破壊の要塞
今日のASLは、アニュアル’92よりAD9ロイヤル・マリーンズ。1944年6月6日ノルマンディーに上陸したイギリス王室海兵隊コマンドウグループは、XとBの特務大隊を編成し、ケンタウロスIV戦車の支援を受けて、ドイツ軍の守る町ラングリューヌ=シュル=メールの攻撃に向かいました。しかし近づいてみると、そこには巨大な要塞が待ち構えていたのでした。
イギリスの勝利条件は8ターン以内に全ての要塞化区域を支配すること。ドイツは最初に7か所の要塞化区域を指定しておき、これはイギリス軍の視界に入ったらすぐ発見されます。またドイツは階段以外の2つの建物へクスを瓦礫にしておかなければなりません。3つのAT溝は舗装道路にも置くことができます。そしてイギリス歩兵は全てコマンドウで、内3個分隊は工兵に指定しておけます。
イギリスコマンドウは、第1ターンに9−2指揮官率いる6−4−8エリート7個分隊がドイツから見て右手から、第2ターンに10−2指揮官率いる同じエリート7個分隊が左手から侵入してきます。これらはそれぞれ中機関銃1、軽機関銃3、ピアット2、爆薬2を持っています。そして95ミリ榴弾とたくさんの煙幕を積んだケンタウロスIVが、第2ターンと第5ターンに入ってきます。
それに対してドイツは9−2指揮官率いる二戦級12個分隊が、重機関銃2、軽機関銃3、軽迫撃砲2を持っています。そして7つの要塞区域3つのAT溝以外にも、8つの鉄条網、1つのロードブロック、24火力の地雷と、強力な防御施設を整えています。
戦力優劣を計算すると、イギリスが9%の優勢で予想勝率6割程度の良いバランスと思われます。アーカイヴでもやはりイギリス55%の勝率と拮抗しています。子供がイギリス、私がドイツです。
さてドイツは戦力的に若干劣勢なので、いかに要塞陣地を作るかが勝負と言っても過言ではありません。そしてどう見てもここしかないという大きな建物が、中央手前にあります。右手、左手の地形は到底守り切れる形ではないので、この建物を中心に要塞化します。イギリスは強力な強襲火力を持ち、非常に便利な煙幕迫撃砲を持つ戦車に支援されているので、中途半端な前衛部隊を置くのは無駄な損害を増やすだけです。左右には若干の監視部隊を置いて、敵が来たらすぐ逃げるようにします。そして巨大要塞前面のてっぺんには、鬼スタックを配置し、中庭には迫撃砲を置いて間接射撃で撃てるようにします。
第1ターン、重機関銃鬼スタックに撃たれては石造建築でも防ぎきれないので、イギリスX大隊は撃たれない死角を通って慎重に前進します。ドイツはこのまま鬼スタックをここに維持したいところですが、第2ターンには戦車がやってきて煙幕迫撃砲で弱体化させられる可能性が高いので、分散することにします。
第2ターン、ケンタウロスは火力の減ったドイツ重機関銃を放置して、ドイツ右側面に回り込みます。そしてB大隊は建物と涸れ谷を通って侵入してきますが、建物にも関わらずドイツ重機関銃の射撃が良く効いて、損耗するやら混乱するやら。しかしそのドイツ重機関銃分隊も、要塞に居たにも関わらず、効きそうもないX分遣隊の前進射撃で混乱し、重機関銃を置き去りにして潰走してしまいます。そしてイギリスX9−2指揮官の主力スタックは、要塞の正面が見える所に突撃して、重機関銃の奪還を阻止しに来ます。こんなに早く重機関銃を失ってはまずいので、ドイツは隣の分隊で隠ぺいのまま重機関銃を拾いに行きますが、イギリス9−2スタックに撃たれ、モラルチェックで12を出し損耗クラス低下。ドイツやばい。
第3ターン、混乱から回復したイギリスB半個分隊2個と指揮官が、前方の木造建物へ突っ走ります。しかし丁度そこが後ろから隙間を通って別のドイツ重機関銃に穿孔照準されており、後ろに下がっていた9−2指揮官も付いて3の目を出し、3KIAで全滅します。しかしイギリスはくじけず、主力の2個スタックと戦車を大要塞前面に集中。地雷攻撃を受けながらも次ターンの攻撃準備を整えます。そしてさらに右翼で林と茂みに取り残されたドイツ半個分隊2個を、いずれも一発除去してしまいます。
イギリスの素早い接近に隠蔽状態の部隊が足りず、早くも要塞に侵入されてしまいそうなドイツ。やむなく前面になけなしの隠蔽部隊2個だけを送り出し、残りは後方で隠蔽を付け、左翼の部隊も全部要塞に呼び戻して備えます。

第4ターン、イギリスは要塞隠蔽をものともせず、B主力スタックの射撃でドイツ先端の部隊はあっさり混乱。ケンタウロスは移動中に置ける非常に便利な煙幕迫撃砲で前進の安全を確保してから移動を開始し、なんとボグ覚悟で石造要塞に突っ込んで、地下室落ちもボグも起こさず無事突入成功してしまいます。こうしていざ要塞に戦車が入ってしまうと、地形効果が大きくパンツァーファウストも当たりません。
これで要塞突入も楽々になったと、要塞の目の前まで進んできたイギリスX主力スタックでしたが、ここでドイツ狙撃兵が奇跡の活躍をし、2個分隊がピンになってしまいます。1個分隊だけで突入してもしょうがないと、イギリスは突撃を延期するはめになってしまいました。さらに要塞側面まで進んでいたイギリスX部隊の一部が、正面を支援しに戻ろうとしましたが、これも途中で要塞中庭からの迫撃砲に撃たれ次々と混乱させられてしまいます。
ぎりぎり一瞬の猶予ができたドイツ。重機関銃と9−2指揮官が建物左手の3階から右手1階に移り、軽機関銃分隊もやってきてそこで鬼スタックを編成します。同時に要塞左手では、隠蔽された部隊が2階と3階でそろそろと進み、前面の要塞上部の確保を目指します。
第5ターン、イギリスは要塞の入り口に煙幕を置くと全部隊が前進。ついに入り口がX主力スタックに確保され、さらに今度はイギリスの狙撃が決まって、守備隊が混乱したドイツ左手にもイギリス分隊が侵入してきます。ここで食い止めなければならないドイツ鬼スタックは、X主力に渾身の射撃を加えますが、全く効果なし。ドイツ軍は要塞化された入り口の上の階にたどり着き、やっと重機関銃を取り戻したものの、もう3ターン持ちこたえるのは厳しそうです。
第6ターン、ドイツ左手ではB主力スタックの前進射撃により守備隊が混乱させられ、左手最後の要塞区域も陥落。右手でも2両のケンタウロスの煙幕で、ドイツ鬼スタックの射撃が無力化され、爆薬で突破口を開いたX主力スタックが、要塞区域を白兵戦で奪取し鬼スタックに迫ります。ただその際ここを迂回移動中だったケンタウロスが、低い確率にも関わらず、ドイツ分隊に白兵戦で走行不能にされてしまいました。そして3階まで要塞化されている要塞入り口の1階に、爆薬をたくさん持ったイギリス部隊が前進します。これは?
ターン後半、ドイツ鬼スタックは隣接するX主力スタックを撃ち倒したいところですが、両者とも拡散した煙幕に覆われて要塞区域にいるので、地形修正は何と+9!こんなの効くのでしょうか?と言っても撃たない選択はないでしょう。36火力で2指揮修正を引いても+7。そして出たスネークアイズ!モラルチェック3!X主力スタックは、1個中機関銃分隊を残して混乱します。

しかもイギリスは、その後に撃った隣の走行不能ケンタウロスの砲が故障!これで苦しかったドイツは一気に有利になったか?
しかし第7ターン、イギリスにはとっておきの手が。それは3階まで要塞化された建物1階への爆薬完全設置。ここには3個の爆薬があり、どれか一つでも設置に成功すれば、次のターンに5/6の確率で建物を3階までまるごと破壊してしまえるのです。放火と違って爆破側に責任があるというルールはないので、後は残った1要塞区域を占領してしまえばイギリスの勝ちです。
そして次々と設置を試みるイギリス軍。3以下、3以下、2以下。あれっ?全部失敗。イギリス、オーマイクイーン!かくなる上はイギリス、ドイツ鬼スタックにケンタウロスを迂回移動で突っ込ませ、これはCC対応射撃で破壊されたものの、その隙に隣へ10−2のB指揮官が入り込みます。これが利けばもしかすると?しかしドイツ鬼スタックの連続臨機射撃で一部が混乱させられ、前進射撃も効果なく要塞には入れません。これでイギリスが次ターンに全要塞区域を取るのは不可能になり、ドイツの勝利です。
前半ドイツ側のモラルチェックが弱めなのもあって苦しくなりましたが、狙撃兵と隣接スネークアイズで逆転できました。でも勝てたということは、やはり要塞構築もそれなりにうまくできていたということでしょう。
予想プレイ時間は(26+2×3)×8÷60+1≒5.3時間でしたが、実際には7時間くらいかかりました。結構難しいシナリオだったからだと思います。
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