兵も時間も
今日のASLは、Time on TargetのTOT11ビターリプライ。アルデンヌ攻勢の最中、アメリカ軍はバストーニュの救援に向かいましたが、雪が溶けて戦車が泥に嵌った所を、ドイツ軍に攻撃されてしまいます。ドイツは6ターンの終了時に、真ん中のボードで4つ以上の石造建物を支配していたら勝利です。地面は泥濘になっていますが、煙幕は使えます。
守るアメリカは、エリート9個分隊とシャーマン6両(内1両は重装甲型)、ハーフトラック3台に、100ミリ盤外砲です。シャーマンの配置場所は町の西の細長い範囲に限定されていて、全車泥に嵌っています。
そして攻めるドイツは、一線級3個、二線級6個分隊と、88LLのヤークトパンサー1両、105ミリ榴弾戦車2両、75Lの3号突撃砲6両が、第1ターンに北から北東にかけての広い範囲から侵入します。また計画砲撃を持つ煙幕だけの盤外砲観測員がいます。
地面は泥濘ですが、煙幕は使える上にアメリカ戦車が最初から良くない場所で泥に嵌っていることから、戦力評価では泥濘による攻撃困難の補正をしないことにします。しかしそれでもアメリカは15%台の優勢で9割5分の勝利が予想されたので、戦力を調整することにしました。
その際アメリカが石造建物7つの内4つ守るのは少し大変かと思ったので、ドイツ分隊を6個増やしてアメリカの優勢を6%程度にすればいいかと考えていました。しかし実際にやる時に間違えてドイツ分隊を3個しか増やさず、アメリカは11%の優勢で予想勝率8割の状態でやってしまいました。
果たしてドイツはこの戦力差を覆せるのか。子供がアメリカ、私がドイツです。
アメリカはどちらから来られても良いように村全体を守り、戦車は細長い配置地域に広がって置きます。そして道路を使って急速に近づける北側正面の石造建物2階には、大きなスタックを置きました。ドイツ軍が泥濘に足を取られるのを利用して、戦って勝つことよりも時間を稼ぐことを優先したものです。
ドイツは北側正面から近付くと隠れる場所が無く、アメリカの盤外砲と機関銃に撃たれ放題なので、こちらからは戦車3両とそれに乗った各半個分隊だけで近づきます。そして歩兵主力は撃たれないよう北東から丘に隠れて進み、東からは歩兵を載せた戦車5両が進みました。また北西からはパンツァーシュレック分隊とヤークトパンサーで、こちらに並ぶアメリカ戦車を順次倒していくようにします。これは最初の前進射撃がいきなり命中してシャーマンを1両倒し、幸先の良いスタート。
ターン後半には正確に落ちたアメリカ盤外砲が正面の戦車を覆い、1両が走行不能となり、逃げ出した操作班はディスラプト。さらに乗っていた半個分隊たちも、次々とやられていきます。そしてアメリカは、町の中でハーフトラックから機関銃を取り出し、守りを固めました。ドイツも正面の石造建物にふわふわ煙幕を落として、次の前進の準備をします。
第2ターン、ヤークトパンサーは白燐弾に邪魔されて、向こうに見えるシャーマンへの射撃を外します。他の部隊は町に向かって近づきますが、取り外したアメリカの中機関銃が早速活躍し、東から近付く戦車に乗ったドイツ分隊が混乱。それ以外も泥濘が重く前進は捗りません。
ターン後半、北側の建物から引き揚げた中機関銃2個のアメリカスタックは、町の中心部に移動。さらに泥から抜け出したシャーマン1両も町に入ります。そしてドイツの防御射撃では、事前照準していた町の中心部にふわふわ煙幕を落とし、ヤークトパンサーも白燐弾を見通してシャーマンを炎上させました。
第3ターン、北西に残るもう1両のシャーマンに、パンツァーシュレック分隊が隠蔽で隣接しますが、防御射撃を食らって損耗。しかし次にヤークトパンサーがこのシャーマンに近づき、優秀な指揮で撃破しました。他の部隊も町に向かいますが、煙幕の中にいるとはいえ3つの中機関銃を持つアメリカ鬼スタックは、6へクス以内に入ると30火力にもなるので、西側の歩兵は戦車を降りて慎重に進みます。
ターン後半、アメリカ戦車は残る2両も泥から抜け出し、先に出て来た1両は石造建物への突入に成功しました。

(下が北)
第4ターン、ヤークトパンサーは逃げ出した2両のシャーマンを追い、両方を視界に収めます。そして時間の短いこのシナリオで慎重に撃ち合っている余裕はないので、他の戦車は危険を顧みずに町の中へ突入し、歩兵はアメリカ軍を撃てる位置まで迫りました。しかし3号突撃砲は3ヘクスの距離からバズーカに炎上させられ、歩兵の前進射撃も効果無し。
ターン後半、さらに3号突撃砲もう1両が、お家シャーマンに撃たれて炎上。一方ヤークトパンサーから逃げ出したシャーマンもまた、指揮官付き3号突撃砲に脇から当てられて炎上します。しかしお家シャーマンを狙ったヤークトパンサーは、これを討ち漏らしてしまいました。
第5ターンとなってあと2ターンしかありませんが、アメリカは途中から盤外砲に失敗し続けて第2弾を撃てていないにもかかわらず、ドイツ歩兵は町中に突入できる状況ではありません。このシナリオは泥濘で接近に時間が掛かるのに、ターンが短くて防御側を撃ち倒す時間が全然足りないのです。
そこでドイツは抵抗の少ない町の外周部を掠め取ることに賭け、中心部に煙幕を置き直します。そしてヤークトパンサーはお家シャーマンを撃ちましたが、またも外れ。こうなれば追加射撃だ。そしてやっと命中。これで12の不発を出さない限り倒したぞ。12。なぜ出る。
これを倒せていれば、その向こうのシャーマンも3号突撃砲を殺到させて倒し、お家シャーマンのいなくなった石造建物に歩兵が駆け込んでみるつもりだったのに。まあそれでもアメリカの中機関銃部隊は無傷で残っており、盤外砲煙幕やスモークディスチャージャーで支援しても、簡単にはくぐり抜けられなかったでしょうが。
もはやドイツは無理っぽいですが、やれるだけやってみます。すでに確保した石造建物は2つ。まず歩兵の一部と戦車で北東の木造建物に残るアメリカ軍を撃ち、その隙に正面の歩兵が右に動いて、北側正面の建物を取りに向かいます。そして東側の歩兵はシャーマンの家に近づき、これが4つ目。しかしこれは途中で撃たれて全員混乱とピンになってしまいました。
これでもう4つ目の建物を取るのは不可能。それどころかアメリカが北側の建物上にSRを置くのに成功したので、多分次には隣接した林のドイツ歩兵も盤外砲にやられ、3つ目の建物すら取れなさそうです。兵力も時間も足りず、ドイツ負けです。

アメリカの強力な盤外砲がかなり失敗し、逆にドイツの盤外砲煙幕は一切失敗することなく狙ったところに落ちたのに、それでもなおこの戦力差は覆せませんでした。ドイツ軍は泥濘と中機関銃に阻まれ、奥の建物にたどり着くのが容易ではないので、やっぱり戦力評価通りアメリカ8割で妥当なようです。ドイツは分隊だけでなく指揮官、SWも元の2倍にしてようやく互角でしょう。
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