闇を振り払って進む
 
 今日のASLは、デラックス16、Clay Pigeons。これはクレー射撃の的のことで、弱い立場にいる人を指す言葉だそうです。フランスでドイツ軍の反撃が始まりましたが、攻撃を受けたアメリカ軍は通信が途絶しており、連絡が回復するまで彼らは単独で戦う事を強いられました。ドイツは7ターン半の間に、20VP以上を北に突破させたら勝利です。生垣はボカージュで、丘は無く、小川は深く、真ん中のボードの建物は無く、東西の半へクスは使えません。
 アメリカ軍は1戦級16個分隊と、機関銃が重1、中2と軽迫撃砲1。ドイツ軍は8−3−8が6個、5−4−8が14個分隊と、軽機関銃6、火炎放射器1です。

 今回は初の夜間シナリオ。以前はルールが面倒なので避けていましたが、今はもう大丈夫。使わなければいいのです、夜間ルールを!(え?)
 実はE章には「プレイヤーはこの章のルールを取り入れるか否かを自分の目的に応じて決定してよい。」と書いてあります。なので夜間シナリオで夜間ルールを使わなくても、ルール上全く問題ありません。
 しかしそれではバランスが取れないのではと思うかもしれませんが、それも大丈夫。こういう時こそ、今まで改良を重ねた戦力評価が真価を発揮するのです。計算の結果はアメリカ4.6%の優勢で、予想勝率は5割。そもそも勝率5割が予想されるシナリオは4本に1本くらいですから、特別ルールも少なくこの戦力比なら、バランスはかなり良い方でしょう。
 子供がドイツ、私がアメリカです。


 アメリカは真ん中のボードを東西に走る道の手前に、ボカージュと壕を利用して隙間なく並べた戦線を敷きます。火力は高くてもモラルが低いアメリカ軍は、先撃ちすることが肝要と考え、この線でドイツ軍と決戦するつもりです。特に鬼スタックは中央前面に置き、ドイツ軍がどちらから来ても32火力の強力な射撃を加えられるようにしました。
 第1ターンにドイツは、アメリカの戦線近くにボカージュの並ぶ西側から攻撃を開始。アメリカも戦力を西にシフトします。

 第2ターン、ドイツは集中攻撃を受ける突出ヘクスを避け、凹んだ2へクスに8−3−8のフルスタックを移動させます。ボカージュ内での移動は隠蔽が取れず、ボカージュの足を通してはLOSが通りません。そのためこれを撃っても効かなそうなので、アメリカは防御射撃を見送ります。
 ドイツは突撃火力でアメリカ兵を混乱させ、突撃では8−3−8を突出ヘクスにずらし、空いた所には5−4−8を出しました。そしてボカージュの効果により、撃った部隊は再び隠ぺいを回復します。
 こうして強力な火力に隠蔽付きで並ばれてしまうと、アメリカは撃ち勝てない気がしてきました。しかしマップは狭く、ターンは長いので、ここで止めなければ勝ち目は無いだろうと、ターン後半での射撃戦を強行します。
 まずは隠蔽を剥がすことを期待して、6火力での射撃を3回。しかし何と1つも効きません。これでは鬼スタックは半減火力でしか撃てず、かなり分が悪い。それでもここまで来て引けないと撃ってみましたが、1つ混乱、1つピンにしたのみで、反撃によって鬼スタックは全混乱。やっぱりだめでした。

(下が北)

 第3ターン、もう大きな抵抗は無くなったので、ドイツは安心して前進開始。ただマイナス修正の倍火力射撃はさすがにきついので、隣接しないよう着実に一歩ずつ進みます。アメリカはじわりと後退。
 第4ターンもドイツはじわりと進み、アメリカもじわりと後退。混乱したアメリカ兵は小川の中で回復を待ち、無事な部隊はクレストになって守ります。
 第5ターン、新しいアメリカ戦線の前に横たわる沼沢地が邪魔で、ドイツは意外と攻めづらい。ここに来て攻撃がスピードダウンします。アメリカは第2ターンに無理をせず、ここで戦力を残していたら反撃のチャンスだったのですが、後の祭り。ただ耐えるのみです。

 第6ターン、ドイツは半分近い戦力を突破させないといけないので、急がないと間に合わなくなります。なのでここは煙幕も利用しながら積極攻勢。これが見事に成功して、アメリカ右翼は崩壊します。
 ドイツは沼沢地を通ってこちら側に十分な兵力を送り込んでおり、これであと2ターンあれば確実に突破できるので、ドイツの勝利です。



 アメリカは決戦場の選択を誤りました。固いと思った最初のボカージュ防衛線は、ヘクスの足を通して撃てない特性から火力が集中しにくく、攻撃側もボカージュを有効活用できるので、思ったほど決戦に適した場所ではありませんでした。
 逆に後方の防衛線は、アメリカが大きな火力グループを作りやすく、射程を活かせる場所もあります。一方ドイツはボカージュが途切れて、平地、湿地で進みにくく、林は迫撃砲に狙われるので、ここの方が防御には有利でした。
 ですから最初の防衛線では無理に戦わずに後退していれば、アメリカも十分戦えたと思います。今までボカージュは防御側に有利というイメージがありましたが、状況によっては攻撃にも生かせる地形だというのが分かりました。

 
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