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 今日のASLは、A15 Stand Fast the Guards、「近衛隊、固く持ちこたえろ」。BEFのフランスからの撤退を支えるのは、アイルランド近衛隊だった。彼らがドイツの攻撃に持ちこたえられなければ、BEFは撤退できず全滅する。ドイツは7ターン半の間で、中央の丘から混乱していないイギリスMMCを一掃した瞬間か、45VPを中央のボードから突破させた瞬間に勝利します。
 攻めるドイツ軍は、9−2指揮官、20個分隊と37Lの3号戦車4両が、第1ターンに侵入します。
 そして守るイギリス軍は9−2とエリート16個分隊と40L対戦車砲2門、狐穴4つです。しかしイギリス分隊の初期配置は各ボード6個までに制限されており、さらに移動フェイズに動けるMMC数が、毎ターン移動前に振ったDRの数までに制限されています。またイギリス軍は煙幕も置けず、故障した武器を修理することもできません。

 戦力評価ではイギリスが10%の優勢で、予想勝率8割。しかしROARのAH版とMMP版の合計ではイギリスの勝率34%と、全く逆になっています。
 このシナリオではイギリスに厳しい配置制限と移動制限があり、戦力集中が難しくなっていることから、イギリスは戦力評価ほど有利ではないと思われます。一方ネットでは防御側が合流を放棄している例が多く見られ、特別ルールが過剰に影響してROARの勝率を下げ過ぎているようです。本当はどの程度なのか、やってみないと分かりません。
 子供がイギリス、私がドイツです。


 厳しい特別ルールと二重の勝利条件により、イギリスの配置はとても難しくなっています。まず当然ながら、主力をドイツ侵入側近くに置いたらいきなり各個撃破されるので、できるだけ後方に置かなければなりません。
 特に中央の丘は勝利条件なので、内側の生垣と壕を結合して陣地を築きます。ただ丘の前端に何も置かないと、ドイツが戦車を丘の端に登らせ、そこに歩兵が隠蔽を付けたまま突撃できてしまうので、半個分隊を並べて監視します。
 またたった6個分隊でドイツ20個分隊の攻撃に耐えられる訳がないので、左右のボードに置く部隊は、速やかに丘の部隊と合流させなければなりません。これらは丘に一番近い後方の林に指揮官とスタックして置き、毎ターン最大数を丘に持っていきます。
 そして一番難しいのは対戦車砲の配置です。丘の上に2つとも置けば、丘の守りは非常に固くなります。しかしそうすると左右にまわりこんだドイツ戦車に、丘への歩兵の合流を阻止されたり、最悪脇を回って突破される可能性があります。そこでイギリスは丘の上に1門、後方に1門を置くことにしました。
 最後に鬼スタックを作るかどうか、集中攻撃を受けやすいので悩ましい所ですが、9−2指揮官を生かすため中央に壕を重ねてそこに置きました。

 ドイツもこの配置に対し、イギリス軍の合流前に丘を直接攻撃するか、左右を回って側面を攻めたり突破を狙ったりするか迷いました。しかしイギリス軍は2ターンもあれば合流でき、そうなると迂回しても撃破や突破は難しそうなので、ドイツは直接正面攻撃を掛けることにしました。
 まずドイツは丘の前面の半個分隊に戦車を突っ込ませ、可能なものは蹂躙します。この間イギリスは対戦車砲で1両を破壊しました。
 続いて歩兵が丘に隣接しましたが、ここで結構な損害を受けてしまいます。そして丘の端に数個分隊を突撃させ、鬼スタックは登らずに隠蔽を付けることにします。


 イギリス軍ターンには、対戦車砲がまた戦車を1両を破壊し、歩兵は7個分隊が丘に駆けつけます。これで生垣沿いにイギリス兵が並び、かなり固くなりました。
 第2ターン、ドイツは厳しくても行くしかありません。まず起動した戦車が1両破壊されますが、もう1両の指揮官付き戦車が、イギリス鬼スタックに突っ込みます。
 そしてオーヴァーラン2回に加えて、停止しての機関銃移動中射撃、さらに白兵戦。3号戦車は車体機銃が3火力、同軸機銃が8火力あるので、オーヴァーランは20火力、同一へクスへの移動射撃は16火力、白兵戦では8火力もあり、歩兵に対してはすさまじい威力があります。これに戦車指揮官もついた強力な攻撃で、イギリス9−2指揮官を負傷させて、かなり損害を与えました。しかしターン後半にはこの戦車も対戦車砲にやられ、ドイツ戦車は全滅となります。
 鬼スタックを無力化した後、ドイツ歩兵は大挙して丘の上をウミガメ戦術で進みます。そして防御射撃と前進射撃で、激しい応酬が繰り広げられました。
 イギリス軍ターンには、全ての部隊が丘に到着し、ドイツと撃ち合ってお互いさらに損害が出ます。

 第3ターン、第4ターンと、ドイツ軍は全火力でひたすら射撃を繰り返します。鬼スタックはもちろん、ウミガメたちも30や36火力という高火力で撃ち続け、イギリス軍の方がより多く除去されていきます。またヒーローがイギリスに1人、ドイツに2人登場しました。
 イギリスに全軍集中されて厳しいかと思っていましたが、ドイツは結構いけそうです。


 第5ターンから、ドイツは撃っては突撃でイギリスの前線に隣接していきます。しかしこのころからイギリスの方が良い目になってきて、ドイツは火力で勝る割にあまり損害を与えられません。
 またイギリスは前線の壕を失ったので、自軍ターンではもう撃ち合わず、後退と前進を繰り返してさらに損害を抑えます。ちょっとドイツの雲行きが怪しいぞ?

 そして第7ターン、ドイツは最後の突撃でイギリス軍を一掃に行かなければならない時期です。それには生垣の前線で踏ん張っているイギリス軍前衛を黙らせたいところ。しかし高火力で撃ったのに倒せません。撃たずに全員が突っ込むべきだったか?
 そこで中央は諦め、ドイツは右端の半個分隊に向けて突っ込みます。しかしここでもイギリス兵はやたら強くて、ドイツ兵は次々にピンや混乱。そして最後に突っ込んだ鬼スタックまでも、1残留火力とFPFに食い止められ、生垣を越えてまともに撃てる部隊がいなくなってしまいました。
 これでは生垣の向こうのイギリス軍を、次ターンまでに全て混乱させるのは無理。イギリスの勝利です。



 珍しく戦力差を特別ルールで埋め合わせたシナリオで、バランスが取れていてかなり考えさせられました。

 
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