絶望の揺籃
今日のASLは、AP66 Cat's Cradle 猫の揺籃。Cradle=揺籃は、揺りかごという意味の他に、物事の初期段階という意味があり、ネコ科であるパンサーの初期型が登場することを指しているようです。ツィタデル作戦に投入された新型戦車パンターでしたが、急ごしらえで欠陥を抱えていて、ソ連はこの攻撃を予想して十分な防備を整えていました。ドイツは6.5ターンの終了時に、ボード60で9棟以上の複数へクス建物を支配しており、かつソ連より多くの可動AFVを持っていたら勝利です。丘のレベル2は無く、沼、小川、池どれかの隣に道路移動以外で入ると、軟らかい地面のボグチェックを受けます。
守るソ連は、ライフルエリート13個分隊と事前登録付きの70ミリ盤外砲電話、地雷42戦力、45LL対戦車砲2門、塹壕5、鉄条網5を初期配置します。そして37LLと75ミリを両方持つリー戦車3両が第2ターンに、76Lオープントップ3両が第4ターンに、北から入って来ます。
そして攻めるドイツは、8−3−8が4個4−6−8が6個分隊、ボグから助ける能力のある2戦級工兵が2.5個分隊と9−1指揮官に、火炎放射器1、爆薬1を南側に初期配置。そして第1ターンには南西から4−6−8の4個分隊とパンターD型4両、37Lハーフトラック1両、輸送ハーフトラック3台が、第3ターンには東側半ばから4−6−7の6個分隊と75Lの4号戦車2両、火炎放射器3号戦車2両が、それぞれやって来ます。
子供がドイツ、私がソ連です。
普通であれば高台の上の密集した石造市街というのは、防御側歩兵にとって安寧の揺りかごとなる場所です。しかし今回の場合、ドイツには市街戦に強い2両の火炎放射器戦車と8−3−8の4個分隊火爆付きがおり、その高負荷によって市街は還らずの都と化してしまいます。
そこでソ連は高火力市街戦を避け、丘の外部で戦う方法を模索しますが、話は簡単ではありません。丘にはレベル2が無く、丘の周りの多数の林や果樹園がLOSを妨げるので、丘の端の石造建物からドイツ軍を狙い撃ちするのは難しいです。かと言って丘の前面中央には防御しやすい地形が少なく、周りに麦畑や果樹園が多いので、そこから広い範囲を見張ってドイツ軍を食い止めることもできません。
そこでソ連は致し方なく丘の前面左右に兵力を分け、ドイツが中央から来るなら左右からのファイアレインで足止めして、市街で唯一高い尖塔からの誘導でそこに盤外砲を落とすようにします。そして左右から攻めて来るのに備えて、地雷と鉄条網と塹壕で防御陣地を作りました。ただ兵力を分けていることから、片方を集中攻撃されるとどれだけ耐えられるか分かりませんが、後はやってみるしかないでしょう。
第1ターン、ドイツ軍はソ連から見て左端に攻撃を集中。こちらは相対する林に鉄条網を埋めてあり、平地を通らなければならないドイツは攻めにくいかと思っていましたが、火力スタック2つを木造建物に入れられてみると、ちょっと危険な感じ。
これは当初盤外砲でなんとかなると思っていましたが、よく見るとドイツ鬼スタックのいる建物は果樹園の影になっていて直接狙えませんでした。鬼スタック以外を攪乱砲撃する手もありますが、エリートに4火力は効果が薄く、24火力の鬼スタックに撃たれるのはきついと思い、ソ連は鬼スタックからの射撃を煙幕で妨げることにします。
しかしこれは失敗でした。第2ターン、ドイツはハーフトラックと一緒に無理矢理突っ込んで来ます。ソ連はファイアレインで対抗し、最後には隣接したフルスタックを1KIAで撃退もしました。しかしそれでも大量のエリートは止めきれず、火炎放射器戦車のために残して置きたかった対戦車砲まで使っても、ハーフトラックは全く止められませんでした。ハーフトラックの前進射撃により、ソ連の対戦車砲も中機関銃も混乱し、防衛陣地は一撃で崩壊します。
ソ連は右手の部隊と増援のリーを市街に入れて第2防衛陣地の構築に入るものの、前衛がこんなにあっさりやられては、時間まで持ちこたえられるかどうか。

(下が北)
第3ターン、残ったソ連前衛も、出て来たドイツの火炎放射器戦車に倒されて足止めの役を果たさず、ドイツ軍は一気に丘まで迫って来ます。この辺りまで来られると果樹園が多くて死角になり、ソ連はもう盤外砲をうまく落とせません。やっぱり止めきれない感じ?
第4ターン、ドイツ主力は市街に突入し、戦車やハーフトラックは背後にも回り込んで来ます。火炎放射器戦車が1両故障したものの、ソ連の部隊はあまりに少なく弱すぎる。ターン後半にはSU−76Mが入って来ましたが、今さらオープントップ76Lの無砲塔が来て何の役に立つのか?僅かな望みに賭けて残る火炎放射器戦車に攻撃を掛けてみましたが、虚しく全車無力化。ドイツの勝ちです。

このシナリオは高火力市街戦に該当することで、防御側が完全集中戦術を避けるべき第2の例になると思われます。しかしソ連は集中前提の戦力計算でやっと勝率49%の戦力しか無く、非集中防御に不慣れなこともあって、願ったようには守りきれませんでした。ここまで圧倒的だと、ソ連が煙幕の代わりに攪乱砲撃をしたくらいでは止めきれなかったでしょう。
ソ連がもっと良く守るには、まず右の林の列中央に盤外砲を事前登録して、右側の守りの要としておくべきでした。これは右からのルートに林が多く、電話からの距離が近くて死角が少ないため、盤外砲が効果的だからです。その上で地雷を左側へもっと多く持って行き、左陣地正面の建物にAP、道路にATを埋め、鉄条網も林だけでなく道路まで繋げれば、今回よりは大分持ちこたえられると思います。ただそれでも分割防御による不利は残るので、町を滅ぼすファイヤー部隊の怒りをソ連が止められるかは分かりません。
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