボルは印刷されているに決まっているのに、「(わざわざ強調して)印刷された」「シンボル」と解釈するのは、全く不自然です。
  それからSF4.1では「複数ヘクス建物が大きな白い中心点を含むヘクス(例:2H56)と共にあるのは2階建て建物(B23.22)で、そのヘクスにだけ階段を含む。」と、〇印を階段のあるヘクスだとしているので、〇印が印刷された階段であることも明らかです。もしデザイナーが△印と□印だけを地下室の印にするつもりだったのなら、「印刷された階段」ではなく「階段シンボル」と書いたはずです。
 逆にもし〇印が印刷された階段に含まれなかったら、〇印である1ヘクス2階建て建物は元々地下室が無いことになり、例外でさらにこれを除外しているのがおかしくなります。しかも脚注では「高層建物と大規模建物」に地下室があるとしているのに、高層でない大規模建物(マニラ最大の総合病院すら)が、どれ一つとして地下室を持たないことになってしまっておかしいです。
 という訳で、〇印を持つ石・レンガ建物は、例外を除いてSF地下室を持つと考えます。

 他にSF地下室には以下のような注意点があります。
・地下室は建物の絵全ての下にある(階段の所だけではない)
・しかし昇降できるのは階段の所だけ
・LOSは建物内の「隣接」区域と、接続する塹壕(イラータによる)のみ(つまり窓が無い)
・スタック制限は1個分隊
・要塞化は禁止されていない

 
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