T−34前のめり
 
 今日のASLは、Critical Hit # 4.2よりPB-CH (B)のPowderworks。多分「火薬工場」という意味なのでしょうが、これがこのシナリオの何を表しているのかは分かりません。1942年8月、独ソが互いに攻勢を企図していた中、ソ連の攻撃によってドイツ軍の大半は守勢に立たされましたが、ドイツ第二装甲軍は単独で作戦目標の攻略を開始しました。ドイツは8ターンの終了時、16O3と17P2のどちらかの建物を支配した上で、12VP以上を北に脱出させていたら勝利です。ただし4ターン以前に脱出したVPは半減(端数切り上げ)となります。天候は曇りで、両軍とも無慈悲が適用されます。
 守るソ連は、12個分隊と76*歩兵砲1門、45L対戦車砲1門と塹壕2、狐穴6を、勝利条件建物付近に初期配置します。この時MMCは同じ区域にスタックできず、砲は同じボードに置けません。また各ターンにMMCはdr+ターン数個しか動けませんが、第1ターンだけは指揮官とスタックしていたら別口で動けます。そして第3ターンに76LのT-34 M41が3両、北から入ってきます。
 これを攻めるドイツは、11個分隊と普通のハーフトラック3台、37L砲搭載ハーフトラック1台、75Lの4号F2型1両、50Lの3号J型3両が、第1ターン以降に南から入ってきます。ただしソ連配置の前に、ドイツは真南、南西、南東のどこから侵入するかを決めておかなければなりません。

 普通に戦力評価をすると、ソ連は22%の優勢で必勝です。しかしソ連は離れた2か所を両方守り切らなければならないのに、配置と移動に制限があって各個撃破を避けにくくなっています。またドイツの突破条件は、歩兵を降ろしたハーフトラック4台がすぐに抜ければいいだけなので、ほぼ無いようなものです。そこでドイツには防御不全による1.5倍を適用して計算してみますが、それでもソ連は12%の優勢です。
 そのためソ連から戦車1両と2個分隊を減らし、ソ連2%だけの優勢に調整します。子供がドイツ、私がソ連です。


 シナリオの性質上、ソ連はドイツに虚を突かれるとあっさり負けてしまう可能性があります。しかしドイツが森や建物のある東から来るか、麦畑を頼りに隙を狙って西から来るか、あるいは間に入って分断して弱い方を攻めるか、どれもありそうで守り方が難しいです。単純にどれかに賭けたら、勝率3分の1になってしまうのでだめでしょう。
 そこでソ連の配置は、ドイツが攻めやすい東には多めの6個分隊、そして西には4個分隊を置きます。砲は両方の勝利条件建物に1門ずつ置き、ドイツが分断を狙ってくるのに備えて、その間に向けておきます。ソ連はT−34が着くまで前線を保てるかが鍵になるでしょう。

 第1ターン、ドイツの侵入は東からでした。こちらはソ連の守りも多いものの、ドイツも攻撃の足掛かりが多いのでどうなるか。
 また東から入るにしても、戦車を頼みに正面の麦畑、生垣から近接して急戦を挑むか、東の森伝いに進んで側面に回るか、二つの手があります。確かに急戦が決まれば増援前に前線を崩せますが、二階から見張る重機関銃らしきものの前を横切るのが危険なので、ドイツは煙幕を撒きながら東側を進むことにしました。
 ソ連は西にいた部隊を呼び寄せ、戦車に狙われた重機関銃は死角に後退。できるだけ撃たずに耐えて、T−34到着まで持ちこたえることを優先するつもりです。

 第2ターン、側面から攻撃に入るのかと思ったら、ドイツ戦車は背後にまで回り込んできました。ハーフトラックから降りたドイツ歩兵はソ連側面後方まで進み、徒歩部隊は森に隠れて側方までたどり着きます。
 側面攻撃を狙って進んで来るドイツ歩兵を撃とうと、ソ連は迫撃砲を麦畑の方に移動させていましたが、ドイツ軍の移動により逃げきれなくなり、撃たれて潰走しました。ただその間に主陣地の守りは固まります。

(下が北)

 第3ターン、このターンに攻撃を始めないと、T−34が守りを固めてしまう。ドイツはどう攻めるのか?ここでソ連陣地を背後から攻めると、T−34がさらに背面から攻撃してくるので、ドイツは一転全戦車を側面前方に戻して、建物に隣接してきました。
 なるほど、これは街路戦闘の危険がありますが、ソ連も平地に出るのは出るのはリスクが高く、分隊単独ではリスクに見合わないと、攻撃はしませんでした。代わりに勝利条件建物に隠れていた対戦車砲が、3号戦車の方に向き直り、次の射撃の準備をします。そしてドイツ機関銃スタックの待機射撃により、また1つソ連分隊が混乱しました。
 さてこれで増援まで持ちこたえられたソ連。ターン後半にはまず対戦車砲が発砲。APCRは無かったものの、射撃は連続で命中し、その内の一発が3号を討ち果たしました。これは良いぞ。さらにソ連重機関銃がドイツ9−2の機関銃スタックを撃ちましたが、これは機関銃を持っていない1個分隊を混乱させただけに終わります。
 そしてT−34は陣地に入城。前面建物の背後に張り付いて、ドイツ戦車の攻撃を積極的に防ぐ狙いです。これでソ連は行けるか?しかし直後に建物内のソ連重機関銃分隊が連続で撃たれて消滅。もうこの建物は守り切れないので、1階にいた分隊は突撃で後退します。重機関銃は前のターンに逃げておくべきだったか。

 第4ターン、ここでドイツはソ連の予想していなかった攻撃を始めます。まず戦車で前面の建物に煙幕を置き、そこに歩兵を送り込んで、そこからT−34に対して白兵戦!煙幕を持つ4号だけでなく、3号も背後で迂回してスモークディスチャージャーを使うことができるのです。これはまずい。
 ソ連は戦車や付近の歩兵で防御射撃を行いましたが、建物と煙が厚すぎて効きません。そして9−2指揮官と2個分隊が突撃し、T−34は風前の灯火。ところがT−34はこれをぎりぎり走行不能で持ちこたえます。そしてターン後半には3倍火力でそのドイツ兵を撃って混乱させ、混戦による潰走不能で逆に全滅させました。ただ隣にはドイツスタックが迫っているので、まだ危うい状況は続きます。


 第5ターン、隣からの36火力射撃でT−34はスタン。しまった蓋を閉じ忘れていた。というよりこのT−34は制限付き砲塔で蓋を開けると砲を撃てないもので、道路移動時以外開けておく意味が無いのを見落としていたのでした。最初から閉めていれば、さっきの白兵戦は無傷だったのに。
 そしてここでドイツは指揮官の乗った4号戦車前進。スタンしたT−34に移動射撃を加えます。これが見事APCR弾を命中させて撃破。しかもROFを維持。
 さらに4号は裏に回り込んで、もう一両のT−34の脇で止まります。T−34は低速回転砲塔で当たりそうも無いので撃たないことにしたら、4号の射撃はまたも命中してこれも撃破。一方的にソ連戦車を全滅させてドイツの勝利です。



 せっかくうまく3ターンまで耐えられたのに、T−34を前のめりにさせすぎて台無しになりました。無理をせずにもう少し下がって待ち受ければ良かった。
 ただ他にも制限付き砲塔を見落としていたことや、重機関銃を勝利条件建物に下げなかったこと、さらには西の砲を建物内ではなく境目ぎりぎりの林に置いていれば東の背後を守れた等、ソ連は失敗が多かったです。このシナリオはうまく守るのが難しい。

 
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