洗礼
 
 今日のASLはシナリオ10ツィタデル。独ソ戦開始後3日目、ドイツ歩兵師団は一次大戦の遺物ブレストリトフスク要塞を一旦占領したものの、ソ連軍の反撃で一部が撃退されます。その際古い教会に取り残された70人のドイツ兵。彼らを助けるためドイツは再度攻撃を開始しますが。
 ドイツ兵の籠る教会を最後に単独で占領した側が勝利で、長さは10ターンです。ドイツ救援軍は運河の手前か教会から一番遠い西側の橋を渡った所に居り、運河の橋はそこ以外無いことになっています。ただしドイツ兵は固有のボートを持っていて、危険な全力移動をすることで運河を自力で渡れます。また教会以外の建物は3階がありません。そしてソ連軍は移動に制限があり、分隊は現在のターン数+1D6しか動けませんが、指揮官は制限外です。
 教会に籠るドイツ兵は9−2指揮官を含む7個分隊。救援軍は10−2指揮官付きの19個分隊と75ミリ短砲身の3号突撃砲3両と100ミリ盤外砲1つです。攻撃と防御を両方行う複雑な状況のソ連は、9−2指揮官を含む32個分隊と45ミリ対戦車砲が2門、37ミリ対空砲(8歩兵火力相当)が1門。さらに3+5+7の一番固いトーチカが2つと、6火力の重機関銃が載った装甲5の固定キューポラ(移動不能の戦車のように使う)があり、2個分隊までは隠匿配置ができます。
 子供がソ連、私がドイツで始めます。


 まず先に配置するソ連は、半数程度で東側にある教会を包囲し、残りの半数程度で救援軍に備えているようです。運河の東側は守られていますが、西側の運河を渡ったドイツ軍配置エリア近くにはソ連軍が置かれておらず、戦力は西から東まで割とバランス良く配置されているようです。
 これを見たドイツ。中央から東にかけての運河を渡るのは、機関銃とキューポラにも狙われていて難しそうで、東の端の狭い範囲で渡るのも、ちょっと失敗すると完全に行き詰りそうなので、歩兵は全て橋向こうに渡らせることにしました。戦車一両だけは、運河の手前から見えるキューポラを狙うことにします。また教会の部隊は、見える敵が一番少なく階段のある建物真ん中のヘクスに集中します。

 さて先に動くドイツですが、救援軍がまっすぐ東に向かおうとすると、そこは小さな木造建築が散らばる地域で、石造建築にいる敵に囲まれる形になり、死地に陥りそうです。そこで空いている北西の建物群に一旦移動し、そこから攻撃を始めることにします。
 付近に敵はいなくても隠匿配置の可能性があるので、あちこちばらして探しながら進みます。しかし探さなかったところにソ連兵が隠れており、最後にまとめて進んだ最強スタックが撃たれ、重機関銃を持っていた分隊が混乱します。さらに隠れていた対戦車砲に撃たれて三号が破壊されてしまいますが、それ以外はだいたい無事に大きな石造建築にたどり着きました。
 また教会のドイツ軍はソ連分隊を一つ混乱させます。そして突撃で半個分隊を建物外側に並べ、ソ連の攻撃に備えます。
 ソ連ターンでは、移動のさいの目で1を出してしまいろくに動けません。教会に対する射撃は効果が無く、西のドイツ軍と対峙することになった部隊も、2個が混乱して潰走します。しかしドイツ軍も狙撃兵で1ユニットが混乱し、対戦車砲により三号が衝撃を受けます。ただこのソ連対戦車砲は、大活躍で撃ち過ぎたのか、その後故障してしまいます。またキューポラを運河の手前から狙った三号は榴弾しか積んでおらず、役目を果たせませんでした。

 第2ターン、ドイツ救援軍は本格的に進撃を開始。目の前に残っていたソ連分隊を準備射撃で倒した後、道路を越えて歩兵の半ばがソ連軍の守っていたブロックに入り、衝撃から回復した三号も前進します。するとここで北側奥の林から道路を狙っていた対戦車砲が三号に向けて火を噴きます。しかしこれは外れ。でも準備射撃をしながら重機関銃の合流を待っていた主力スタックは、次に移動する時にはこの対戦車砲に邪魔されることになるでしょう。そして教会のドイツ軍は、また1個ソ連分隊を混乱させます。さらに盤外砲撃が開始され、運河近くのソ連軍が撃たれますが、石造建築が固く効果がありません。
 そして今度のソ連の移動の目は6で、戦力不足気味の教会攻撃のために、運河を守っていた部隊が駆けつけます。また盤外砲撃は続きますが、やはり効果はありません。

(上が北)

 第3ターン、救援軍の行く手を塞ぐように待ち構えていたキューポラを、まず三号が破壊します。そして邪魔ものがいなくなったので、ブロックを制圧し終えたドイツ軍が、道を越えてさらに東に進もうとすると、北にはさらに道路を狙うフルスタックトーチカが。ちょっとこれをくぐり抜けて全部隊が東へ進むのは無理そうです。そこでドイツは南東に見える中央の建物に目標を変え、あちこちから部隊を送りますが、隠れていたソ連軍も出てきて攻め切れません。そこでドイツはそこを守るソ連軍と対峙するように主力スタックを移動し、攻略は次ターンに持ち越すことにします。しかしその途中で先の対戦車砲に撃たれ、重機関銃は足止めされてしまいます。また教会のドイツ軍火力スタックは北側にシフトし、今度はアパートにいるソ連軍を狙います。
 ソ連の攻撃には援軍も参加し、教会のドイツ軍も混乱し始めます。しかしドイツ救援軍と対峙した部隊は崩れ、他にも再度の盤外砲でソ連分隊が1つ混乱します。この状況なら教会が落ちる前に救援軍がたどり着けそう。ドイツ有利なんじゃない?

 第4ターン、中央の建物に残るソ連軍をドイツ火力グループが混乱させると、ドイツ軍は建物内になだれ込みます。そして建物の東の端に分隊の一つが進んだ時、東の窓から見えたものは。トーチカ!しかもその中身は、8火力の対空砲と中機関銃2個の24火力に、9−2指揮官の最強編成。このドイツ分隊は見た瞬間混乱します。
 こっ、これは。ドイツ軍は中央の建物を制圧し、戦車で退路を断ってそこにいたソ連軍を降伏させたものの、この先どう進めばいいのか。北と東にトーチカ、東にはさらに涸れ谷でクレスト状態のソ連兵もいます。南東に進もうにも道路はキューポラと最強のトーチカが完全に見張っており、到底進めそうにありません。ううー、困った。
 さらにソ連ターン、森に隠れて見えないと思っていた建物南東側のフルスタックが、なんと東のトーチカから見えていた!そしてこの攻撃が当たる当たる。機関銃は何度も射撃を繰り返し、3個の1線級分隊が、2個の混乱2線級半個分隊になってしまいました。しかもそれだけではない。建物の別の場所を撃ったキューポラの重機関銃がまたも当たる当たる。3個分隊を混乱した1個分隊と2線級半個分隊2個に変えてしまいます。おまけに他ではドイツ軍なのに1個分隊がバーサークして、次ターンにはトーチカに向かって自殺攻撃確定です。


 第5ターン。さっきまでの楽勝ムードから呆然とするドイツ。ナニガオキテイルノカ?止まりかけた頭脳をなんとか揺り動かして次の手を考えます。最強トーチカに正面から向かうのはどう考えても無理なので、トーチカから撃たれないように後ろの林の裏を迂回させて、中央の建物から南に部隊を移動します。これに対しソ連はキューポラを回して射撃。しかしなんとそれが12を出して故障します。
 これは、これは、これは千載一遇のチャンス。初期の混乱から回復し他と別れて前進していた8−1指揮官と1個分隊が、丁度こちらに来ていました。周りも敵は無し。彼らはキューポラに隣接突撃して、白兵戦でみごとこれを破壊することに成功します。
 一方ソ連軍の教会攻略はあまりはかばかしくなく、これでドイツ間に合ったか?

 第6ターン。南に回ったドイツ救援軍は前進し、中央の建物で回復した2線級は南に回り、北で涸れ谷のソ連軍と対峙していた火力スタックは、ソ連軍が後退したので、中央の建物に移って今度は北のトーチカと対峙します。そして教会のドイツ軍は、北のソ連軍を混乱させ終えた火力スタックを、今度は南に回します。さあこれで教会南のソ連軍を教会の部隊と救援軍で挟撃して、勝負を決めるぞ!
 そしてソ連ターン。後がないソ連軍は12火力で教会の火力スタックを射撃。だが石造の教会にいる9−2指揮官にはそんなの効かん効かん・・・全員混乱。うおおおー、神のご加護はどこに。要を失った教会にソ連は突撃で隣接してきます。さらにトーチカにいたソ連最強指揮官も、三号の砲撃をかわして脱出し教会に迫ります。これはまずい。救援が来る前に教会が落ちるぞ。

(ソ連の9−2指揮官は1つ北に訂正)

 第7ターン。教会の中央には大量の混乱部隊がオーバースタックでひしめきあっています。教会の命運は9−2指揮官以下が一発回復できるかに掛かっています。ここには元気な8−1指揮官がいるので、9−2指揮官の回復は7以下。そしてさいの目はちょうど7。9−2指揮官は回復し、分隊ももう2個回復します。神はまだドイツ兵を見捨てず。
 しかしソ連最強指揮官が来た以上、ドイツも10−2指揮官率いる最強スタックが行かないと、教会は持ちこたえられないでしょう。しかしこれを持って行くには、対空砲の前を突っ切らなければ間に合いません。ドイツは前から対空砲のいるトーチカを狙っていた(そして一度命中させたことはあったが不発だった)三号でトーチカに煙幕を撃ち、10−2指揮官以下全員で突っ走ります。危険な賭けでしたが幸い射撃は外れ、ドイツ最強スタックは遂に教会を目にします。
 こうなるとソ連もつらい状況ですが、もはや行くしかありません。教会に隣接していたソ連軍は全員中に突入し、ドイツ軍による激しい洗礼を受けます。それでもソ連軍は2個分隊が残り、ドイツ1個分隊ずつと2か所で白兵戦に入ります。ソ連兵はサブマシンガン装備の分少し強かったのですが、結局どちらも混戦で終わります。
 これにより第8ターンにはドイツは混戦に援軍を送り、侵入したソ連軍はどちらも倒されます。救援軍も間近に到達して、ソ連軍による教会占領はまず不可能になったので、ここでドイツの勝利となりました。


 ドイツは救援軍の攻撃では酷い目にあったものの、教会防衛戦では上手くいって勝ちました。射撃とモラルチェックの目ではソ連が良かったですが、キューポラの故障と火力スタックの最後の前進成功に救われました。
 予想プレイ時間は(61+3×3)×10÷60+1=12時間40分ですが、8ターンまでで16時間は掛かりました。かなり作戦の難しいシナリオでした。

2021.12.17 ソ連が最初からほぼ全軍で教会を攻めるやり方でもう一度やってみましたが、教会は結構持ちこたえ、ドイツ救援軍は河と橋から急速に迫ってやはりドイツの勝ちでした。

 
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