ファランクス
 
 今日はASLジャーナル2号よりJ24のSmashing the 3rd、「3番目を粉砕」です。’44年8月、バグラチオン作戦で進撃してきたソ連第3戦車軍団に、ドイツが反撃して突破包囲しようというシナリオです。ドイツは7ターン以内に100VP以上を稼げば、その時点で勝利し、VPは損害(捕虜は0)、建物の占領(1へクス1VP)、突破により入ります。ドイツは全部突破すると99VP、マップ上の建物は23VPあります。
 攻めるドイツはエリート10、一線級5個分隊に4号H型が10両(対空機銃は無し)。守るソ連は一線級11個分隊と、狐穴5、鉄条網2、50ミリ迫撃砲1、76ミリ長砲身野砲1、43年型T−34が5両と、第4ターンに41年型T−34が5両出てきます。子供がソ連、私がドイツです。


 さてこのシナリオ、アーカイヴではドイツの勝率54%となっています(そもそもアーカイヴのROARは、これも含めてしょっちゅう攻撃側と防御側を取り違えているようで、本当に正しく記録されているのかも分かりませんが)。しかし私の戦力評価ではソ連が19%の優勢で、普通に戦ったらドイツの勝率は2割も無いでしょう。ソ連が突破を恐れて分散配置でもしてくれれば別ですが。
 当然我が家ではそんなことは無く、ソ連は北側中ほどの村の中心に塹壕と歩兵の密集陣形で守り、南側中ほどの石壁のある建物付近には、伝家の宝刀「お家戦車」を中心に戦車が固まります。ドイツがこれを撃破するのはかなりきつそう。
 戦車は4号とT−34がほぼ同じ強さで、これが攻防同数となると、普通の作戦では破れません。そこで戦力以外でドイツにとっての優位は何か考えると、比較的広いのですり抜けての突破がやりやすそうなことと、離れた距離でのドイツの砲の命中精度を生かせること、T−34の半数は4ターンと遅めに登場すること。これを生かしてなんとかするしかなさそうです。
 ドイツの考えられる手は3つあります。1つ目は全軍で南側をすり抜け、足りないVPは移動途中の戦闘で稼ぐこと。しかしソ連は集中防御しているので、VPを増やすどころか移動中に撃たれて減らされる可能性が高いです。2つ目は全力で北側の村を攻めること。しかしこれも建物や塹壕に籠る隠蔽された部隊を速やかに倒すのは難しく、すぐに戦車が駆けつけて前進不能に陥るでしょう。
 そこでドイツが取った作戦は、南側の戦車を全力で攻撃し、これで点数を稼いだ上で、歩兵の半数程度と全戦車が突破し、残りの半数の歩兵が建物の確保とソ連の追撃を阻止することです。南側にソ連の歩兵はいないので、ドイツだけが頭を出しているソ連戦車に射撃できる利点もあります。ドイツは命中精度の優位を生かして、自軍の損害より2、3両多くソ連戦車を倒したいところです。


 第1ターン、ドイツはあらかじめ予定していた射撃位置に部隊を進めますが、生垣の右端が事前照準で砲と戦車に狙われていたので、運良く生き残った戦車をそこから後退させます。射撃は双方全て効果なし。
 そしてターン後半、ソ連の戦車や砲の準備射撃が効いて、ドイツはいきなり戦車2両を失います。しかもドイツは先頭の戦車を炎上させられたため、後ろの戦車が当てにくくなってしまい、ソ連のお家戦車は固いし、ちょっとドイツ厳しいのでは?ところが防御射撃の段でドイツはそれを上回る目を出します。戦車を2両破壊し、石壁で守られたお家戦車は機関銃でスタン・リコールです。ドイツこれならまだ行ける。

(上が東)

 第2ターン、ドイツはリコール予定のソ連戦車に煙幕を置いて最後の反撃を防ぎ、さらにもう1両戦車を倒します。そして残っているソ連の砲を攻撃するため、歩兵は広がってじりじり近づき、撃たなかった戦車は右端を進みます。ところが1両だけ残ったソ連戦車が、防御射撃でドイツ戦車を見事に捉えて撃破。損害比は3対4となります。
 ターン後半、ソ連の砲は進んできたドイツ歩兵を混乱させますが、その砲もドイツ機関銃に撃たれ操作班が混乱します。一両残ったソ連戦車は、一旦後ろに下がって待機します。

 第3ターン、ドイツは右手の戦車を回り込ませて混乱した操作班を撃ちますが、それが狙撃兵を呼んでまだ動いてない戦車がスタン。あれ?これはドイツ、もう少しソ連を叩いておかないと逆襲を食らってしまうのでは。そこでドイツは手前の部隊で右手から村に近づき、攻撃できる形にします。
 そしてやはりターン後半、奥に回り込んでいたドイツ戦車が迫撃砲に撃たれて衝撃。しかもソ連の操作班は回復に成功し、防御射撃をかわして砲に帰り着きます。

 第4ターン、ドイツ戦車は幸い衝撃から回復します。復活したソ連野砲も、手前から村に近づけていた戦車が倒し、半個分隊が進んでそれを奪い取りました。あとはやって来るソ連戦車の増援に備えなければならないので、ドイツ戦車が動こうとしますが、ここでまた迫撃砲が命中。今度は走行不能に。。これでドイツ、突破してもVPが足りなくなってしまいます。手前のドイツ歩兵も、ソ連の火力が大きく、じりじりと近づくだけ。どうする?
 ターン後半、まず先ほどから隠れていたソ連戦車が、西側にいるドイツ戦車の前に出てきます。なに?これはドイツ、チャンスでは?ガンデュエルでまずドイツ戦車が撃ちますが、これは外れ。そしてソ連戦車の番。これが何と移動射撃にも関わらす、逆にドイツ戦車を撃破してしまいます。さらにそこへ増援のソ連戦車が突っ走って次々と到着し、ドイツ歩兵の前面に並びます。これはもうドイツどうにもならないのでは。


 第5ターン、ドイツは最後の賭けで村中の戦車に歩兵が近づいて、パンツァーファウストやパンツァーシュレックで倒すことを狙いますが、撃退されたり外したりで効果なし。突破を目指して奥まで進んでいたドイツ歩兵も、ぎりぎり突破が間に合う範囲で村に近づいて射撃してみようとしましたが、これまた迫撃砲にやられまくり、指揮官も負傷して突破すら間に合わなくなります。ドイツ完全に終わりです。


 ドイツは命中率の優位があると言っても、ソ連も事前照準やお家戦車があり、増援が来る前ですら2倍の優位がない戦車戦では、ドイツが勝つのは容易ではありません。戦車戦の運が大きいので、ぜんぜん勝てないというほどではありませんが、やはり戦力評価通りソ連が有利なシナリオでしょう。

 
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