遠大な欺瞞
今日のASLは、TAC7カルピケの罠。1944年7月、カーン攻略の前に西の飛行場を攻略することを命じられたカナダ軍は、まず隣接するカルピケの町からSSを叩き出すことにした。カナダは次の2つの勝利条件の内1つをあらかじめ秘密に決め、11ターン以内に達成した時点で勝利します。1.滑走路に隣接する建物を全て支配する。2.ボード12の複数へクス石造建物を全て支配する。
ボード12の町の建物はあらかじめdrをして、木造は2以下、石造は1で瓦礫になります。道路は全て土で、生垣はボカージュになります。また風が西から吹いています。
守るドイツはSS11個分隊とパンター2両、88L対空砲1門、塹壕4、対人地雷12と対戦車地雷12(交換不可)を初期配置。これを攻めるカナダは、エリート中心の23個分隊と10−2指揮官、76LLファイアフライ1両、75ミリシャーマン6両、火炎放射器戦車クロコダイル1両です。
初めこのシナリオはカナダが2つの目標をどちらか取ればいいので、分割防御となって有利かと思いました。しかし目標は最初に決めて変更できない上、ドイツのパンター2両と88L砲が強すぎて、ファイアフライ1両だけでは到底これを倒して町と飛行場の間に割って入るなどできません。そこで分割防御なしで戦力評価をすると、攻撃側戦車の質を0.75倍(パンターを倒せる戦車が1両しかいない)して、ドイツは6%優勢で予想勝率7割となります。
子供がドイツ、私がカナダです。
ドイツは瓦礫化が多めだった町を中心に守っています。ドイツがどこで守ったとしても、中央から右手にかけての開けた所を進むのはまず無理だろうと、カナダは予想していました。そこでカナダは障害物に隠れられる左側の道路から、建物上階のドイツ機関銃に注意しつつ町に近づきます。ドイツもこれに対応して部隊を町に集めると共に、町の主要な建物に放火を始めました。
第2ターン、カナダ戦車が白燐弾を撃つと、さっきから建物の上にいたドイツユニットはダミー。そしてもう一つ上がっていたユニットも煙幕で隠すと、カナダ軍は前進を続け、戦車に乗っていた歩兵を降ろします。ドイツはさらに放火を続けました。
第3ターン、カナダ軍はまっすぐ町の外縁部に進むと共に、煙幕で支援しながら右手にも部隊を回します。風がある所に火事や煙幕があちこちあって、町の内外は煙だらけ。必要な所に火を点け終わったドイツ軍は、奥の大きな建物に引き下がりました。

(下が北)
第4ターン、カナダ軍は町の中に入るものの、すでにドイツ軍によって火炎と煙に覆われていて、ここから奥の建物と撃ち合うのは不可能です。そのためカナダ軍は左右に迂回しなければなりませんが、左はドイツ軍に狙われている道を越えなければならない上、その先も林から石造建物や石垣を攻めることになり、まず成算はありません。そこでカナダは戦車を右側にシフトしますが、1両が対戦車地雷1戦力に引っかかって遅れます。
ドイツは飛行場に1ユニットを置いた以外、全軍を奥の建物内に集めます。前に出ている大きな?はダミーくさい。
第5ターン、カナダ軍は煙の隙間を煙幕で埋め、ドイツ拠点にも煙幕を打ち込んで、右側からドイツ軍拠点に近づこうとします。しかしここだけでは狭すぎるので、森林火災を迂回してシャーマン一両をさらに右側へ送り込みました。
ドイツは煙幕を逃れて配置を修正する程度。ここでカナダ戦車が飛行場隣の塔に白燐弾を撃ってみると、そこのドイツ半個分隊がMCで12を出して消滅。そうならなければ近づいていたシャーマンでさらに撃つつもりでしたが、手間が省けました。
第6ターン、カナダ軍は煙に隠れながら右手からドイツ拠点に接近。前衛の?がダミーであることを確認しました。さらに飛行場側を迂回したシャーマンが進むと、そこにはやはり対戦車地雷1戦力が。この辺は他にもありそうなので、歩兵を送って捜索してみると、やはり地雷は並んでいます。そこで歩兵のフルスタックを送り込み地雷を撤去させることにしました。ドイツはフルスタックを前面に押し出し、徹底抗戦の構え。

第7ターン、煙に覆われたボカージュに隠れながら、カナダの歩兵と戦車はドイツ拠点側面に近づきます。さらに後方にはクロコダイルが続き、チャンスがあればいつでも石造建物内に火を噴ける構え。そしてその後ろではドイツ戦車の予期せぬ逆襲に備えて、ファイアフライが控えます。
一方右の迂回部隊は、時間がもったいないのでまず先頭のシャーマンが地雷を突っ切ってみて、だめなら撤去することにします。地雷原突破は成功し、歩兵もそれに続きました。しかし拠点3階のドイツ機関銃スタックは強力なので、進むのは火事の裏側まで。また88L砲も怖いので、戦車はまとめて進ませず、1両ずつ小出しにします。
ターン後半、ドイツは煙越しに機関銃スタック同士の決闘を敢行。しかしこれはカナダの10−2指揮が冴えて、ドイツ軍は撃ち負けてしまいました。とは言ってもSSなのですぐに回復するでしょう。
第8ターン、さあカナダ、ドイツ機関銃を一時混乱させたことで、拠点攻略の糸口を掴めるのか?まず右手の迂回部隊から移動開始。ところが、ん?ドイツ拠点ではなく、飛行場まわりの建物に次々入って行く?
「勝利条件は滑走路に隣接する建物を支配することなので、カナダの勝ちね。」あっ?

カナダはどちらの勝利条件を選ぶにしろ、まず町に入るしかないと考えていました。しかしそのまま奥の3階建て3ヘクス建物へ向かっても、攻略は難しいと思われたので、勝利条件は敢えて侵入口から遠い滑走路にしたのです。
カナダ軍の進路から、ドイツにはいかにも町の支配が目標に見え、そうであったら放火作戦は最高の守り方でした。しかしこれは逆に、カナダ軍が滑走路側へ迂回するための良い口実を与え、欺瞞を成功させる結果となってしまいました。
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