フィン人、森を出る
 
 今日のASLは、アニュアル93aよりA54ラーテ林道。ソ・フィン冬戦争で、スキーと冬季迷彩を装備した神出鬼没のフィンランド軍が、極寒のラーテ林道を進むソ連軍を寸断撃破した戦いです。ソ連は12.5ターン以内に、真ん中のボードの西端から16VP以上脱出させたら勝利です。深雪、厳冬で、河の北側は凍った湖、真ん中の道路は除雪道となっています。
 フィンランド軍はELR4で、スキーと冬季迷彩の10個分隊とソ連から鹵獲した37L対戦車砲1門、塹壕4、ロードブロック2、ブービートラップAで守ります。そしてソ連軍はELR2で、22個分隊と弾薬豊富な120ミリ盤外砲、BT−5とBT−7各2両で攻めます。
 戦力的にはソ連がかなり多く見えますが、ソ連のELRの低さや深雪の補正があり、戦力評価はソ連が3%優勢なだけの良いバランスです。子供がフィンランド、私がソ連です。


 このシナリオではソ連軍が縦隊移動を強制されている訳でもないので、フィンランド軍が史実のように森林内で奇襲するのは無理です。森の中で待ち伏せしても北の湖を迂回され、分散して守れば各個撃破されるでしょう。そこでフィンランド軍の配置は戦術の大原則通り、勝利条件である西の出口付近に集中配置です。
 するとソ連はどうするのか。ルートは除雪されて進みやすい中央林道、北の湖、南の未除雪林道の3つ。もちろん全部のルートに分かれて進むのは、戦力分散になって論外です。攻撃の足掛かりになる森がフィンランド軍の拠点近くに広がっているのは南側しかないので、大半のソ連部隊は南の林道を進み、渋滞を避けるため1スタックだけが真ん中を進んで途中から南にシフトすることにします。

 途中には何もないので最初の6ターンはただソ連軍が森の中を進むだけ。第7ターンにソ連軍は、一斉に森の端に並んで出てフィンランド軍と対峙します。しかしフィンランド軍の火力は高く、ソ連のELRは低いので、スタックは危険です。そのため並びきれない分は後方で予備としました。
 そして最初のソ連軍の射撃は目が良かったのですが、フィンランド軍のモラルチェックの目も良く、結局隠蔽を剥がしただけに終わります。またソ連は森沿いに巨大火力グループを組めると思っていたのですが、途中の森のへこみ部分でぎりぎりLOSが通らず、東西のグループは繋がらないのがこの時判明しました。

(下が東)

 第8ターン、巨大火力グループが組めないとなると、ソ連の低火力遠距離射撃でフィンランド軍を倒すのは容易ではありません。そうなると頼みは盤外砲ですが、厳冬の影響により11以上で故障するので、落とせるまで持たないかもしれません。ひとまずこのターンは接触に失敗。
 第9ターン、無線は繋がったものの狙いはうまく定まらず、射撃戦でも全然フィンランド軍に打撃は与えられず、ソ連軍がすり減っていくばかり。
 そして第10ターンにやっと落としたFFE。でも全然フィンランド軍には効きません。深雪と塹壕があるとはいえ、120ミリだぞ。ソ連軍の損害はじわじわ増えて行きます。

 第11ターン、ソ連は2度目の盤外砲攻撃に成功。しかし効果は小さく、肝心の対戦車ライフルを倒せません。もうあてにならない盤外砲をこれ以上待てない。ソ連軍前進開始!このころまでにフィンランドの機関銃が続けて故障し、重軽機関銃が壊れていることもあって、ソ連にも十分勝機はあるはず。
 まず戦車隊が進むと、対戦車砲が事前照準で撃ってきました。命中判定は9。捕獲の上に厳冬なのでいきなり故障です。しかしフィンランド軍はさらにATRで射撃。20Lの強力なラハティは見事これを撃ち抜き、BT−7は炎上してしまいました。
 うーん、ソ連はもう後が無い。ひとまず残ったBT−7は林の陰まで進み、BT−5も炎上した残骸の煙に隠れます。そして歩兵も撃たなかった者は出口に向けて進み、1個分隊が脱出に成功しました。
 ターン後半、幸い戦車はATRの射撃を耐えましたが、出口に隣接していたソ連歩兵は全員混乱します。


 第12ターン、ここでなんとソ連は3度目の盤外砲要請に成功。これが効けば行ける。そして肝心のATRはピン。さらにソ連は機関銃でフィンランド鬼スタックを射撃。すると混乱させることはできなかったものの、指揮官とATRがピン。
 よし、これでATRが戦車を倒せる確率は3割くらいしかなくなったはず。行けえ!まず林の陰のBT−7は、短い照準時間なのでフィンランドも撃たず、脱出に成功して先の歩兵と合わせて7VP。後は2両のBT−5が抜ければ、17VPで勝ちだ。
 そして進み始めたBT−5に2つのATRが射撃。ゴンゴンゴンゴン、命中、走行不能!やられた。残った1両は抜けて12VPになりましたが、ソ連が勝つにはあと2個分隊必要です。でもフィンランド機関銃は無傷なので難しそう。
 無謀を覚悟で出口に突っ込むソ連兵たち。しかしソ連の願いも虚しく、ドイツのサイの目が異常に良くて、4以下を連発し悪い目はあまり出ない。結局1個分隊も抜けられず、ソ連軍は崩壊して負けました。



 戦力が互角で集中も忘れなければ、プレイヤーの技量が最も試されるのはやはり決戦場の配置。そしてそれが互角ならば最後は運です。ソ連惜しかった。(なんか前回も似たようなこと言ってる気が。)

 
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