今の内に駆け抜けろ
今日のASLは、Action Pack 13よりAP131 春のコオロギ。大戦末期ドイツ軍はハンガリーで反攻作戦「春の目覚め」を開始した。泥の中での攻撃は当然ほとんどうまく行かなかったが、ここアラニョス・プスタでは比較的進展していた。ちなみにコオロギとはチェコ製38(t)に150ミリ砲を積んだ戦車の愛称だそうです。ドイツは7ターン終了時にソ連より多くのVPを持っていたら勝利で、両者損害VPに加えて、複数へクス建物の支配1つにつき2VPが入ります。また泥と靄になっていて、道路は全て舗装されています。
ソ連は最初一線級6個分隊と76L野砲3門で守り、第2ターンにはT-34/85が6両とそれに乗った6−2−8分隊6個、9−2指揮官がやって来ます。
ドイツはSS9個分隊が初期配置で、第1ターンにパンター3両、37Lハーフトラック1台、輸送ハーフトラック3台に、10−2指揮官とSS3個分隊が乗って出て来ます。そして第4ターンにはコオロギ3両が登場します。
普通に戦力評価をするとソ連必勝に見えます。しかし舗装した市街地に近い所から始まるドイツ軍はあまり泥の影響を受けず、強力なパンターはT−34に先んじて到着して待ち構えることができます。これを防ごうにもソ連の対戦車砲は正面からでは効かず、側面から撃つにもあまりいい隠れ場所がありません。するとソ連はそれほど有利ではないかもしれないので、今回はドイツのバランスでSS分隊を1個増やすだけにしました。
子供がドイツ、私がソ連です。
うーん、このシナリオ、ソ連はどう守ればいいのか全然分からない。初期戦力はあまりに少なく、守る範囲はあまりに広く、ドイツは過半数の複数へクス建物を占領したら戦わずして勝ち。ソ連の野砲は建物に入れられず、隠匿できる場所が少ない上に、市街で見通しが悪くて戦車を狙いにくい。しかも全戦車と半数の分隊がドイツより後から出て来るので、下手をすると序盤でいきなり各個撃破される。適切な地形なら狐穴を貰えることになっているが、舗装道路なので狐穴で建物を繋いで戦線を作ることもできない。かと言って敵の近くに置いたら、隠蔽が無いのでいきなりやられる。
これは多分街の中央高台の建物陰に全部置いて隠蔽を付け、第1ターンで高台の敵が来た側に広がって守るしかないんじゃないかな。あっ、でも街をまっすぐ奥に進む唯一の道路が丁度12へクスあるから、ここは重機関銃で狙っておこう。後は街の外側に野砲を隠して、うまくパンターが脇を見せてくれたら撃つ。こんなとこかな。
第1ターン、ドイツは道路脇の森を半個分隊で探して安全を確保し、ハーフトラックから先に車両を道路沿いに進めます。しかしそのまま奥まで進むと、重機関銃や隠れている野砲が怖いので、すぐに左折して中央の高台に向かいました。そしてパンターもそれに続き、ソ連重機関銃が乗組員を撃ってきましたが効果無し。そして歩兵は森を通って全速で街に向かいます。
突撃では1つが砲の居そうな果樹園を確認し、2スタックは高台脇の建物に隣接しました。ソ連の増援が来てしまったらそれを破って進むのは困難になるので、リスクを取ってでもその前に進んでおこうという考えです。
「しまった、全力で進むとここまで来られるのか。」これによってソ連は、高台外殻で戦線を作る目論見が完全に崩れてしまいました。たとえ隠蔽無しで撃たれることになろうと、最初から外殻に置いておくべきだったか。ソ連は仕方なく高台の部隊を後ろ側に下げて戦線を作り、道路を狙っていた重機関銃を高台に向けて動かしました。
第2ターン、ドイツはハーフトラックが高台東側に歩兵を降ろしながら、東奥に退避。そしてパンターも東に回り込み、2両が高台の上、1両がその先の道路に出ます。そして歩兵は高台正面の建物を占領し、ハーフトラックから降りた部隊は前進射撃でソ連分隊をKIA。清々しいまでに街の東半分をきれいさっぱり占領してしまいました。
しかもこの道路に置いたパンターの位置が非常に良くて、南側から侵入する2本の道路を両方きっちり狙える位置にあります。これではソ連が最短距離で高台に増援を運び入れることができません。仕方なくソ連は増援を西側から入れ、ドイツの機関銃に撃たれない辺りで降ろします。そして高台の部隊も後退させました。
しかしこれではドイツ軍が過半数の勝利条件建物を占領するのは確実で、次には高台に残されたソ連部隊も撃破されてしまうでしょう。もう勝負ありました。ソ連投了です。

(下が南)
ちなみにソ連砲の場所は、北東の森の中、西の小丘の上、南西の果樹園でした。ドイツに探索されない場所に置いたのはいいのですが、その分側面を狙えなかったり、遠すぎてほとんど当たらなかったりで戦車を撃てず、歩兵を撃てる機会は戦車が来るのを待つため見送っていました。
ドイツの作戦がソ連の想像を遥かに上回りました。このように一気に駆け抜けられるリスクに気付き、それに対応した配置をしていなければ、後からどうにかすることはできません。やはり難しかった。
それから攻撃側の戦車が先に着き、それを正面から倒せる砲も無いようだと、防御側の戦車はその有利さを発揮できません。このような場合についても防御側の戦車は、質補正で0.25倍するべきのようです。また舗装道路の市街戦では攻撃側の不利が少ないので、泥による補正もしなくて良いでしょう。
そのやり方で計算すると、今回の戦力評価は防御側が4%優勢なだけの良いバランスとなります。ただソ連の初期戦力ではドイツ軍の攻勢を止めにくいので、ソ連の増援が来る前にドイツが前線を破って良い位置まで抜けられるかどうかで、大きくバランスが傾いてしまいやすいかもしれません。
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