離れた戦場にどう配分するか
 
 今日のASLは、AP75 ガブリエルのホルン。イタリアのアルタビラの丘で最後の審判を告げられたアメリカ軍は、砲撃と共に包囲攻撃を受けました。ドイツは6.5ターンの終了時に、次の3つを全て達成していたら勝利です。
・ボード5aのレベル3ヘクスを全て支配する。
・ボード60の3へクス建物を4個以上支配する。
・損害VPをアメリカの2倍以上で少なくとも8以上稼ぐ。
全ての建物は平屋建てで、アパートは仕切りの無い1つの建物に、茂みはサボテンの群生に、林はオリーブ園になります。
 守るアメリカ軍は、サボテンとオリーブが生える高い丘のレベル2以上に一線級4、新兵3、バズーカ操作班2、中機関銃2、軽迫撃砲2を、石造建物が密集する丘の中央には一線級3、新兵2、バズーカ操作班2、中機関銃2、軽迫撃砲2を配置し、適切な地形では狐穴がもらえます。操作班以外がバズーカを使うと不正規使用になります。
 これを攻めるドイツ軍は、エリート5個一線級9個分隊と爆薬2、機関銃中2軽3を、ボード5aのアメリカ軍に隣接しない所へ、地形やLOSにかかわらず隠蔽で初期配置。そして3号突撃砲の75L型2両、75*型2両が、第2ターンにボード5aに入って来ます。また盤外観測員の事前登録付き80ミリ盤外砲があります。
 高い丘のサボテンとオリーブは、空中炸裂が無く移動力を食うことから、盤外砲に支援された裸丘同等として、攻撃側歩兵0.75倍で戦力評価することにしました。するとドイツ8%の優勢で予想勝率7割5分となります。
 戦力的にはドイツが有利そうですが、離れた2つの丘を同時に攻めるという特殊な状況の影響が分からないため、今回は戦力を修正しないことにしました。子供がアメリカ、私がドイツです。


 特殊な条件でアメリカの配置が難しいですが、サボテン丘では散らして、ドイツ配置不能地帯が大きくなるようにしました。また建物丘は置ける所が限られていて、できるだけサボテン丘に近い側に置きます。
 そしてドイツもこれをどう攻めたら良いか分からない。第一感は戦力集中の原則からして、全軍でサボテン丘を攻め落とし、その後建物丘に取って返すという手ですが、時間を考えるとこれはまず間に合いません。そこで戦力を分けて両方を攻撃し、多分サボテン丘の方が早く落ちるので、そちらの部隊が取って返して建物丘の手薄になっている所を突くことにしました。
 そして配分は、建物丘に市街戦で効果的な爆薬2と9個分隊と軽機関銃2、残りはサボテン丘とし、盤外観測員は建物丘に近い側に置いてそちらの支援を優先します。

 第1ターン、ドイツ軍は南側の死角から市街地に駆け込みます。アメリカの配置制限によって安全に入れるのは最初だけなので、今敵の1.5倍以上の戦力を入れておかないと勝ち目が無くなります。
 そしてダミーと半個分隊で周り中を囲み、できるだけ隠蔽を置かれないようにしたサボテン丘では、鬼スタック24火力がアメリカ中機関銃分隊を損耗させました。ところがこの鬼スタックは木造建物に居たにもかかわらず、たった6火力のアメリカ分隊射撃により1個分隊を残して指揮官ごと混乱。エリート弱すぎる。しかし2か所の白兵戦では、アメリカ新兵半個分隊をそれぞれ捕虜にしました。
 ターン後半、建物丘のアメリカ軍は侵入したドイツ軍に合わせて動きます。そしてサボテン丘では、生き残ったドイツ中機関銃が防御射撃したら、今度は故障。ドイツ大丈夫か?
 第2ターン、建物丘でドイツ部隊は広がり、勝利条件建物2つを占領。サボテン丘では混乱した鬼スタックも回復し、そこからバズーカ操作班を撃って混乱させ、これに乗じて戦車がその上に乗るなど、戦車が半包囲するように丘へ攻め登ります。これにより踏まれた混乱操作班は降伏しました。
 ターン後半には、建物丘でアメリカ中機関銃スタックが勝負を挑み、ドイツ12火力に撃たれても耐え切りましたが、前進射撃も効果無し。そしてサボテン丘では、目の良い盤外砲や戦車の攻撃により、アメリカ軍の損害が増えていきます。

(下が南)

 第3ターン、建物丘の衝突は互いに混乱を出しながら、1か所で混戦。そしてサボテン丘ではドイツの歩兵も戦車も頂上に迫ります。ターン後半、建物丘でアメリカが混戦に勝ち、難しい形勢。サボテン丘ではアメリカ軍が丘の端に追い詰められていきます。
 第4ターン、ドイツは建物丘の状況打開のため盤外砲に期待しますが、なかなか良い場所に落ちません。この状況で攻勢は無理と考えたドイツは、一旦全員に隠蔽をつけました。一方サボテン丘では全軍が最後の突入を仕掛け、アメリカ軍抵抗力の排除に成功。そしてターン後半にはやっと建物丘で盤外砲を落とせましたが、理想の位置にはずれず、限定的な効果に留まりました。
 第5ターン、間に合うドイツ部隊は、陥落したサボテン丘から建物丘へ急ぎます。また修正した盤外砲は大はずれし、味方半個分隊を混乱させただけ。そして街の中では、隠蔽を付け直したドイツ兵が、アメリカ軍に迫ります。アメリカも配置を変えながら難しい攻防。ドイツ最後の攻撃はうまく行くのか?


 第6ターン、先頭のドイツ戦車が側面から丘を登り、他の3両は道路を進んで背後を狙います。しかし実はこの時点で後ろの2両が後方に行くのは間に合わず、せめて近くのオリーブ林に突っ込んでライダーを強制降車させておくべきでした。そして市街では白兵戦が続き、やったりやられたり。ところがターン後半、ここでアメリカ中機関銃がROFバーストし、隠蔽にもかかわらずドイツ歩兵が大混乱してしまいました。これはドイツきついのでは?
 ドイツ側のみの最終ターン、頼みの盤外砲もずれて失敗。しかしドイツ突撃砲が隣接した勝利条件建物に撃ったら、なんとそこのアメリカ兵がMC箱車で消滅。これはもしや?
 アメリカ軍は背後への来襲にも備えなければならないため守備隊が少なく、この損失によってドイツ軍前面にある2つの勝利条件建物は、どちらも守備隊が1つずつになってしまいました。するとこれを両方一方的に白兵戦で倒せば、ドイツは勝てる!
 次々と隣接して行くドイツ軍。アメリカ軍は防御射撃でいくらか止めたものの、相当な数が突撃します。そしてまず東側では、無難にアメリカ兵を倒し、奇跡的な反撃も無く、1つ目を確保しました。
 そして9−1指揮官と分隊が守る西側。ドイツは指揮官付きフルスタックで攻撃し、不意打ちも取って2対1のマイナス2で全滅は8以下だが。10・・無念。最後の最後でアメリカの勝ちです。



 戦力的にはドイツが7割5分勝てそうなのですが、タイプの違う2つの離れた丘を別々に攻めるという難しい状況では、攻め方によって結果が大きく変わってきます。ドイツはどう攻めたら戦力評価通り有利に戦えていたのでしょうか?
 今回のようにサボテン丘で早めに勝利して建物丘に向かうのは、アメリカ軍が遠い側にいたら、最後の少ししか参加できません。そのためドイツは最後まで別々に戦うのを前提に、丘の両方とも高い確率で勝てるよう完璧な戦力配分をする必要がありました。そこでこれを2つの丘に分けて戦力評価するという方法で考えてみます。

 まず盤外砲は市街地だとLOSが通りにくいので、狐穴で効果が薄くてもサボテン丘支援を優先すべきでした。また市街地で攻めるには火力密度が重要になるので、サボテン丘での射撃は戦車と盤外砲に任せ、中機関銃は建物丘に送ることにします。
 その上でサボテン丘だけドイツ歩兵を0.75倍と評価し、両方の優勢率が均等になるように分けると、サボテン丘には歩兵3個分隊、軽機関銃2と戦車全部と盤外観測員(Q11辺り)、建物丘には残りの11個分隊、機関銃中2軽1と爆薬2になります。これでドイツはどちらも14%優勢の予想勝率9割となり、両方勝つ確率は8割程度で、全体の予想勝率に近くなります。
 普通だと初見で完璧な配分を見抜くのはかなり難しいと思いますが、戦力評価でなら正確な答えが出せました。実は私も計算通りにもっと建物丘に歩兵を送ろうかと最初は思ったのですが、サボテン丘の7個分隊とバズーカ2を攻めるのに、歩兵が3個分隊しかいないのは少な過ぎる気がして、誤った判断をしてしまいました。これまで精度を高め続けてきた自分の戦力評価を、もっと信じるべきでした。
 
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