初めて分散が意味を持つ
今日のASLは、AP60 Nishne, Nyet!「ニシュネ、渡さねえ!」。ソ連軍がドン河を渡ってロストフの西のニシュネに築いた橋頭保に対し、ドイツ軍はティーガーを伴ってその奪取に向かった。積雪があり、涸れ谷はAT溝になり、ピンクダイヤの4つの建物は工場です。ボード8の建物で、階段マークが有るものは石造2階建てに、無いものは木造になります。東から北西に通じる道路は、半レベルの鉄道になります。
ドイツは48VP以上の損害を被ることなく、第4ターンなら1つ、第6ターンなら2つ、7.5ターン終了時なら3つの勝利条件を満たしていたら勝利です。
a.鉄道に隣接する全ての石造建物を支配する。
b.ボード49と8の全ての石造建物を支配する。
c.3aL7から3ヘクス以内に、ソ連の機能しているAFVも統制MMCもいない。
守るソ連は、15個分隊とモロトフプロジェクター2、ロードブロック1、57LL対戦車砲2門、76L野砲1門、37LLキャニスター有のスチュアートが4両、76LのT−34が2両です。
そして攻めるドイツは、15個分隊と9−2指揮官、火炎放射器1、爆薬1、ハーフトラック3台、ティーガーI3両、75*榴弾の3号N型3両が、第1ターンに東から侵入します。そして第2ターンには、7個分隊とティーガーI3両、3号N型3両が、北か東から出て来ます。
さて戦力をそのまま評価すれば、ドイツの予想勝率は48%と非常に良いバランスです。ただし4ターンで1つの勝利条件を取られると負けるので、ソ連は戦力を2つに分けなければならず、東側の大工場を集中各個撃破されるかもしれません。そう考えると分割防御で1.5倍されてドイツの予想勝率は86%になりますが、果たしてどちらが正しいのでしょう。分からないのでバランスは調整せずにやってみます。
子供がドイツ、私がソ連です。
ソ連は西の村を戦車多めで、その東の大きな工場は歩兵多めで守ります。いつも通り余計な分散はしません。鉄道を通ると戦車は時間がかかるので、東から来るドイツ軍はできるだけ道路を進みます。
第2ターン、ドイツは大工場へ集中攻撃。あれ?ドイツ戦車が思ったより早く着いて、脇の建物に出た歩兵が大工場に戻れなくなったぞ。それなら西の村から戦車を出して近づいて来たティーガーに包囲攻撃だ。うーん大きいのに全然当たらない。なら建物内に隠した57LL砲で後ろから撃つ。故障。まるでだめだ、ソ連負け。

(下が南・白ダイヤの道路は鉄道)
やっぱり分割防御でドイツ有利じゃないのかなと思いましたが、子供はこのシナリオこそ兵力を分けて遅滞するのが有効なシナリオなんじゃないかと言います。そこで後日入れ替えてもう一度やることにしました。
二戦目。だからと言ってソ連がバラッバラに分散したらだめなのは当然のことです。大工場が4ターン持ちこたえるのに最低限必要な分を、ドイツの駆け抜け防止に出すだけです。他はやはり西の村と大工場に集中します。
ドイツは2つの最前衛に向かって、部隊を猛突進させます。ダミーかもしれないし。すると皆本物でした。ドイツ歩兵は撃たれ、9−2指揮官含めていくつか混乱。そして隠蔽戦車は二両ともスチュアートで、緊急起動しました。しかしドイツの猛攻は、1両を火炎放射器で燃やし、もう1両も白兵戦で炎上させました。今日のドイツ軍は強いぞ。
1ターン後半、その奥も本物のスチュアートで、先頭の3号N型を撃って炎上させました。そして第2ターン、今度はこのスチュアートとATR分隊に殺到するドイツ軍。ソ連軍も奮闘し、ドイツハーフトラックを1台衝撃後破壊しもう1台も撃破しましたが、スチュアートは走行不能後炎上しました。東側のドイツ軍はかなり好調です。

(下が北)
しかしソ連前衛による捨て身の遅滞行動により、東側の部隊が大工場攻撃を始められるのは第4ターンになってしまうので、4ターン勝利はなくなりました。そうすると6ターンの勝利も、大工場の撃滅と西の村の一部占領が両方必要になるので、時間的に難しいでしょう。
結局ソ連がこのように守ると、ドイツは最終ターンの全条件達成を目指すしか無いと思われるので、第2ターンの増援は全て、より早く攻撃を開始できる西の村に投入することにしました。ドイツ軍全増援に迫られると、西のソ連軍前衛だけでは歯が立たないので、村の裏側に後退します。
第3ターン、東側4つ目の戦車はダミーで、東のドイツ軍は大工場前の中工場に入ります。そして西のドイツ軍も村の中に突入しました。ソ連軍も村の奥と大工場で守りを固めます。
第4ターン、ドイツは大工場前面に戦車を配置し攻撃態勢を整えますが、森の中から76Lが丁度森と石垣の隙間を通して3号を撃ち、これを撃破します。うーん、これは厄介。一方西側では、ソ連拠点の石造アパートに煙幕を置き、ドイツフルスタックが突入準備を整えました。

第5ターン、正面からでは大工場を攻め切れないと見たドイツは、東側の歩兵主力を大工場北の建物に移します。そして大工場南の建物群にも臨機射撃をくぐり抜けて半個分隊を送ると、隠れていた57LLを発見。ティーガーに隣接射撃させてこれを混乱させました。一方西ではドイツフルスタックが石造アパートで白兵戦に勝ち、村の制圧まであと一歩。次は最後の拠点に総攻撃だ。
と思っていたらターン後半、西の村でソ連は最後の拠点に兵を集めてきます。ドイツは歩兵とティーガーで撃ちましたが効果無し。この動きはきっと。ソ連スタックが白兵戦でドイツフルスタックに逆襲!戦力も指揮能力も同じで、不意打ちも無い全くの互角。ゲームの勝敗を決するこの勝負は?ソ連が一方的にドイツ2個分隊を倒して勝ち!うーん、やられた。
第6ターン、西の白兵戦はその後両軍とも援軍を送って勝ったり負けたりでしたが、ドイツとしてはここを速やかに倒して、大工場に援軍を送らないと戦力が足りない感じです。さらに隠れていたモロトフプロジェクターは故障したものの、回り込んだ3号は対戦車砲に撃たれて昇天。
他方大工場でも内部に陣取る中機関銃スタックが強力で、東の戦力だけで攻めましたがやはりはかばかしくありません。しかも西で1両倒し終えて振り向いた対戦車砲により、工場脇の3号がまた1両やられました。こうなるともう大工場は落ちないので、ソ連の勝ちです。

今まで最大限に戦力集中しないのは常に悪い手でしたが、これは強制されない兵力一部分散が意味を持つ初の例でした。この条件では、少数の部隊が平地駆け抜けを見張ることで、簡単な4ターン各個撃破勝利を阻止し、ドイツの勝利条件を一気に困難にできるのです。そしてこれは、時間段階勝利条件がゲーム上まともに機能した初の例でもあります。
それから今回半レベル高の鉄道ルールを間違っていて、鉄道は半レベルの障害物がヘクス中央を通っているものと思っていましたが、本当は鉄道に隣接するヘクスでは鉄道を自分側にある石垣と見做して向こうにLOSを通せました。ここは攻撃の邪魔だなと思っていたのですが、実はむしろ足掛かりになってもう少し攻めやすく、戦力そのままの評価通りバランスも良いようです。
インデックスへ