激しい目
 
 今回のASLは、Euro-Pack IIIより#44 Cornered Tigers。ボクシングのコーナーに追い詰められたタイガーということでしょうね。オランダでイギリス空挺部隊の守る市街にティーガーIIを突っ込ませてみたけど、逆にやられちゃったよというシナリオのようです。
 攻めるドイツ軍は、SS8個分隊と突撃工兵4個分隊にティーガーII3両という精鋭中の精鋭。ティーガーIIは道路から外れられず、両側が建物の所では道路以外の方向に向くこともできません。さらに火炎放射器2個と爆薬4個も持っていて、88ミリ盤外砲支援もあります。
 しかし対するイギリス空挺部隊も、エリート12個分隊に加えて、76LL扱いの17ポンド対戦車砲、57L扱いの6ポンド対戦車砲、建物の中からでも普通に撃てる便利なPIAT3つがあり、いずれも側面からならティーガーIIを破壊できる威力があります。また他にも76ミリ迫撃砲があり、イギリス側は建物6か所を要塞化しておけます。
 勝利条件はドイツがイギリスより多くの複数へクスで複数階建ての建物を占領すること。解釈に悩みましたが、アパートは建物自体は複数へクスなので勝利条件の対象になり、点数は1へクスごとにカウントするものと判断しました。建物は17個あるのでドイツは9個取れば勝ちですが、比較的取りやすいドイツ側ブロックに6個あり、ドイツはもう3個だけで勝てるので、かなり際どい戦いが予想されます。あとドイツはティーガーIIが3両とも破壊または帰還になると負けです。子供がドイツ、私がイギリスです。


 まずイギリスの配置ですが、初期配置エリア内の13個の建物の内、中央のドイツ側の2個は、ドイツ側から建物沿いに来られて爆薬や火炎放射器に耐えられないので、時間稼ぎにとどめます。そして中央を横切る道路を防衛線にしますが、ここから建物をもう3つ取られると負けです。
 右手は少し突出している上、最前線の建物を取られると直後に4区画のアパートがあり、ここが要になると思われます。そこで前線はバランスよく配置しながらも、中央、左手の部隊は右手の道路を狙える位置に配置しました。
 また機関銃は右手前の3階建て建物に置き、右端を回り込んでくる敵に備えましたが、これは中央右側の3階建て建物の方が良かったかもしれません。その結果はすぐに表れます。

 ドイツ軍は、イギリスから見て右手と中央を通って前進してきます。イギリス軍の機関銃はこれの1つを撃って損害を与えるもの、ティーガーIIの砲撃がいきなり2を出したのを皮切りに、ROFで3回も当てられ、命中後の目が大きかったので壊滅は免れたものの、大混乱に陥ります。
 こうなってしまうとイギリス軍の前線は薄く、第2ターンのドイツ軍の前進でさらに一部が混乱すると、早くもイギリスには敗戦気分が蔓延します。
 第3ターン、イギリス中央から右手にかけて、右手の1ユニットしかイギリス軍が残っていないの見たドイツ軍。このチャンスに連続ダッシュで右手の建物の空いている部屋に飛び込もうとします。ところがその1ユニットの射撃、残留火力、さらには遥か左端からの2個分隊2軽機関銃の遠距離射撃が当たりまくり、全ユニットピン、混乱、KIAに陥って撃退されてしまいます。

 第4ターン、ドイツは回復に失敗した主力の復帰を待つ間、中央で火炎放射器を含めた攻撃を続けつつ、ティーガーIIを少し前進させて右手の建物に攻撃を加えようとします。ところが右端の森に隠れていた17ポンド砲が、2両目が重なったタイミングで射撃を始め、2両とも撃破炎上させます。
 その後もドイツ軍は射撃を繰り返して、イギリス軍を次々混乱させるものの、固い要塞で守るイギリス軍も繰り返し回復して、なかなか決定的な戦果になりません。その内当たり続けていた火炎放射器も次々ガス欠になり、要塞に対する攻撃力が大きく低下します。またイギリス軍の機関銃部隊は、回復後前進しようとして、中央のドイツ機関銃部隊に見つかり再び混乱するなどしていましたが、ようやく回復再編して隠蔽状態で戻り、第6ターンには中央のドイツ軍を混乱させます。
 第7ターンになると、そろそろどこかが破られてもおかしくなくなってきたため、イギリス軍は機関銃部隊を前進させて支援に向かわせます。第8ターン、ここで進まないともう時間が足りないドイツ軍は、意を決して総突撃をかけますが、前線の部隊だけでなく、機関銃部隊や迫撃砲の間接射撃、6ポンド対戦車砲からの榴弾まで撃たれて失敗に終わり、ドイツの負けとなりました。


 今回は非常に極端な目が多く、敗色濃厚だったイギリス軍が、第3ターンの突撃撃退から始まり、ティーガーIIの2両撃破、火炎放射器同時故障、ドイツ機関銃連続故障、そして重機関銃壊れる、狙撃で指揮官死亡、イギリス機関銃部隊の逆襲などで、中盤から大逆転しました。また狭い市街のためドイツの盤外砲はなかなか良い位置を狙えず、結局一度も使えませんでした。
 今回の予想時間は(27+3×3)×9÷60=5.4時間でしたが、実際には8時間も掛かってしまいました。このシナリオは攻撃側と防御側の戦力差が小さいので、防御側も耐えるばかりでなく両軍とも考える時間が長くなることと、両軍エリートのELR5なので後半になってもユニット数があまり減ってこないのが原因かと思います。
 またデラックスASLは盤が小さいから+1時間は無しで良いと思っていましたが、盤の大きさはプレイ時間にあまり関係ないようなので、他と同じく加えてよさそうです。

 
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