戦車魔術師は黒魔術も使う
 
 今回の浜甲子園さんとのVASSAL対戦は、AP196 Silver & Bronze。ドイツ軍の両面攻撃に対して絶望的な戦いを生き延びたアメリカ兵たちは、銀と銅の勲章に推薦された。ドイツは6ターン終了時に80VP以上稼いでいたら勝利です。ドイツの損害VPからアメリカの損害VPを引き、ドイツの支配する建物はそのへクス数がVPになります。雪で曇りで積雪があります。また複数へクス建物は2階建てで、道路は全て舗装です。
 守るアメリカは、新兵2個、二線級3個、突撃工兵のエリート9個分隊とヒーローに、爆薬1、75ミリシャーマン4両、105ミリ榴弾シャーマン2両、76L駆逐戦車2両です。各ボードには最低4MMCとAFV2両を置かなければならず、適切な地形では狐穴がもらえます。
 これを攻めるドイツは、第1ターンに北から一線級13個分隊と75Lのヘッツァー4両が、第2ターンに南から二線級12個分隊と75Lの3号突撃砲3両が入って来ます。
 アメリカは配置制限がある上、かなり広い範囲を守り切らなければなりません。普通の戦いならアメリカがやや有利な戦力ですが、これらにより分散防御を強いられるかもしれないことを考えるとバランスは良く分かりません。
 浜甲子園さんがドイツ、私がアメリカです。


 アメリカの守り方で重要なのは、北から来るドイツのヘッツァーが、対戦車では強く対歩兵では弱い事です。すると北では戦車戦を避けて歩兵で守り、逆に南は戦車で守るべきです。ただそうしたとしてもドイツの進入範囲は広いため、全ての場所を守ろうと薄く広がると、一点を集中攻撃されて撃破突破されてしまいます。
 そこで北では、丘に挟まれた中央最前線の建物を狐穴で繋いだ歩兵戦列を作って正面攻撃に備え、両脇の2階には中機関銃を置いて、左右の丘を越えて来るドイツ軍をファイアレインで食い止めるようにしました。そして北のボードに置かざるを得ない戦車は、北西の建物の陰に置いてバズーカの護衛を付け、ヘッツァーの攻撃を受けないようにします。
 一方南では、主要部前面の建物列にお家戦車を並べた防壁を作ります。そして西からの回り込みにも備えられるよう、重機関銃と指揮官を中央の丘の建物2階に置きました。

 第1ターン、ドイツはさすがにこの固い北方中央部を破るのは無理と見て、戦力を二分して両端から侵入します。アメリカもそれに対応して戦力を東西両側に集めました。
 第2ターン、北側のドイツ軍は南下を継続し、東側でいくらか歩兵の損害が出ます。そして南側では一部を西側から進ませた以外、中央からの正面攻撃を掛けました。当然アメリカ戦車たちは撃ちますが、折からの大雪で視界を妨げられてあまり当たりません。
 ターン後半、南でお家シャーマンに一騎打ちを挑んで来た三号突撃砲に対し、シャーマンが煙幕を撃ってから背後の石垣に2両の戦車を回り込ませるか、もし煙幕が無ければ直接正面から撃つというのがアメリカの作戦。ところがシャーマンは煙幕も白燐弾も無くいきなり故障・・何これ。迫って来るドイツ歩兵もなかなか止められず、アメリカ戦車は不安な状況。
 さらに北東ではヘッツァーに隠れて道路に出ているドイツ兵に対し、アメリカ歩兵が撃って損害を与えたのはいいのですが、これが狙撃を兵を呼んで、何と北西に隠れていたシャーマンがリコール。何なに?これ、これ・・
 こうなったらアメリカは煙幕が無くても4両の戦車を送って、シャーマンを狙っている3号を取り囲む。戦いは数だよ、兄貴!うーん、前進射撃当たらないな。北では歩兵を集中させました。

(下が南)
 
 第3ターン、まず南ではやって来た105ミリシャーマンを3号突撃砲が撃破。そして北西では近づいて来たドイツ歩兵を、アメリカ重機関銃が混乱させました。しかしそれ以外では降り続く大雪に加えて、戦車機関銃の故障が連発し、ドイツ軍は南北とも結構な数が抜けて来ます。ただ3号突撃砲は無事仕留めました。
 ターン後半、故障お家シャーマンとその隣の駆逐戦車に迫る残り2両の3号突撃砲。さらに北西ではリコール予定のシャーマンに対し、待ち伏せ態勢が取られています。アメリカはこの危機をどう乗り越える?南では故障シャーマンが修理に成功して撃つか、背後の駆逐戦車が4以下で当たれば逆転できる。北西では待ち伏せを逆用して突撃工兵と爆薬でヘッツァーを葬ってやる。チャンスを掴め、レッツゴー!
 まずシャーマン主砲の修理、直らない。対空機銃が故障し歩兵に隣接された隣の駆逐戦車、直らない。そして作戦のために必要な煙幕を北西と南のシャーマンが撃つが、煙幕白燐弾計4つまたどれも持ってない。背後から3号を撃った駆逐戦車も当たらない。一方ドイツは北西で全混乱したスタックの1個が一発回復。・・・アメリカだめじゃないか?これ。
 それでもアメリカ、できるだけのことはやってみます。まず北東では突撃工兵の能力で煙幕を張り、ドイツはファイアレインを敷こうとしたら故障して、拠点部隊の南下対応に成功。次に北西でリコール戦車は破壊されたものの、その途中で半個分隊に歩兵煙幕を落とし、アメリカ歩兵の移動を助けるのに成功しました。ところがこれに乗じて進んだバズーカ二線級は、そいつに2を出されて混乱。爆弾指揮官と突撃工兵はなんとかヘッツアーにたどり着いたけど、何かおかしいぞ。
 こんなひどい状況ではもう賭けに出るしかない。南でシャーマンがパンツァーファウストをくぐり抜け、3号に背後から隣接します。すると振り向いて撃った3号がなんと故障。このチャンスを必ずものにするぞと、もう1両のシャーマンもこの3号に隣接しました。その後南西から石垣に張り付いた3号はアメリカ駆逐戦車を撃破。しかし2両のシャーマンの前進射撃は外れ、PAATCに成功した突撃工兵もヘッツアーの破壊に失敗しました。全くおかしい。
 そして第4ターン、それでもアメリカ、故障した3号突撃砲くらいは倒せるだろ。3号いきなり復活。すぐさま目の前に並んだシャーマンをROF連射し、両方血祭りに上げてしまいました。何だこの悪魔の罠。これで実質アメリカ戦車部隊は壊滅し、ドイツ歩兵は進みたい放題になったので、ドイツの勝ちです。

 

 本当に浜甲子園さんは、あるゆる点で戦車戦の魔術師。これだけ運が偏ると、シナリオのバランスや戦術の良し悪しがどうだったか良く分からないので、家でももう一回やってみます。

 
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