真の竜派入り
初めてのINBさんとの対戦で、BoF16 Saluting a General 「将軍に敬礼」をやりました。タイトルは、出て来るソ連戦車がリーとスチュアートだからでしょう(デザイナーは南軍びいき?)。1942年夏、モスクワを目指すドイツと、レンドリース戦車も使ってそれを阻止しようとするソ連の攻防です。ドイツは6.5ターン終了時に、85F4,E5の森全へクスを支配していたら勝利です。
守るソ連は、11個分隊と分解状態の82*迫撃砲1門を初期配置し、リー中戦車3両とスチュアート軽戦車3両が、第1ターンに5移動力使った状態で東から入って来ます。戦車は特殊砲弾がありません。
これを攻めるドイツは、西側でソ連軍から7へクス以上離れた所に11個分隊と爆薬1を配置し、第2ターンに50Lの3号J型3両、50ミリの3号H型1両、50ミリで装甲の薄い3号G型4両が西から入って来ます。3号G型も特別にAPCR弾を5以下で持っています。
アーカイヴではソ連がやや有利そうなので、ドイツバランスでソ連からスチュアート1両を減らします。INBさんがドイツ、私がソ連です。
このシナリオには、ソ連軍を西に置くとドイツ軍をより西から開始させられるというルールがあります。しかし集中決戦戦術にとっては決戦場に最大限の戦力を集めて敵を撃退することが全てであり、敵を遅らせるのと引き換えに戦力を前に出して各個撃破されるようなことは、基本的にやりません。ただソ連の増援戦車より先にドイツ歩兵が決戦場に着くのは避けたいのと、移動中の敵の隠蔽を取るために、ソ連は1個分隊だけ犠牲にして前へ出すことにしました。ドイツはそれを囲むように配置します。
第1ターン、まだ戦車が来る前の前哨戦なので、ドイツ軍は慎重に接近。ただし南側では大きく回り込んで来ます。後半ソ連は森の裏側で狐穴を掘り、入ってきた戦車は森の前面に戦列を作りました。尖塔の上のドイツ中機関銃対森のソ連迫撃砲の応酬は互いに効果無し。
第2ターン、ドイツは増援の戦車が来て、歩兵共々ソ連軍に向かって進みます。後半ソ連も着々と狐穴を完成させ、戦車は前面を固めました。ソ連迫撃砲・戦車とドイツ機関銃の撃ち合いは、またも決着がつかず。

(下が南)
第3ターン、因縁の対決はついにソ連迫撃砲がドイツ中機関銃を混乱させました。そしてドイツ歩兵は多くが隠蔽を付けた状態で、一斉に周りの森から対峙します。
一方ドイツ戦車は、敵に撃たれない所から静かにソ連軍を囲んでいました。基本的に攻撃側戦車最大の役割は、防御側戦車を全滅させることであり、途中で歩兵になど構わず全戦車を同時に防御側戦車にぶつけるべきもの。さすがINBさんは的確な用兵です。
そしてターン後半、先陣を切ったドイツ歩兵は、どれだけソ連戦車の攻撃に耐えられるのか。次々とドイツ歩兵に向けて大量の銃砲弾を叩きこむソ連戦車と迫撃砲。はああ?これだけの射撃が一発も当たらないってどういうこと?結局逃げていたソ連の犠牲分隊が混乱クラス低下しただけで終わりです。ひどい。ソ連は狙撃兵でドイツの混乱中機関銃に止めを刺したのが唯一の救い。でもまあ大事なのは戦車戦だから・・
第4ターン、ドイツは歩兵射撃でソ連1個分隊を混乱させましたが、火力が低めで戦車兵には効きませんでした。しかし歩兵が隠蔽を取って撃った以上、ここで行かなければ歩兵が見殺しになるので、全ドイツ戦車は一斉に突入を開始します。固まって全方向に備えているソ連戦車を破れるか?
まず正面から近付いたH型は、いきなりスチュアートから致命的命中を食らって炎上。次に隣接ATRを弾きながら背後から回り込んだG型は、リーを射界外から狙いましたが、振り向いて撃った37LL砲によりこれも炎上しました。
そして今度は北側のG型が、このリーの左側から近付きますが、側面ではないのでリーが撃たないでいると、なんと囲いの内側のリー側面を撃ってきました。げっ、ここLOS通るのか。見事命中してリーは炎上。戦況はまだまだ予断を許しません。
さらに北側奥のG型も最初のリーに突進します。さすがに正面は無謀だろうとリーが75ミリ砲を撃つと、なんと故障。げー、またこれか。G型はこのチャンスに近付いてリーを倒そうとしましたが、今度は隣のリーが37LL砲を回して撃ち、また致命的命中で炎上しました。運は行ったり来たり。
続いて正面のJ型が石垣内に入城した後、北側奥のJ型が故障リーに隣接して来て、ソ連は追加射撃で応戦しましたが、これはお互いに効果無し。最後に残った南側の2両も打って出ますが、先行したG型がスチュアートにROF維持で破壊されてしまい、最後のJ型は突入を諦めます。そして防御射撃ではスチュアートが、石垣内のJ型を近距離射撃で撃破してしまいました。

これによりソ連は1両の損失だけで5両を倒して既に戦車数で上回り、さらにこれから歩兵への防御射撃や次の準備射撃で先撃ちもできるので、もはやドイツは勝ち目が無く投了です。それにしてもドイツは歩兵の一斉隠蔽対峙から準備射撃、そして全方向からの戦車一斉攻撃と、考えられる最善を尽くしたはずなのに、なぜソ連はここまで一方的に勝てたのでしょうか?
それはドイツバランスを使ってもなお、戦力評価ではソ連の予想勝率が97%もあるからです。これではINBさんがいかに優れた手腕を持っていても、完全な集中決戦戦術で守るソ連に勝てないのは仕方ありません。
それならなぜそんなシナリオをやったのか?実はINBさんにはこれまでも集中決戦戦術の考え方を取り入れてもらっていましたが、その集中度はまだ5割ほどでした。そこでこのシナリオで10割集中と戦力評価の威力を実感して頂き、常に最大限集中する真の竜派入りをしてもらいたいと思ったのです。
このシナリオは、アーカイヴだと先述の通りドイツバランスなら互角と思われ、INBさんと浜甲子園さんの事前プレイでも、千葉会さんのプレイでも、同じくドイツバランスを使ってドイツが勝っています。それなのに完全集中ならソ連が完勝できるということは、いかに10割の集中が強力で戦力評価が正確かを示しているのです。集中決戦戦術で敵を撃破すれば勝利は自然について来るとする臥竜戦術(INBさん曰くDragon Style)を、これからもASLの世界に広めていきたいと思います。
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