密林の暗闇に呑まれ
今日のASLは、シナリオ60「ココダ途上で」。日本軍はニューギニアでスタンレー山脈を越え、ポートモレスビーを目指していました。その険しい山道ココダ・トレイルの途中のジャングルで、オーストラリア軍と出くわし戦闘になります。日本は8ターン以内のオーストラリアターン終了時、村の周りでジャングルが開けた所(オーバーレイの上)に、23VP以上の統制状態ユニットがあれば勝利です。
日本軍は20個分隊を3等分し、4つの侵入へクスの内あらかじめ決めた別々の3つから侵入します。オーストラリア軍は13.5個分隊を、勝利条件エリアの外側のジャングルに初期配置し、内3個分隊を隠匿配置できます。そして第5ターンに7.5個分隊が勝利条件エリアに入ってきます。また太平洋地形でジャングルは密生です。
このシナリオでオーストラリアは村だけでなく、マップの4分の1近くを占める村の外部まで守らなければなりません。その正面はL字型の24へクスに及び、日本軍の必要前進距離11と12へクスの2倍以上になります。これは前回のシナリオで追加した広域突破の条件に合うので、日本軍に1.5倍の攻撃補正を付けて戦力評価をしてみます。
するとオーストラリア側が3%の優勢となり、勝率5割と予想されます。果たしてこの広い突破による補正は適切なのか?ROARでは日本が有利で勝率が63%ですが、どちらが正しいのか?子供が日本、私がオーストラリアです。
勝利条件上ジャングルを抜けられたら負けなので、オーストラリア軍は、日本軍に有利な(射撃が効きにくく、白兵戦をしやすい)密生ジャングルの中で待ち受けなければなりません。しかも北側と西側の戦線は離れていて、一旦配置したら後で他方を救援するのは難しく、日本の戦力配分が予想外だと大変です。そして最終的にはオーストラリア側の方が戦力で上回るものの、増援が出てくるのは第5ターンと遅いので、それまでの間この悪い条件と少ない戦力で持ちこたえなければなりません。
これを踏まえてオーストラリア軍の配置は、北東側入り口前に壕を掘ってフルスタックで待ち受け、一番遠い北からの小道上には遅滞用の小部隊とダミー。また西側中央の開けたルート側には、2か所に3個分隊用の壕と小部隊を置きますが、ダミーを積んでフルスタックを装います。そして一番近い南西の入り口前に小さいスタックと、その後方に予備部隊を装ったダミーがいます。しかし実は小さいスタックの所には、機関銃を持った指揮官付き6−4−8が3個伏せてあり、日本が舐めて攻めて来たら、大火力で罠にかける狙いです。
そして第1ターン、日本軍の侵入ルートは北側2つと西側中央。がーん、一番来そうだと思って南西に置いたオーストラリアの罠は、完全に外されました。
真北から入った日本部隊は、小道をまっすぐ南下。西からの部隊もまっすぐ東に向かって、ジャングルの端のオーストラリア軍と対峙します。
そして北東に出た部隊は、オーストラリア軍の目の前をジャングルへ駆け込みます。当然オーストラリア軍はこれに射撃。ところが事前照準の迫撃砲2つは両方外れ、12火力の射撃とその残留火力もほとんど効かず、1個分隊をピンにしただけ。オーストラリア3個分隊は日本軍6個分隊に迫られ、かなりまずい感じ?

(下が東)
ターン後半、壕から出るとその瞬間に撃たれるので、オーストラリア軍は射撃を続けますが、隣接する半個分隊を混乱させただけ。これは日本軍なのでどうせすぐ回復です。ただ日本の反撃には持ちこたえることができました。
そして西側の取り残された部隊は、隠匿も解いて移動を始めましたが、エリート2個の一番強力なスタックが、道に迷って反対方向の竹林に突っ込み疲れてピン。オーストラリア軍はジャングルの魔物に呑み込まれてしまったかのようです。
第2ターン、西側の日本軍は前進を続け、オーストラリア軍の臨機射撃もヤシ林に邪魔されて効果なし。北からの隊も、途中の半個分隊に遅らされながら、これを倒します。
そして両軍が対峙する北東で日本は、火力スタックを射撃待機させ、他の部隊で回り込んで、オーストラリア軍を包囲殲滅し勝利を決めようとします。ところがこの瀬戸際でオーストラリア軍が突如開眼。臨機射撃でKIAを出して包囲されるのを食い止め、さらに迫撃砲も火力スタックに致命的命中してまたKIA。この日本スタックは指揮官が死亡し、分隊もLLMCで12を出して全滅です。日本、茫然。
俄然盛り返したオーストラリアは、急いで西から部隊を呼び戻し、勝利条件エリアの守りに駆けつけます。しかし北東の白兵戦では、有利なはずなのに勝ちきれませんでした。
第3ターン、北から南下していた日本部隊は、前方に立ち塞がる何かを見て、進撃路を南東にシフト。一部は混戦中の白兵戦に加わり、ついにここのオーストラリア軍を全滅させます。
一方西で進んだ日本部隊は、前方のオーストラリア小部隊を破り、側面から狙っていた機関銃部隊も迫撃砲の煙に巻いて進みます。これで多少損害を出したものの、村の北側のジャングルに多くの部隊がたどり着けました。
ターン後半には、西から引き揚げたオーストラリア軍が、9−2指揮官を先頭に続々と勝利条件エリアへ入ります。そして北側のジャングル内では、散らばった部隊が最後の足止めの試み。増援到着まであと2ターン、持ちこたえられるのか?

第4ターン、日本軍は足止め部隊を避け、北東側の勝利条件エリア手前付近まで到達します。そしてオーストラリアも前面に鬼スタックを築き上げ、侵入を阻止する構え。いよいよ決戦です。
第5ターン、日本軍は突入開始。半個分隊は駆け抜けて奥に進み、可能な所では警戒移動で隠蔽を付けたまま境界を越えます。オーストラリア軍はこれを食い止めようと撃ちますが、北東側前面に部隊が無かったせいで、思いのほか多く抜けられてしまいました。
さらにその後、混乱した日本の半個分隊たちが、勝利エリア内東の小さなジャングルに逃げ込みます。これらが助けに来た指揮官によって皆回復されてしまったのも、オーストラリアには誤算でした。
そしてオーストラリアには待望の増援が到着。果たして日本軍を勝利条件以下まで減らせるのか?増援部隊は日本軍の入った小ジャングルに、隠蔽状態で隣接。他も射撃、移動、突撃で大乱戦となりながら、日本軍の排除に努めます。
そしてあちこちで白兵戦が入り乱れ、勝負を決めて行きます。その結果4か所では混戦となって勝利条件から外れました。一方3か所では隠ぺいを持つ日本軍が攻撃せず、そこでのオーストラリアの攻撃も外れ。これら隠蔽がついたままの部隊は混戦を免れるので、統制状態を失わず勝利条件に数えられます。

さあこれで23VP以上あれば、日本の勝ち。もし足りなければ、数で勝るオーストラリア軍に対して、ここから日本が点数を積み増すのはまず無理なので、オーストラリアの勝ちです。そして数えてみると。
20VP!オーストラリアの勝利です。
良い勝負でオーストラリアが勝ち、戦力評価による予想勝率5割の通りとなりました。これで縦深の2倍の正面での突破についても、広い突破(攻撃側1.5倍)扱いとして良いようです。
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