禿丘の一部屋
 
 今日のASLは、スコードリーダーシリーズからのコンバートシナリオ集Turning The Tideより、U26のBald Hill、禿げた丘。ドイツ軍がレニングラードの沿岸砲台を攻略するシナリオです。勝利条件は10ターンの終わりに、丘のレベル3の7へクス全てをドイツが支配することです。
 守るソ連軍は最高が9−1指揮官の16個分隊と、位置固定の西向きトーチカ入り122ミリ沿岸砲台2門(射界は特別に広いが命中修正+1)、45ミリ長砲身対戦車砲1門、82ミリ迫撃砲1門、37ミリ長砲身対空砲1門、さらに3個分隊用狐穴6、ロードブロック2、鉄条網8があります。
 これを攻めるドイツ軍は10−2,9−2指揮官付きの13個分隊と、火炎放射器1、爆薬3、75ミリ短砲身IV号1両、50ミリ中砲身のIII号2両、II号1両、ハーフトラック6台、トラック4台です。ドイツの乗車兵は誰が乗っているか隠すことができます。さらにドイツには第1ターンからスツーカ2機の航空支援、事前照準付き100ミリ盤外砲支援もあります。
 シナリオアーカイブでは、ドイツが9対1で勝っています。しかしソ連の方が分隊数が多く、対戦車兵器も十分あるので、いくら強力な支援があると言っても、そんなにドイツが有利には見えません。なので特にバランスルールは使わないことにしました。子供がソ連、私がドイツです。


 ソ連は勝利条件の大きな丘を中心に外側にも少し散らした配置で、指揮官2人をコミサールにします。そしてドイツは沿岸砲台に正面から突っ込むのは無謀なので、盤外砲で沿岸砲前面に煙幕を撃ち、トラックが右の道路沿いに大回り。戦車、ハーフトラック、歩兵は右側の小丘に向かって真っすぐ進み、1ターンで沿岸砲台の射界から抜けようとします。ソ連の迫撃砲やATRも当たらず、トラックは右の小丘麓に着き、戦車、ハーフトラックも沿岸砲の射界を抜けます。

(下が西)
 第2ターン、ドイツ軍はまだ煙幕が効いている内に右の小丘に登り始めます。またソ連の対空砲はずっと煙幕で無力化されていたため、最後までスツーカは移動するソ連軍を狙ってはチクチク損害を与え続けました。しかし榴弾に切り替えた盤外砲は、狐穴に阻まれ効果がありません。また登場を遅らせていた最後のトラック1台も小丘に到着しますが、歩いていた歩兵が1個分隊混乱して落伍します。
 第3ターン、小丘を越えたドイツ軍は途中で見つけた対戦車砲も運よく倒し、ソ連軍側面に迫ります。第4ターン、他の部隊の支援を受けつつ、10−2指揮官と8−3−8分隊が大丘の麓にたどり着きます。しかしこちら側の登り口は鉄条網が張り巡らされており、その後ろから多くのソ連部隊が狙っているので、さらなる前進はすぐにはできなさそうです。そしてこのソ連軍ターン、煙幕で目隠ししたはずのソ連対空砲が、近づいていたドイツハーフトラックに連射を決めまくり、いきなり3台を破壊してしまいます。

 第5ターン、これまでドイツ側のさいの目も良く、ソ連に大分損害を与え、戦車も大丘の麓にたどり着き始めます。9−2指揮官の機関銃は小丘の上から射撃を続け、他の一般兵は大丘に近づきます。ソ連は煙幕に阻まれてなかなか効果的な反撃ができません。
 第6ターン、そろそろ大丘を登り始めたい時期ですが、丘の上の対空砲が何度撃っても混乱せず、(まあドイツが煙幕を載せたせいでもありますが)、煙幕が晴れたこのターンにもしっかり登り口を見張っています。他のソ連兵も多く見えたので、ドイツはここでもう1ターン射撃することにしました。ドイツのハーフトラックとII号戦車は大丘の裏に回り込み、対空砲を始めソ連の重中機関銃も制圧されます。
 第7ターン、ソ連は大丘の後詰を出したものの、損害が大きく戦力不足で、ドイツ機関銃に射すくめられます。ドイツは遂に鉄条網に向かって前進開始です。またII号戦車に隠れて丘の脇を迂回する部隊も前進させます。ソ連はもう丘の前面で対抗するのは無理なので、丘の奥で残存部隊による戦線を再構築します。ところがここに丁度良くFFEが落ち、ソ連はさらに損害を増やします。


 第8ターン、鉄条網突破の消費移動力決定ですが、肝心の10−3指揮官エリートスタックが6を出してしまい、大きく出遅れます。ただ他の部隊は一部が早めに鉄条網を抜けて尾根の手前を占領し、迂回部隊と戦車は奥に残るソ連兵に損害を与えていきます。またこのころにはコミサール以外のソ連指揮官が両方死んでしまっており、ソ連はELRが2しかなくてどんどんクラス低下するので、しょっちゅう回復失敗でコミサールに粛清され、損害に拍車をかけてしまっています。
 第9ターン、ドイツは手前側のトーチカを含む尾根5へクスの占領を完了。エリートスタックは奥のトーチカへの道を塞ぐ最後のソ連兵を薙ぎ払ったので、次のターンに最後のトーチカを白兵戦で一発占領すればドイツ勝てるかな。
 と思ったのですが、ルールをよく確認すると、トーチカのあるへクスを支配するにはトーチカ区域を支配する必要があり、白兵戦でトーチカ内部の部隊を全滅させても、トーチカ内部に戦闘後前進できる訳ではないので、白兵戦で勝っても占領は1ターン後になるようです。す、すると、可能性は?トーチカ前面に出て火炎放射器でKIAすることだけ?幸いトーチカ内には砲を不正規使用する半個分隊しか残っていないので、外してくれる可能性もあります。
 第10ターン、突っ込む10−2指揮官とエリート分隊。しかし砲は当たり、2モラルチェックで指揮官はピン。でも火炎放射器は損耗しながらなんとか生き残ります。しかし沿岸砲はさらに追加射撃。こんな大きい砲が追加射撃不可じゃないんだ。そしてまた命中、火炎放射器混乱、万事休す。ソ連の勝ちです。


 ドイツは全体に目が良かったにも関わらず、勝ちを逃してしまいました。結果的に見ればリスクを取ってでも10−2指揮官を頼みにもう1ターン早く丘を登り始めるべきでしたが、敵に撃たれながら鉄条網を抜けるなんて、やっている最中には無謀にしか思えませんでした。少なくとも9対1でドイツが勝つような偏ったバランスではない気がします。もしソ連が背後の迂回路にもう1つ鉄条網を置いていたら、ドイツはさらに厳しかったでしょう。
 予想プレイ時間は(34+3×12)×10÷60+1=12時間40分で、準備除く実プレイ時間も最終ターンが短い分それより少し短い程度でした。

 
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