守れないよボカージュの中じゃ
今日のASLは、アニュアル90よりAD 4のThe Island。The Islandというのは、北アフリカで使われたぎっしり詰まった防御ボックスについたあだ名とのこと。ノルマンディー上陸後のイギリス軍の進撃に対し、ドイツ軍がティーガーを伴って反撃し、イギリス軍はボカージュでThe Islandを作って守りに入ります。
ドイツは12ターンの終了時に、イギリス増援到着ターンの2倍+25VP以上の部隊を、北西側の勝利条件ゾーンに持っていたら勝利です。沼は茂みになり、生垣はボカージュになります。また最後の3ターンは夕暮れのため低視界+1がつきます。
守るイギリス軍は、16→15個分隊と、88ミリのセクストン自走砲4→3両、76LLの17ポンド対戦車砲2門を初期配置。ターン数より5以上小さい目を出したら、76LLのシャーマンファイアフライ1両と75ミリのクロムウェルIV3→2両が出てきます。
そして攻めるドイツ軍は、21個分隊と88LのティーガーI4両が、第1ターンに南東から入ってきます。またイギリスの配置終了後プレイ開始前に、ドイツは任意のヘクスを指定し、1回だけの150ミリロケット砲FFE(必ず誤差が発生する)を解決します。
ドイツはいきなり強力なロケット砲を落とし、守りが弱まった所を突いて攻撃できる上、イギリスは空いた穴をカバーしに行くのにボカージュが邪魔で手間がかかります。またティーガーIを正面から倒せるイギリス戦車は、遅くなってから出てくるシャーマンファイアフライ1両しかありません。
そのためドイツ歩兵は防御不全で1.5倍、イギリス戦車は質補正で0.5倍して戦力評価しますが、それでもイギリスが5%の優勢なので、上記赤字の戦力を黒字に変更し、戦力優劣を丁度0.00%の互角にしてやってみました。子供がドイツ、私がイギリスです。
突破に対応するためとロケット砲の大当たりを避けるため、イギリスは部隊を散らして初期配置します。しかし鬼スタックがやられたら終わりなので、それだけは他から離れた奥に置いて、ロケットが当たりにくいようにしました。
ロケット砲は中央やや西寄りに落ちたので、ドイツはそこへ向かうために、まず中央前面の石造建物を攻撃。ここのイギリス守備隊は弱小だったのであっさり陥落し、ドイツ戦車は西の端にいたイギリス兵を倒しに向かいます。ところがその隣の林に入ったものはボグ&機関銃故障、イギリス兵に突っ込んだのはCC対応射撃で破壊され、超過移動して突っ込もうとしたのは失敗して走行不能になってしまいました。酷すぎる結果にドイツ投了して再戦です。
今度のロケットは中央入り口付近に落下。ドイツはまた入り口の建物を攻撃しますが、今回ここは全部ダミーでした。ドイツ戦車は最初から2両が西に向かいます。
イギリス軍は西側に向かって集まり防衛線を築こうとします。しかし一般に突破シナリオは両端が弱点になるので、イギリスは両端を重点的に守っていました。そしてイギリスの防衛線となるボードfは、特にボカージュが密集していたため、反対側にいる部隊はなかなかたどり着けません。イギリスは一応戦線を敷いているものの、かなり薄めです。

(下が西・紫線の北が勝利条件ゾーン)
第2ターン、ドイツ軍はイギリスの西側防衛線に接触。ここで戦っても勝ち目のないイギリス軍はすぐ後退し、さっきよりはましな防衛線を作ります。その際ドイツの指揮官が狙撃兵にやられ、スタックが丸ごと混乱して潰走するアクシデントに見舞われました。
第3ターン、ドイツ軍はさらにイギリス防衛線に迫ります。ボカージュは攻撃側が隠ぺいを維持したまま進めるので、歩兵にとっては攻めやすい地形です。特にこのシナリオでは、イギリス軍が思うように戦力集中できないので、ドイツは安心してフルスタックのまま前進し、高い火力密度を生かすことができます。ここでもイギリス軍は下がるしかありません。
第4ターン、早くも勝利条件ゾーン目前で後の無いイギリス軍に対し、ドイツ軍は戦車と歩兵を集中した総攻撃態勢。イギリス歩兵に隣接射撃を加えたティーガーは、機関銃を2つとも故障させてしまいましたが、分隊が2か所でイギリス半個分隊に白兵戦を掛け、1か所除去1か所混戦となります。
ターン後半、ここで東側にいたセクストンが、ボカージュ越しにティーガー側面を撃つチャンスに恵まれます。しかしこれはボカージュによるハルダウンに弾かれて外れ。一方イギリス鬼スタックは半減後12火力−2指揮修正で、ボカージュのドイツ軽機関銃スタックをかなり混乱させます。しかしその後、石造建物にいたドイツ鬼スタックに撃たれ、イギリス重中機関銃も混乱。
うーん、次には確実に重中機関銃を奪われ、頼みのシャーマンファイアフライも来るのはずっと先。もうドイツ軍を止めようがないので、イギリス投了です。

結果は1勝1敗で、表面的にはうまくバランスが取れたようにに見えますが、実際にはイギリスの方が難しそうです。これは先に書いたようにイギリスが戦力を集中しにくいことに加えて、
・ボカージュは視界が悪く複数へクス射撃グループを組みにくいので、機関銃が多く火力密度の高いドイツが有利なこと
・防御側が射撃戦を挑むのに適したボカージュの切れ目がないこと
・マップは狭くターン数はかなり長いこと
・防御側の増援が遅すぎること
が原因です。
これらを考えれば、このシナリオは戦力調整をしなくても良かったようです。元の戦力ならイギリスはさらに一段退いて、勝利条件ゾーンに入ったドイツ軍に対し、戦力を集めて反撃することもできたでしょう。
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