偶然の必然
今日のASLはシナリオ26Tanks in the Street。1944年10月のアーヘンで、アメリカ軍は浸透してきたドイツの車列と突如戦闘に陥りました。
勝利条件が複雑で、基本はドイツが8ターン半の終了時に、18個の複数へクス建物の内8個以上支配していることなのですが、これがアメリカの選択によって増減します。まずアメリカの航空支援が到着したターンが必要支配数に加わり、全く到着しなければ18個すべての建物を支配する必要があります。アメリカは到着の目が出ても拒絶して、後のターンに遅らせることができます。そしてアメリカは最初に持つバズーカを3個から6個の中で任意に選ぶことができ、3個を超えるバズーカごとに必要支配数は1ずつ少なくなります。
ドイツは全て乗車状態の5−4−8エリート9.5個分隊と、4号J型6両、ハーフトラック8台(2台は砲を搭載)、非装甲37ミリ対空車輌1台です。これらは道路に連なって機動状態で始まります。
そしてアメリカは9−2指揮官率いる一線級15個分隊で、全て建物に配置しますが、1つの建物には1MMCしか置けません。また持っているバズーカは記録して所有者を隠しておけます。他に3機の爆装戦闘機がターンより少ない目で到着可能ですが、混乱により視認と地点攻撃は車両に対してしかできません。両者は秘密裏に同時配置します。
いろいろ特殊な状況で、どんな展開になるのか予想しにくいシナリオです。またアメリカの選択する勝利条件と戦力の増減により、戦力評価も変わってきます。
アメリカがバズーカを最低限にし、航空支援を呼ばない選択をした場合、ドイツは建物18個全てを占領しなければなりません。しかしその場合航空支援分の戦力が減り、戦力はドイツが21%の優勢で予想勝率10割となります。
逆にアメリカがバズーカを最大限にし、航空支援が平均的な4ターンに到着したとすると、ドイツは半分の9個を占領するだけで勝てます。この場合最初に乗車状態のドイツ軍は、初期配置を見て都合の良い所に移動し航空支援が来る前に空いている所を占領できます。そして航空支援が来ても歩兵だけのところは狙われないので、アメリカ軍が全くいない所は半個分隊だけで取って回ることができます。これは実質広い突破になるので、ドイツ歩兵は1.5倍計算し、戦力はドイツ13%の優勢で予想勝率8割となります。
すると他はどう選んでも2つの中間にしかならないので、アメリカは状況を見て選べる利点はあるものの、ドイツが戦力的に有利なのは変わらないでしょう。ただお互いがどこに置かれるか分からないので、配置次第で戦況は変わるかもしれません。子供がドイツ、私がアメリカです。
アメリカは配置を考えますが、普通に考えて条件内で可能な限り集中配置でしょう。そしてその場所は、一番建物が密集しており、大きな石造建物のある北西部がいいと考えます。
さてドイツの配置を見てみると、やっぱり同じ考えで、大きな建物は車列にぐるっと囲まれていました。互いに隣接する混戦状態からのスタートです。ドイツは先番ですが、機動中で有効な準備射撃もできず、乗員を下ろすところを狙われるので、アメリカは十分戦えるだろうとこの時点では思っていました。
ドイツはまず、ハーフトラックをあちこちアメリカ軍のいる場所で迂回移動させました。歩兵はハーフトラックに積むという思い込みがありましたが、 できるだけ4号戦車に乗せ、空荷にしたハーフトラックを犠牲にして、降車時に近くで撃てるアメリカ兵を無力化したのです。
さらにドイツは、アメリカ兵のすぐ近くにいた4号で近接煙幕を焚きながら、そこで歩兵を下ろしていきます。4号のJ型は9以下で焚けるので、ほとんど失敗しません。アメリカ軍は煙の中に撃ってみますがあまり効かず、建物の中から無理して撃ったバズーカも、自分が混乱しただけに終わります。
しかもその最中に大きな建物の9−2指揮官が狙撃兵に殺され、アメリカは最後の頼みも失います。アメリカはもうかなり厳しい状況です
ターン後半、アメリカはわずかな可能性に賭けて、白兵戦で勝ったばかりのドイツフルスタックを、隣接する部隊で撃ってみたら、運良く全員混乱させることに成功しました。これは退却不能で全滅させるチャンスと、退路を断つように背後の建物へ警戒で分隊を送ってみますが、残念ながら撃たれて混乱。
他にも大きな建物で、奇跡的で即時回復した中機関銃分隊を救出しようとしましたが、モラルの低いアメリカ兵は次々と混乱して成らず。1ターンでアメリカは投了となってしまいました。

鉢合わせは、建物で守っているアメリカの方が有利になるかと思ったら、とんでもない。戦力差を覆すどころか、完全に奇襲されてアメリカは手も足も出ませんでした。
ではドイツの来なさそうな所に置いて守るべきっだったのでしょうか?しかしドイツは車両に乗ってやってきて、大した対戦車兵器のないアメリカは、戦車に背後を取られて囲まれます。今回ほどはひどくないにしても、不利な戦力で航空支援が来るまで持ちこたえるのは、やはり難しそうです。
インデックスへ