魔物が潜むマニラの地下
今日は少し順番を飛ばして、SF5 No Safe Refuge 安全な隠れ場所は無い。河を越えマニラ南東部に一定の広さを確保したアメリカ軍は、フィリピン病院大学複合施設を要塞化して立て籠もる日本軍に対し、大口径砲、戦車、火炎放射器を伴い二方向から大規模の攻撃を開始した。日本軍にはもう安全な隠れ場所など無いはずだった。アメリカは11.5ターン終了時に、7つの大きな建物の内6つ以上を支配していたら勝利です。ただし最大のフィリピン総合病院は2つ分に数えます。
守る日本は、18個分隊と10−2指揮官に、爆薬2、対人地雷24、対戦車地雷6、81*迫撃砲1門、47L対戦車砲1門、20L(4)対空砲2門、12.7(12)対空砲1門、ロードブロック3、鉄条網5、塹壕5、埋設爆弾1、要塞化4で守ります。さらにアメリカ狙撃兵活性化の目が出たら(狙撃drで1、2が出なくても)、日本は増援drをして3以下が出れば、ランダム増援(分隊1、2個と指揮官やSW)が地下道から出て来ます。
一方攻めるアメリカは、15個分隊と9−2指揮官に、火炎放射器2、爆薬4、75ミリシャーマン4両、ミーチョパー1両、107ミリ迫撃砲2門を東側に初期配置します。そして第4ターンには、エリート12個分隊と火炎放射器1、爆薬3、75ミリシャーマン3両、76L駆逐戦車3両、ハーフトラック2台が、南から入って来ます。また航空観測の150ミリ盤外砲が1つあります。
アメリカは32火力スタックを2つ作れる高火力市街戦となるので、歩兵を2倍で計算して159%というとんでもない予想勝率になります。そのため今回も互角になるよう、大きく戦力調整。日本軍は、砲、爆薬、要塞化、ランダム増援を除いて、2倍にします。2倍?こんなに増やして本当に大丈夫?
子供が日本、私がアメリカです。
日本は火力をまともに食らったら吹き飛ばされるので、いつもと違って各建物に兵を分けて配置。広大な高火力市街戦では、戦い方も変わって来ます。
アメリカは当然強力な火力を最大限叩き込むのが良いので、中央のマニラ総合病院前にほとんどの戦力を集中します。そしてまず白燐弾で隠蔽を剥がした上で射撃。まあさすがに5修正あると少し削っただけ。
そして1ターン後半、日本はあちこちで分隊を展開して建物内に広げる傍ら、味方同士で無駄弾撃ちの儀式をして、墓場からゾンビ兵を呼び出します。なんだこの世界。ルール上日本が撃ってアメリカの狙撃兵を活性化させると、半分の確率で日本の増援が来るので、日本はぎりぎりPTCにしかならない射撃を繰り返すと(A14.1によりSANしか起きないDRはできない)、じわじわ増援がやって来るのです。
第2ターンには、煙幕を利用してアメリカ軍は病院に取り付きます。しかし日本軍は建物の奥に隠れ、格闘戦を仕掛けて奪還しに来ます。一線級以上なら格闘は日本の方が強く、格闘戦は多い方がキルレイショーでは不利なので、アメリカ軍は攻め込んでも逆襲で倒される方が多くて全然進めません。このまま相打ちを繰り返しても数に勝る日本は絶対倒せないので、ここで止めて戦力再調整後やり直します。

(下が南)
特定の大きな建物にあるSF地下室は、建物の外から見えません。そのためシナリオタイトルに反して、防御側の日本軍にとって絶好の隠れ場所になり、高火力市街戦の威力をかなり減殺しました。そこで試しにアメリカ2倍を1.5倍に変えて戦力を計算・調整してみます。
まずアメリカ軍から、この防御法だとあまり役に立たなかった航空観測盤外砲(建物内の隠蔽目標は誤爆が危険過ぎて狙えない)、迫撃砲、駆逐戦車を除きます。その上で日本軍は、元の戦力に4個分隊だけ加え、さらに日本バランスでランダム増援をアメリカでなく日本の狙撃兵活性化で出るようにします。なおこのランダム増援の変更は、バランスを取るためよりも、日本の無駄な大量サイ振りを省くのが主な目的です。
総合病院は大きすぎて初期戦力だけで攻めるのは無理と分かったので、今回アメリカは火力を集めて科学棟を慎重に攻めます。
第2ターン、日本軍は前面から引き下がったので、アメリカ軍は建物に隣接しましたが、脇に回り込もうとした戦車が、潜んでいたタンクハンターに街路戦闘を食らって燃やされました。そして歩兵が突撃で建物に侵入すると、地雷攻撃を受けたものの、運良くぐり抜けます。
しかしターン後半には、回り込んだアメリカ兵が白燐弾で大混乱。さらに建物に入り込んだアメリカ兵も、不意打ち格闘を受けて一方的にやられました。その間アメリカの射撃により日本の増援は増えていき、日本軍の総数は全然減りません。
第3ターン、アメリカ軍は科学棟の裏手まで回り込んで総攻撃を掛けます。しかし日本軍は危険な場所から引き揚げており、無理に突入するとまたさっきのように格闘を食らうでしょう。本格攻勢は次の増援を待つところか。

第4ターン、増援のアメリカ軍は科学棟に行っても場所が無いので、左端の聖母被昇天大学に向かいます。そして科学棟でも攻撃を続けますが、成果ははかばかしくありません。増援が攻撃を始める次にはなんとかできるのか?
第5ターン、大学への攻撃を開始し、地雷を抜けて先陣が建物に突入しましたが、混戦の後相打ち。科学棟では正面の対空砲を片付けて、右側からも回り込みましたが、煙幕越しの射撃に撃退されました。一方火爆隊は隠蔽を付けたまま科学棟左側に近付いています。
第6ターン、アメリカは両方の建物で激しく攻め立て、科学棟では良い目を出して日本の機関銃スタックに撃ち勝ちました。しかし医薬学校に現れた対空砲を倒しに行ったミーチョパーは、そばに隠れていたタンクハンターにやられてスクラップ。その間にも日本の増援は続々と湧き続け、質は低いものの既に10個分隊も出て来ています。
こんなんじゃいつになっても日本軍は減らず、勝利条件達成なんて永遠に無理そうなので、アメリカ投了です。

2回目は初期戦力だけでバランスを取りましたが、ランダム増援が思った以上に出て来るので、やはり日本が有利でした。最初はアメリカかなり有利かなと思ったこのシナリオでしたが、独特の要素が影響して、実は戦力調整しなくても結構良いバランスだったのかもしれません。あと普通は屋上に置けない107ミリ迫撃砲も、SF特別ルールで置けることになっていました。
何となく予感はしていましたが、このSword & Fire: Manilaでは、火力勝負の市街戦という今までの常識が、大きくひっくり返されるようです。SF地下室は、要塞効果も無くスタック制限も1個分隊しかなくて、一見防御効果が低そうに見えます。しかしこれがアメリカ軍の強大な火力から逃れ、格闘戦で反撃する日本軍にとって最高の拠点となるのです。
そのためSword & Fireは、他には無い独特な状況や作戦を持つ貴重なモジュールとなっていますが、それがゆえに戦力バランスが極端に悪いシナリオも多いようです。これについては独自の特性に気をつけながら、戦力調整する必要があります。ひとまずSF地下室のある高火力市街戦は2倍でなく1.5倍として、引き続き今後のシナリオで検証していきます。
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