広い突破相手では集中しにくい
 
 今日のASLは、OAF1”壊し屋カール”ヴァイトリング。大戦末期、ベルリン防衛軍司令官ヴァイトリング、通称壊し屋カールは、ベルリン前面の町ゼーロウ付近の丘で防衛線を築いていました。ソ連は8ターンの終わりに、丘向こうのボードで3つの複数へクス建物を支配していたら勝利です。
 ソ連の戦力は半数がエリートの9−2指揮官付き28個分隊と120ミリ盤外砲1つ、T34/85が4両、IS2が1両。ドイツは9−1指揮官の18個分隊と80ミリ盤外砲1に、狐穴3、塹壕3、6火力の20ミリ対空砲2、88ミリ対空砲1、4号H型2両です。岩場は平地、果樹園は沼になります。
 戦力評価ではドイツ11%の優勢で予想勝率8割となりますが、ドイツは弱めの砲と戦車で広い範囲を守らなければならず、果たしてそんなに有利なのかどうか。子供がソ連、私がドイツです。


 まずドイツの配置が考えどころです。手前の街のたくさんある建物の中の3つを取られただけで負けなので、街に下がって守ろうとしても守り切れません。一方一番ソ連側に近い丘は砲を置けないことになっているので、ここに兵力を置くと戦力の分散になってしまいます。そこでドイツは2列目のやや高めの丘を主戦場とします。
 まともな対戦車兵器は88ミリ砲しかないので、ドイツはこれをどこでも撃てるよう中央の峰に置きます。20ミリ機関砲は左右の峰に置いて、歩兵は丘全体に配置し、ソ連がどこから来ても後方の街へすり抜けられないようにします。ドイツには他に多数の隠蔽マーカーがありますが、丘の上には置けないので、後方の街の中央でいくつかの歩兵と共に巨大スタックを作り、ソ連が来た方に移動させるようにしました。

 第1ターン、ソ連は堅そうなドイツ左手の大きい丘を避け、右手の小丘側に戦力を集中します。ただしIS2だけは左手へ進んで88ミリ砲を地域目標として攻撃します。88ミリでIS2の前面を抜くのは難しく、13へクス以上離れるとL砲は基本が9以下で当たり、120ミリ砲は半減しても12火力あるので、いずれ88ミリ砲は沈黙させられます。そうしたらソ連はT−34を本格的に前進させる算段です。
 ドイツは右の丘に向けて援軍を送り、街のダミーと一部の本物たちも右手に移動します。そして出てきた4号は丘の谷間からソ連の登った丘の上を狙い、盤外砲のSRもその辺に落下させます。また1個分隊をIS2目指して進めてみました。

 第2ターン、88ミリ砲はソ連の機関銃に撃たれて混乱し、ソ連軍は全速前進を続けます。仕事の終わったIS2も右手に向けて転進します。ドイツは防御射撃や攪乱砲撃でソ連軍に損害を与えていき、T−34も1両スタンさせました。しかしソ連軍に近い側の20ミリ機関砲は故障・混乱し、4号戦車は正面から向かってきたT−34によって、一方的に撃破されてしまいます。こうもあっさり守りの要が無力化してしまって、ドイツは歩兵だけでソ連軍を止められるのか?
 第3ターン、T−34は小丘に接近し、ソ連歩兵もウミガメとなって迫ってきます。ドイツ歩兵は応戦し、パンツァーファウスト発射も試みますが、6を出してピン。中央から狙っていたドイツ兵も、ソ連機関銃に撃たれて混乱し、もう止められそうもありません。このままこの小丘で戦い続ければ、退路を断たれて全滅するのが目に見えているので、ドイツ軍は小丘から撤退することにしました。


 第4ターン、ソ連軍は小丘を占領し街を視界に捉えます。そしてドイツがそこに攪乱砲撃を落とすと、蓋を開けていたT−34が、モラルチェックで12を出してリコールになってしまいました。ドイツはさらに回復した操作班を88ミリ砲に戻します。ここはソ連機関銃に狙われ続けていますが、もう賭けるしかありません。
 第5ターン、ソ連機関銃部隊はその強力な火力にも関わらず、隠蔽も無い88ミリ砲を撃ちもらしてしまいました。息を吹き返した88ミリは、T−34を次々と撃破。ソ連戦車は、T−34とIS2が1両づつ残るのみとなってしまいます。しかも残ったT−34は同軸機銃が故障。それでもソ連軍は丘を降りてドイツ前衛を少しづつ削り、市街地に接近します。これに対するドイツ歩兵の防御射撃はあまり効きません。

 第6ターン、ふわふわ煙幕を良い位置に落としたソ連軍は、前面の建物2つに突入し占領します。さらにその奥に続く建物にも、煙幕を置いて戦車2両と歩兵が隣接し、ドイツは機関銃等で撃ちましたが効きません。これで建物の両脇は戦車と歩兵に狙われて、ドイツは援軍を送り込むのも難しくなり、3番目の建物を2ターン持ちこたえさせるのは、まず無理になりました。ドイツ投了です。



 計算上はドイツに戦力優勢のあるシナリオでしたが、ドイツがもっと上手にやったとしても互角が精一杯で、戦力差どおり楽勝になりうるという感じではありませんでした。以前やったシナリオでもいくつかこういうことがありましたが、突破シナリオや後方の街の大半を守らなければならない実質突破のシナリオで、幅の広いマップの場合、防御側の戦力集中が難しく、普通より多くの戦力が無いと守りにくいようです。
 そこで突破または実質突破のシナリオで、攻撃正面が通常マップの長辺1つ分か短辺3つ分以上の場合、攻撃が容易であるとして、戦力評価では歩兵の攻撃補正1.5倍をつけてみます。今回の場合丘がありますが、占領目標ではないのでこれによる補正はありません。これにより計算すると、このシナリオは攻撃側3%の優勢となり、戦力的な優劣はほぼ無いということになります。
 またこの補正を入れて今までの全シナリオを再計算してみると、優勢率絶対値の区分が10%未満でも10〜20%でも、優劣と勝敗の一致率が6%程度ずつ上がり、20%以上の区分も一致率100%で変わりませんでした。これによって評価精度の向上が認められるので、今後はこの攻撃補正を含めて計算することにします。

 
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