ポンコツ戦車
 
 今日のASLはJ35シャムサンバル。サンバルを調べるとインドネシアの辛味調味料のことで、辛口のシャム軍にひどい目にあわされたということでしょうか。シャム軍に攻撃されたヴィシーフランス軍が反撃したけど、撃退されたようです。ヴィシーフランスは8ターンの終わりにシャムより多くのVPを持っていたら勝利で、通常の損害ポイントの他に、シャム軍初期配置エリアの各建物へクス支配ごとに2VPが入ります。太平洋地形で、建物は全て木造平屋です。
 シャムは中国軍の駒とルールを使い、決死隊は無く、エリート7個分隊と82ミリ迫撃砲1、75ミリ野砲1に、第3ターンには馬に乗ったエリートがもう7個分隊とヴィッカースの47ミリ砲戦車1両が増援に来ます。また第3ターンから爆弾の無い戦闘機1機が支援に来ます。
 ヴィシーは最初エリート6個分隊とFT−17の37ミリ砲型と機関銃型が各1両、3ターンの増援で1戦級9個と新兵3個分隊と70ミリ盤外砲の無線機、FT−17の同じペア、20ミリ対空砲トラック2両、75ミリ野砲1門が入ってきます。
 アーカイヴではシャムの勝率57%で、私の戦力評価でもシャムが4%優勢なだけなので、一見バランスは良さそうに見えます。が、ヴィシー側のこのルノーFT−17という戦車が曲者で、なんと1次大戦のころに生産が始まったという、この時代に残っているのが信じられないようなポンコツ戦車。当然攻守走全てダメダメで、これを戦車1両として評価するのは憚られる代物です。なので本当はヴィシーもっと不利かもしれません。
 子供がシャム、私がヴィシーです。


 シャムの守る場所には小屋が集まっている村と普通の木造建築が散在する町がありますが、いつも言っている通りウォーゲームで戦力を分散するのは大悪手。全てを守ろうとすれば全てを失います。どちらかに集めなければなりません。
 普通の建物があるヴィシーから見て右手の町は、建物がバラバラで守りにくい上、ヴィシーにはいい位置に生垣があって最初から効率よく攻撃でき、ヴィシーの増援も側面を突けるので、防御には適しません。
 一方小屋の集まる奥の村は、外側をジャングルやクナイに囲まれており、ジャングルは重軽迫撃砲に狙われるし、クナイは射撃グループが組めないしで、非常に攻撃しづらく、さらにヴィシーが来るまでに狐穴を掘ることもできるし、シャムの増援は歩いてもすぐ着くので、防御に最適です。シャムはほぼ全軍をここに集めて守ります。

 さてヴィシーは前進を始めますが、とにかく戦車が遅すぎ。たった5移動力では敵に接触できるのはいつになるやら。シャム軍は順調に狐穴を完成させていきます。第3ターンにはヴィシーの増援は村の正面、初期配置の部隊は村の側面に近づきます。
 第4ターン、ヴィシーの正面部隊はウミガメ戦術で近づきますが、クナイが邪魔で効果的な射撃が阻まれ、大した成果は上がりません。側面もジャングルが多くて近づけず、後ろに回り込もうとした部隊も、シャム戦車がやってきて進みにくくなっています。そしてルノーは1両機銃掃射で破壊されます。
 第5ターン、正直ヴィシーの戦車は敵に近づくまで時間がかかりすぎるし、野砲に見られたらすぐ死ぬし、攻撃しても大した成果は期待できないし、遅すぎてオーヴァーランなんてできないし、全く役に立ちません。諦めてヤシ林に向かって逃げますが、また飛行機に撃たれてもう1両が残骸に。こいつらは相手にVPを献上するだけのお荷物でしかなく、いない方がまし。
 しかも正面から撃っていたヴィシー野砲も故障して壊れてしまいます。攻めにくい地形を抜けて、歩兵だけで優勢な戦力の敵に向かって行ってもどうにもなりません。戦車ももう2両破壊され、こんな役立たずなのに1両5VPにもなり、すでに10VP以上差をつけられているのを逆転なんて無理。ヴィシー投了です。



 戦車は最初からヤシ林に全て隠しておけば、せめてそれでVPを取られずにはすんだでしょうが、そうしても代わりに平地の歩兵を撃たれ、ヴィシーは戦力が全然足らずやはり勝ち目が薄いです。ネットで見た例ではシャムがわざわざ守りにくい建物の散在する町で守っていたり、飛行機はなぜかかもねぎの戦車ではなく歩兵を撃っていたりしていて、ヴィシーが結構勝っているのは、シャムでそういうことをしている人が多かったのでしょう。
 こんな役に立たない一次大戦の遺物は、戦力評価上の戦車から外そうとまで思いました。しかしその後疎性ジャングルも困難条件0.75倍で計算することになって、そうするとこのシナリオはシャムは11%の優勢で勝率8割程度と妥当な評価になったので、FT−17も一応戦車の仲間にしておいてあげます。
 
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