稜線狐穴の過ち
 
 今日のASLは、アーカイヴ公開のMortain4 「霧の中から」です。タイトル通り6へクスまでしか見えない濃い靄の中、7.5ターンの終了時に、谷間の道路にロードブロックも統制状態のアメリカユニットも無かったら、ドイツの勝利です。岩場は果樹園になります。
 アメリカは丘陵地で守り、4個分隊と余剰操作班2個に、ヒーロー1人、57L対戦車砲2門、狐穴4、ロードブロック1を持ちます。そしてドイツはSS14個分隊と10−2指揮官、爆薬2に、75Lの3号突撃砲と4号戦車各1両です。
 戦力は丘の効果によりアメリカが3%優勢なだけで、予想勝率は6割です。ただこのシナリオは、濃い靄のためにアメリカ歩兵が長射程を生かせず、アメリカ砲も小型な上に榴弾が7以下でしかないので、実際にはほぼ互角でしょう。子供がドイツ、私がアメリカです。


 このシナリオは少しくせがあって、アメリカの守り方が意外と難しい。ドイツの勝利条件は丘ではなく背後にある道路なので、丘の上で守るのが有利と言っても、丘の外から見える所に何も置かないと、あっさり裏に回られてしまいます。またドイツの攻撃方向は、果樹園や林が並び隠蔽を付けたまま出られる右手が有利ですが、左手も空にはできません。しかし両方を見張れる尾根は1へクスしかなく、ここに置きすぎると集中攻撃を受けてしまいます。
 そこでアメリカは、尾根に対戦車砲1門と重機関銃分隊+9−1指揮官、右手の稜線沿いには分隊を並べ、これらを狐穴に入れました。そして後方の丘には対戦車砲をもう1門と軽迫撃砲を隠します。平地ばかりの左手には操作班とダミーだけですが、頂上の重機関銃だけでもかなり進みにくいでしょう。

 ドイツは予想通り全軍右から侵入。まず歩兵が敵から見えないぎりぎりまで進みます。そして戦車が入ってきて、その一つ先に歩兵が隠れるための壁を作りに行きました。しかし3号突撃砲は対戦車砲に撃たれて炎上、さらに4号戦車も衝撃の後、ターン後半には撃破されます。それでもドイツ軍は怯まず、一斉に視界内に突撃。
 ターン後半、射撃戦。アメリカは林のドイツスタックに対し、迫撃砲に始まって全火力で集中攻撃を加えます。うまく当たってそれを全て混乱させましたが、さすが裏がモラル9のSSは結局誰も損耗しませんでした。そしてドイツの反撃では炎上戦車の煙をものともせず、アメリカ重機関銃分隊を混乱させ、アメリカンヒーローはMCで12を出していきなり昇天。どちらの攻撃もよく効きました。
 第2ターン、ドイツは射撃戦を継続しますが、尾根の重機関銃を拾ったアメリカ隠蔽半個分隊を混乱させるのに失敗。そこでアメリカは重機関銃を分解し、そのまま自己混乱して逃げました。ターン後半にアメリカは、回復した2個分隊を手前の丘に下げ、前面の丘には隠蔽を付けた何かを出します。


 第3ターン、丘の頂上を大分弱めたので、ここでドイツ軍は一気に丘へ突進。アメリカの残存部隊ではこれを止め切れず、あっさり頂まで占領されてしまいました。しかしアメリカもこの間に部隊の回復を完了させ、後方に第二防衛拠点を築きます。
 第4ターン、確かにほとんどの戦力を残しているアメリカ軍ですが、そもそも歩兵戦力はドイツが圧倒的に多く、丘を利用しなければ止められるものではありませんでした。
 ドイツはまず後続部隊を丘に上げ、アメリカ軍を撃てる位置に前進。また手前の丘の対戦車砲と迫撃砲の所にも小部隊を送り、これも追い落とします。アメリカは撃ち合っても数とモラル差で勝ち目が無いので、隠蔽のまま耐えることしかできません。


 第5ターン、丘の狭間の林で回復した後逃げられずに隠れていたアメリカ部隊を、ドイツ軍は取り囲んで壊滅させます。一方右手の迫撃砲の止めを刺しに向かったドイツ小部隊は、逆襲されて撃退されてしまいました。しかしドイツ鬼スタックも丘の上からバシバシ撃ち続けていて、もうアメリカ軍は長く持ちそうにありません。
 結局第6ターンには残ったアメリカ軍も無力化し、ロードブロックの撤去も完了して、ドイツの勝利です。



 ドイツ軍の迂回を避けようと狐穴を並べて丘の端で撃ち合っても、数とモラルの差が大きくアメリカ軍は撃ち勝てませんでした。
 やはり丘では狐穴を一歩下がった所に置き、最初は稜線でダミーを併用して敵の射撃を緩和しながら戦って、その後狐穴の第二線に下がるべきでした。その上で敵が丘に登って来たら、隠蔽無しの隣接射撃を食らわせるのが丘を生かした守り方で、裏に回られても丘の上からなら戦う術もあったでしょう。

 
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