鬼神スタック
 
 今日のASLは、シナリオ72静かの海。1944年パラオ諸島のペリリュー島で、日本軍の籠る洞窟をアメリカ海兵隊が攻撃します。タイトルは、月面のような岩場が広がる荒涼とした土地に、アメリカが最初の一歩を記したことを表しているのでしょうか。地形は太平洋地形で、砂漠地形はありませんがハマダだけはあり、建物は岩場となります。10.5ターン終了時にアメリカは、レベル4のへクス3つの内2つを支配するか、洞窟の半分以上を支配か破壊していたら勝利です。
 攻めるアメリカは、歩兵を東側に配置するか南側から侵入するかに振り分け、最後期型海兵隊(7−6−8)12個分隊に10−3指揮官が付き、重機関銃3、中機関銃3、火炎放射器3、爆薬9、60ミリ盤外迫撃砲があります。さらに第1ターンにM4A1戦車が4両、東か南から侵入します。
 この7−6−8最後期型海兵隊は、ASLの中でも最強のユニットで、いくら海兵隊が強いと言ってもちょっとおかしいんじゃないのと思うくらい火力射程が大きいです。これが3つスタックして重機関銃3個と10−3指揮官という最高の武装・指揮官と組み合わさると、射程6へクス内なら36火力(最大コラム)−3修正というとんでもない威力になり、鬼神として君臨するでしょう。
 一方守る日本は、エリート7個分隊と重機関銃1、中機関銃1、軽機関銃3、爆薬3に47ミリ長砲身対戦車砲2、75ミリ短砲身歩兵砲1、81ミリ迫撃砲1があります。さらに14個の洞窟と2個のトーチカ、地雷12火力が使えます。爆薬の1つは対戦車設置ができ、洞窟かトーチカにいる重中機関銃や砲兵器は事前照準ができます。また81ミリ迫撃砲の設置TEMは+4となり、間接射撃でなくてもそのペナルティーを受けます。
 そして日本軍には配置制限があり、2つの丘の内レベル4が1つしかない南側の丘付近に、少なくとも洞窟5つと3個分隊相当以上を置かなくてはなりません。これにより日本は、レベル4が2へクスある北の丘だけに戦力を集中して守るということが、できなくなっています。
 本来洞窟に籠るエリート日本兵はかなり頑強なのですが、アメリカの鬼神スタックの存在と、日本の配置制限により、全く油断のできない状況となっています。戦力評価も攻撃側2%の優勢で、ほぼ互角と思われます。子供がアメリカ、私が日本です。


 日本は最初の洞窟の配置でほとんど決まるので、これを入念に考えなくてはなりません。アメリカの侵攻ルートは、南から丘を直接攻めるか、南東から岩場や生垣を利用して丁度いい6へクスの距離で丘の頂を狙うか。また戦車は南から入るか、北東の道路から入るか。日本はこの辺りを想定して、守りを考えます。
 南の丘は守り切れないので最小限の配置にしますが、背後から撃てる可能性があるので、対戦車砲を一つ入れます。また北東からの戦車に備えて、こちらの道路の出口には対戦車設置爆弾と対戦車砲を置きます。そしてメインは北側の丘ですが、頂を取られたら負けなので、その両方にトーチカを置き、その下には全方向に洞窟を並べて備えます。そして頂の裏側には81ミリ迫撃砲を置いて、間接射撃ができるようにします。

 そして配置を終えてアメリカは攻撃開始。その場所は驚いたことに南西の端からほぼ全部隊。ここは竹林があって進みにくい場所なのです。アメリカは丘の麓に進む部隊と竹林に進む部隊に分かれて進み、戦車も3両が竹林に突っ込み全車ボグになります。東には盤外砲観測員と狙撃兵除けの半個分隊のみが出てきます。日本軍は洞窟の中でごそごそ動きます。
 第2ターン、アメリカは南の丘に盤外砲煙幕を落とし、さらに前進を続けます。その際竹林の戦車1両がボグ脱出に失敗し、走行不能となりました。日本はトーチカから重機関銃と迫撃砲で狙撃兵除けの半個分隊を撃ち、これを混乱させます。

 第3ターン、アメリカ軍は南の丘を登っていきます。途中で2つの洞窟が見つかり、アメリカは半個分隊を失い戦車1両が衝撃を受けますが、アメリカの鬼神や火炎放射器からの厳しいモラルチェックを、日本は奇跡的なサイの目で耐えきります。ターン後半日本は戦車に止めを刺し損ねますが、対戦車砲はまたしても鬼神の射撃を耐え抜きます。またアメリカの観測員は狙撃兵に撃たれて死亡してしまいました。
 第4ターン、日本の対戦車砲はついに戦車を破壊しますが、アメリカの度重なる射撃をまたまたあり得ない目で全て耐えきります。そしてまさか対戦車砲が生き残るとは思わずに出てきていたもう一両の戦車も、ターン後半に破壊してしまいます。この後ようやく殊勲の対戦車砲も打ち倒されることとなります。また日本の81ミリ迫撃砲もここで故障し、結局壊れてしまいました。

(上が東・ダイヤは駒を盤外に置いている)

 第5ターン、南の別の洞窟を攻める際に、アメリカ半個分隊2個が火炎放射器ごと除去されてしまいます。また南の丘の頂に登ったアメリカ半個分隊が、そこにあった地雷で混乱しました。しかしアメリカは準備射撃後に鬼神を突撃でじわりと前進させ、北の丘の頂を射程に入れます。また9−2指揮官と中機関銃3つの、これまたかなり強いスタックも、射程内まで進みます。
 これに対し日本は分隊を全て展開し終えて、態勢は整っています。ターン後半では洞窟奥に隠れて突撃で出口に戻り、撃たれてもいきなり除去されない限り、洞窟奥に潰走して10−1指揮官により11以下の目で即時回復し、隠ぺいを付けて戻ってくるのです。普通の相手だったらこんなのそうそう倒せるわけがありません。

 第6ターン、これまで3両の戦車を破壊・走行不能にし、火炎放射器2個を除去し、観測員も倒して、日本は非常に順調そうに見えます。しかし何と言ってもアメリカは鬼神が全てであり、これさえ活躍すればいくらでも逆転可能でしょう。そして実際この頃からサイの目の流れが変わり、鬼神はその常軌を逸した力を見せつけてきます。
 撃ち始めた鬼神は重機関銃のROFが全然止まらず、6回とか7回とか延々と射撃が続きます。それによって固いトーチカや洞窟など関係なく、中にいるものを全て殺戮し尽くし、回復の隙を与えません。その間に他のアメリカ軍は安全に前進し、洞窟に隠れていた歩兵砲に火炎放射器を撃退されるものの、第7ターンには早くもアメリカ半個分隊が空になったトーチカを占領してしまいます。
 日本はすぐにこれを奪還しなければ、トーチカへのトンネルを埋められて万事休すです。10−1指揮官と分隊が突入し、損耗を受けながら奪還に成功します。
 しかし第8ターンになると、彼らも鬼神に撃たれて10−1指揮官共々KIA。このターンはトーチカにたどり着けるアメリカ部隊がいなかったものの、第9ターンには出てきたトーチカの守備隊も撃ち倒され、トーチカはまたアメリカの手に落ちます。しかしこれもターン後半、日本軍決死の白兵戦を受け、三度日本の手に戻ります。

 第10ターン、トーチカを守る日本軍は爆薬を持っており、近づくアメリカ軍に投げ込もうとしています。投げ込んでもトーチカ側は+8修正で、相手は+2修正なので、かなり効きます。しかし実はここまでの間に、東で自己回復したアメリカ半個分隊が無線機を拾い、日本重機関銃の射撃を潜り抜け、アメリカ本隊まで無線機を送り届けるのに成功してしまいました。一時無線接触に失敗していたものの、ここにきてついにアメリカは煙幕を良い位置に落とすのに成功し、トーチカから正面が全く見えなくなってしまいました。うーん、日本軍、これでは爆薬も投げられません。まずい。
 アメリカ9−2指揮官スタックは、トーチカに上がります。そして白兵戦。日本軍は隠蔽を残すため攻撃しません。アメリカの攻撃は隠蔽に対して、2対1の−2で9以下。そして目は9。日本軍ぎりぎり生き延びた。これはもしかして?

 などということはなく、ターン後半やはり日本軍は倒され、アメリカの勝利です。


 日本の誇るお家芸「洞窟」でしたが、正直鬼神スタックにこれだけ高いROFで当てられまくったら、他で何がどうなろうと、全く歯が立ちません。戦車や火炎放射器の破壊もほとんど関係ありませんでした。また一時無力化した盤外砲も、最後いいタイミングでいい所に落ちて勝負を決めました。日本はかなり考えて配置したのですが残念です。ただ機関銃の射撃拠点にされると嫌だと思って南の丘の頂に置いた地雷は、北の丘に置いた方が良かったようです。
 予想プレイ時間は、(25+4×3)×10.5÷60+1≒7時間半で、実プレイ時間もだいたいそのくらいでした。

 
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