豹にかける呪術
 
 今日はまたPBP20 Hard to kill。このシナリオは戦力評価がアメリカ8%優勢で予想勝率7割5分となっています。しかし3年前には私がアメリカを持って完敗し、先日は浜甲子園さんにアメリカを持ってもらいましたが、やはりぎりぎりアメリカは勝てませんでした。ドイツはパンターやSSの火力が強くて、アメリカは正面から撃ち合っても勝てず、遅滞しながら下がるのも勝利条件的にその余地が少ないのが、アメリカにとって難しい所です。
 これをどうするか浜甲子園さんのやり方からヒントを得てさらに作戦を考え、私がアメリカ、子供がドイツでやりました。


 まずアメリカ戦車はパンターとの対決を極力避け、ドイツ歩兵とも距離を取って戦うようにします。1両目は左側の森で開けた場所を見張る位置(ここは前回浜甲子園さんが置いた場所)で、パンターは森の中を無理して抜けないと入って来づらく、左側面に回り込もうとするドイツ歩兵を阻止できます。そして2両目は中央の建物の手前側(これは前々回の私が置いた場所)で、中央や左の森右側を進もうとするドイツ軍を待ち受けます。
 そして3両目が右の森の中から奥の開けた場所を見張る位置で、一見ドイツが右の森を通らなければ無駄になってしまいそうな奇妙な配置です。しかしここにいるとドイツ歩兵が森に隠れてすばやく進むのを防ぐことができ、ドイツ軍が来ない時は全移動力移動で2ターン掛けて森の中を戻れば、右脇から中央の開けた所を狙うことができます。
 そしてこの3両が両脇の森を守ることで、その手前の林を簡単に攻撃されないようにでき、対戦車砲を以前より安全にそこへ置けるのです。後は歩兵を町の前面に並べ、特に左側の石垣には一線級2個と中機関銃を置いて、ドイツ歩兵が右の森の中を進んで戦車を襲いに来ても、それを撃てるようにしておきます。

 これを見たドイツは左右どう分けるか考えますが、右側シャーマンの前を歩兵だけで進むのは大変そうです。またパンターも連れてくると、戦闘後森を出るのに時間が掛かるばかりか、煙幕迫撃砲と緊急機動を駆使されると倒せるかどうかも分からず、1両だけでは最悪負けることさえあり得ます。そこでやはり進みやすく、決戦にも有利な地形のあるアメリカ左側を行くことにします。
 第1ターン、ドイツはまず煙幕展張器とタンクデサントを駆使して、安全かつ素早く最初の建物群左側に取りつきました。


 第1ターン後半、アメリカは右の森のシャーマンを1へクス後退させ、前面に出ていた歩兵も撃たれない位置に下げ、中機関銃半個分隊と指揮官は教会に戻って尖塔に登ります。
 第2ターンもドイツは煙幕展張器を使って煙の壁を作り、歩兵はそれに隠れて早くも左の森に到達しました。そして戦車も左側の生垣沿いに並び、右端の林をピンポイントで狙って射撃開始。アメリカ戦車の配置から完全に砲の位置を読まれていて、隠蔽はぎりぎり解けなかったものの、設置TEMの使用でここにいることがばれてしまいます。

 すると2ターン後半、アメリカ砲を狙って横を向けていた先頭のパンターが、4へクスの距離から生垣越しにバズーカを当てられて吹っ飛びます。さらに狙われていたアメリカ砲もパンターに撃ち返し、ROFを維持して2回もAPCR弾を当てましたが、こちらは両方車体に当たって弾かれました。
 そして左の森で前に出たドイツ歩兵スタックも、シャーマンに加えて尖塔の中機関銃にまで撃たれ、9−2指揮官が混乱し、分隊が除去1混乱1ピン1の大損害。右のシャーマンも森を抜けて中央を見張る位置に着き、アメリカ好調です。
 第3ターン、対戦車砲を倒さないと進めないので、ドイツ戦車は射撃を続けますが、全然効かないどころか1両が主砲故障。そして左ではパンター1両が森の中に突入し、隠蔽を付けたスタックが突撃でシャーマンの前に出ます。

 3ターン後半、左のシャーマンは出て来たドイツ歩兵に煙幕を撃って一時無力化し、その隙にアメリカ歩兵が左側へやって来て並びます。一方右のパンターと砲の撃ち合いは、パンターの故障こそ直ったものの、やはりお互い効果無し。一向に戦果が上がらず焦るドイツ。
 第4ターン、右のパンターはまたも対戦車砲を倒せませんでした。そして半分の移動力でボグにもならずに急いで森を抜けた左のパンターは、ついにシャーマンと激突。ここでシャーマンはまずAPCRを撃とうとしましたが、弾は無し。そこで代わりに煙幕迫撃砲と緊急機動を掛けて、今度は両方成功させました。9−2指揮官が載っているパンターはこのシャーマンを撃ったものの、強力な回避術が効いてぎりぎり当たりませんでした。これも浜甲子園さんの教えのお陰です。
 するとパンターはさらに再起動して、正面のバズーカに注意しながらもう一歩前進します。しかしその時!まっすぐ森の切れ目を狙っていた右奥森のシャーマン。これが見事パンターの側面を撃ち抜きました。これだけ一方的に大損害を受けてしまっては、ドイツも投了するしかありません。



 アメリカの狙いが綺麗にはまりました。正面からの撃ち合いではパンターに及ばないシャーマンですが、煙幕、APCR、煙幕迫撃砲といった多彩な武器を使いこなせば、強敵にも簡単には屈しない有用な戦車となります。戦車は歩兵を、砲は戦車を食い止め、歩兵は柔軟に危ない所を補う作戦が効果的でした。
 作戦的に難しいことがあっても、しっかり突き詰めて考えれば、やはり戦力評価の勝率予想は正しいという例が、また一つ積み重なりました。

 
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