中華精神
今日のASLは、シナリオ71ジャングル・ツィタデル。1944年のビルマで、陣地を築いて待ち構える日本軍に対し、アメリカ式の訓練を受けた中国の精鋭が総攻撃を掛けます。中国は6ターンまでに中ほどの3階建ての塔の1階を支配するか、12ターンまでに奥の川の向こうの建物の1階を8へクス以上支配すると勝利です。
太平洋地形が有効で、ジャングルは浅く、道路はありますが非舗装、小川は乾いていて、運河は橋が無く小川になります。建物の3階はSMCと2PPしか入れません。地雷以外の野戦構築物と砲は、隠蔽地形でしか隠匿配置できません。日本には70ミリ盤外砲(電話)、中国には100ミリ(無線)と120ミリ(空中観測)の盤外砲があり、中国側は計画砲撃ができます。中国には第1ターンから爆装の戦闘爆撃機3機による航空支援もあります。
日本軍は、一線級13個分隊と70ミリ短砲身歩兵砲、20ミリ対空砲に、地雷24火力、+5トーチカが4、塹壕4、鉄条網8、パンジス20、建物の要塞化4と、がちがちに固めています。一方中国軍は、アメリカ式エリート5−3−7(裏はモラル8)が22.5個分隊と9−2指揮官、火炎放射器3、爆薬3です。
中国軍の質補正を−0.2として計算すると、戦力は中国軍が3%だけ優勢。アーカイヴのROARでも中国の勝率51%と、非常に良いバランスと思われます。子供が日本、私が中国です。
さて日本はまずどこで守るか。中ほどの勝利条件建物を早く取られると負けなので、最初から後ろに下がって待つことはできません。また中国には盤外砲が2つもあるので、あまり固まりすぎるわけにもいきません。そこで日本は、中国から見て右手では勝利条件建物の前の町で、左手では中ほどの大きめの建物で守ります。右手の町前面の道路には鉄条網が張られ、右手から中央にかけて中ほどに3個のトーチカが見えています。意外にも中国の足掛かりになりそうな中央前面の建物には何もありませんが、地雷が隠されているかもしれません。そして勝利条件の塔3階には何か置かれています。盤外砲の電話でしょうか?
第1ターン、塔の上が電話だと森を撃ち放題で大変なことになるので、中国は重機関銃でそこを撃ちますが効果なし。また盤外砲を右の町の計画砲撃地点に撃ちますが、ずれてトーチカにしか当たらずこれも効果なし。さらに右端では中軽機関銃で射撃しますが、要塞化建物でやはり効果なし。中国目が悪い。
中央は地雷が疑わしいので、偵察の1ユニットを警戒で進ませるだけにし、中国軍は左右から前進します。すると右の町の手前の森は皆パンジスだらけ。これは警戒せずに進むとモラルチェックや下手すると損耗を食らう意外と危険なもの。用心しながら進みます。
一方左端を偵察しながら進んだ中国軍ですが、突撃した竹林にパンジスが。普通の突撃ならパンジスモラルチェックは受けないのですが、困難地形である竹林ではモラルチェックを受けることになり、早速混乱してしまいます。しかも竹林の間の林にも鉄条網&地雷があり、中国軍はここでも混乱。さらに後ろには日本の重機関銃トーチカまで。だめです。左端ががちがち過ぎて、とてもじゃないが進めません。中国こんなのなんとかできうるのか?
ターン後半、日本軍は少し配置転換し、中国重機関銃はまた塔の上を撃ちますが、結局これはダミー。中国は右手のFFEを動かしますが、前線の隠蔽を?がしただけで終わります。中国航空支援は効果がないばかりか、機関銃が故障して爆弾を外した機が1機役に立たなくなって帰還してしまいます。

第2ターン、中国は再度盤外砲を要請しますが、またずれて今度は味方も巻き添えになります。右手で前進した部隊は迫撃砲で撃たれて混乱したり、石造建築まで駆け込めた分隊も、そこが地雷でやはり混乱したり、モラルチェック弱すぎ。左手でも端は進めないので、混乱した部隊を回復しつつ、じわじわと中央にシフトします。この辺は日本の砲に狙われているので、慌てて動くとすぐやられてしまうのです。中央の建物には意外や地雷は無く、中国はここを攻撃拠点に使えそうです。また中国の航空支援は日本の後方部隊にやっと少し損害を与えました。
第3ターン、位置を移動して射撃を再開した中国の重機関銃は、よく当たって右手の日本分隊を1つ除去しました。この隙に右手中央付近ではじわりと前進を開始します。しかし地雷の中で混乱していた中国分隊は、敵の射撃で戦禍となり、よりによって12を出して降伏。12以外なら回復していたのに、本当に目が悪い。一方左手の中国軍は隠蔽をつけたまま少しずつ中央の建物に入っていきます。そして日本中央のトーチカ砲は、隠蔽されているにも関わらず林に地域射撃を当て、中国兵は混乱させられます。航空支援は先ほど混乱させた日本の迫撃砲兵を除去しました。
第4ターン、中国重機関銃はまた1個分隊を除去しますが、右手で射撃戦を続けていた中国軽機関銃部隊は、逆に負かされて混乱。それ以外は中央の建物にまた兵力を送り込んだだけで、中国は全然進めません。そしてターン後半、なんと中国の空中観測機が2枚目の赤を引いてしまい、何もしないうちに盤外砲撃を禁止されてしまいます。これは痛すぎる。
第5ターン、中国は右手の日本軍に白兵戦を掛けますが、不意打ちを取られて返り討ち。中央でも森の前面に出ていくたびに砲に撃たれたり、建物では白燐弾で混乱させられたり、全く埒が明かない状況です。これはもう中国無理なのでは。
第6ターン、右端の中国中機関銃が、もともと故障しやすいとは言え2つとも故障してしまいます。しかも右でも左でも前進した中国軍部隊が撃たれて混乱し、どうしようもない状況。それでも中国は重機関銃を中央でゆっくり前進させ、右手ではやっと要塞の一角を占領しましたが、日本のトーチカが固すぎて絶望的です。
しかしターン後半、転機は突然訪れます。位置を変えて盤外砲を誘導していた観測員が、丁度日本の中央トーチカ前面に煙幕を落とすことに成功したのです。よーし、今こそ中華精神を見せる時!
第7ターン、中央に到着していた中国重機関銃は、左手建物の日本兵に損害を与え、中央の建物から煙幕に向かって中国兵が駆け出します。しかし半個分隊は煙幕までたどり着いたものの、やはりまだ日本軍の射撃がきついので、残りはウミガメ戦術でじわりと前進します。右手では中国中機関銃部隊が中央に向けて移動し、右手の町では日本軍の落とした爆薬を拾った中国分隊が、要塞建物に突破口を空けて白兵戦をかけます。しかしこれもまた返り討ちに合って倒されてしまいます。日本は両翼から重機関銃を後退させ、中央での中国軍の前進に備えます。

第8ターン、中国はさらに煙幕を落とすのに成功し、今度は左手の日本軍建物を覆い隠す良い位置に置かれます。こちらの盤外砲は運が良く、今まで一度も赤カードを引いていません。これで中国軍は一気に中央を突き進めます。しかしこれを左手の建物で待ち構えていた日本の重機関銃が、煙幕の効かないファイアレインで阻止しようと射撃。ところが何とこのタイミングで重機関銃は故障。流れは完全に中国に移りました。隠れていた日本の中機関銃も煙幕のせいで撃てず、中国軍はそれを白兵戦で倒します。ここではもう止めらない日本軍は、さらに下がって中国軍を食い止めようとしますが、中国軍に撃たれて混乱します。
第9ターン、回復した日本軍を再び倒しながら、中国軍はさらに前進。第10ターンには、建物に隠れていた日本の中機関銃に1個分隊混乱させられたものの、多くの部隊が川の手前まで到達し、後半にはその日本中機関銃も沈黙します。
第11ターン、ついに川を越え勝利条件建物が並ぶ街に突入する中国軍。先頭を進むのは、重機関銃を捨てて突っ走ってきた9−2指揮官直率部隊。もうよほどのことが無ければ中国軍は、必要数の建物へクスを占領し勝てるはず。そして9−2指揮官たちは、果樹園に囲まれている中央の3階建て建物に近づきます。
ここでその建物に日本の半個分隊が登場。しかし倍火力でもたった4火力でFFMOもつかない射撃なんか、9−2指揮官に効くはずないでしょ?カタカタ、カン。ああっ?スネークス?KIA?なんてこと。勝ったと思っていたのにここでそれを出されるとは。
しかしまだ中国負けたわけではありません。第12ターンには、残りの部隊が川を渡って、必要な支配数を確保できるように動きます。すると入ろうとした左手の建物に、最後の日本半個分隊が現れます。しかしこれも分隊で突撃し、二回の白兵戦の間に倒せば、ぎりぎり中国勝てるはず。
そして白兵戦フェイズ。中央の建物は楽勝で倒して占領。後は左の建物だけです。そして不意打ちのチェックですが。あっ、日本軍不意打ち!日本半個分隊は離脱し、隣の建物へクスを奪還してしまいます。日本ぎりぎり勝利です。

これは予想通り非常にバランスの取れた良いシナリオでした。陣地は固くサイの目は日本に良く、中国もうだめかと思ったところを、不屈の中華精神で逆転しかけたのに、惜しかった。でも12ターンと長めのシナリオなのに、勝負が最終ターンで逆転という劇的な勝負でおもしろかったです。
予想プレイ時間は(41.5+3×3)×12÷60+1=11.1時間。実プレイ時間は13時間くらいでしたが、これだけ白熱した戦いでは長引くのも当然かもしれません。また初めて中国軍を使いましたが、質補正は−0.2で良いようでした。
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