戦車は回り込めばいいってもんじゃない
今日のASLは、シナリオ75 Strangers in a Strange Land 異星の客。1940年ドイツのノルウェー侵攻時、フランス外人部隊がオチキス戦車を伴ってナルヴィク付近に上陸し、ドイツ軍に占領された補給センターの奪還に向かいます。フランス軍は8ターン以内に、自軍だけが混乱していないMMCを22F4の大きな建物に置いていたら勝利です。積雪があり、道路は非舗装の除雪道で、建物は全て木造で、小川は乾いていて、麦畑はありません。
守るドイツ軍は全てエリート兵で、3.5個分隊が完全隠匿配置され、1つの建物にはMMCを1つしか初期配置できません。そして4個分隊と爆薬1が第4ターンに南東から入って来ます。ドイツ兵には壁登り能力があるので、建物で下の階を塞がれても包囲の影響を受けません(A7.72)。
これを攻めるフランス外人部隊は、エリート12.5個分隊と9−2指揮官と37*のオチキスH39軽戦車2両が、第1ターンに半分の移動力で西から入って来ます。フランスMMCは裏面のモラルが1高くなります。また戦車は22F4の建物を構成するヘクスに入れません。
戦力評価は戦車優勢のある平地攻めで攻撃側が0.75倍され、フランス7%優勢で予想勝率7割です。フランスが有利そうなので、バランスルールでフランスの9−2指揮官を9−1に代えますが、これでは気持ち程度しか変わりません。しかしオチキス軽戦車は対歩兵攻撃力がかなり低いことから、これでやってみることにしました。
子供がドイツ、私がフランスです。
ドイツは全隠匿が可能ですが、配置制限の都合で一部の部隊を出しています。雪で丘の上り下りに時間が掛かるので、フランスは丘の谷間を戦車随伴のフルスタックで抜け、その後に道路を進もうと最初は思っていました。しかしよく考えてみると、速いルートはこれ一本しかないため、ドイツ中機関銃に事前照準されている可能性が高く、もしそうならひどいことになります。(実際狙われていました。)
そこでフランスは歩兵主力を右端の丘と林の死角から進ませ、迫撃砲と3個分隊を中央の尾根に、戦車だけは谷間のルートを進ませることにしました。するとターン後半にドイツ軍は全て登場して建物の3階に集まり、迫撃砲だけが庭に出て来ます。ドイツがばらけた隠匿のまま留まってくれればフランスは楽なのですが、平地進撃の防御効果を知っている我が家では、そんなことを許してもらえるはずがありません。
第2ターン、遠くで撃ち合っていたら時間が足りなくなり、機関銃に狙われている平地を単に突っ走ったら戦力が足りなくなります。そこでフランスは戦車を進めてドイツ軍に近づけ、歩兵主力を石垣沿いに並べて射撃陣地を作り、丘には迫撃砲を出しました。ドイツはこれに防御射撃しましたが効きません。ドイツ兵が後半にも撃つと、フランス戦車にまとめて反撃されるので、安全を取って一旦下がり、スタックを横に並び変えます。
第3ターン、この戦闘がフランスの命運を決める。準備射撃開始!しかしピンだけで誰も混乱しない・・これだめじゃない?仕方なくこのまま半個分隊のウミガメたちが進み、途中で撃たれて一部が混乱しました。後半ドイツは射撃戦を避けて一退一進(英語圏の人はスカルキングと言うようです)。
第4ターン、フランス射撃グループはドイツ軽機関銃を混乱させたものの、このままでは次にドイツ増援が補給センターに入ってしまい、落とすのは難しくなりそうだ。ここはやはり戦車を後ろに回り込ませ、敵の増援を阻止するべきじゃないか?ということでオチキス戦車は起動し、対戦車ライフルの背面射撃をくぐり抜けて、センター後方に陣取ります。またウミガメたちも涸れ谷を越えて進み、センター前の生垣内にいる迫撃砲に隣接しました。

(下が西)
4ターン後半、ドイツ増援とセンター内の1分隊がオチキスに殺到。オチキスは撃ちまくりますが、火力が弱すぎてエリートには全然効かず、あっさり隣接を許してしまいます。そして1両は爆薬で吹き飛ばされ、もう1両は主砲も機関銃も故障した所に白兵戦を掛けられて、儚く全滅してしまいました。オチキス弱すぎ。こんな奴らに回り込ませても意味無かった。
フランスもう絶望的な第5ターン。しかしここでフランス2スタック共同の全力射撃が、ドイツ中機関銃に奇跡のKIA!これはもしかしてフランス何とかなるか?意気上がるウミガメたちは補給センターにどんどん隣接していきます。けれどターン後半にドイツ増援がセンターに入ってみると、やっぱりあと3ターンでドイツ軍を全滅させるなんて無理そう。
第6ターン、フランス機関銃スタックも前進を始め、ウミガメの子たちはセンター内に突入を始めますが、少しくらいドイツ兵を倒したところで壁は厚すぎ、混乱する子たちの方がずっと多い。
第7ターンには、フランス機関銃部隊もセンターの生垣まで到達しましたが、前線には届かず、子ガメたちだけでは全然敵を倒せません。もう絶対に間に合わないのでフランス投了です。

最近戦車による回り込みの威力を何度か目にし、それで自分でもやってみたのですが、どんな時でも回り込めばいいというものではありませんでした。今回はあまりにも戦車の対歩兵戦闘力が低く、後方は建物が多くて近接されやすいせいで、ただやられに行ったようなものでした。こういう時は正面攻撃の方が良いようです。
ただそうしたとしても、この戦車では前面のドイツ軍を素早く追い払うのもやはり難しく、歩兵の進撃は容易ではありません。恐らくこの程度の弱い戦車では、平地進撃の不利を軽減するのに不十分なのでしょう。
そこで平地補正の軽減(攻撃側0.5倍→0.75倍)には、戦車優勢だけでなく、火炎放射器戦車か75ミリ以上の砲を持つ戦車が必要ということにしてみます。これを今までの該当する例に適用すると、予想と結果が違っていたものも全て合うようになり、今回のシナリオでもフランスは有利ではなくなって、この基準変更が妥当だと確認できました。
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