流れ来る煙の川
今日のASLは、March Madness `97よりKE4のPanzers to the Rescue装甲部隊救援。1943年ハリコフ戦の最中、村を奪いに行ったドイツ軍と救援に向かったソ連軍は、ほぼ同時に村に着き遭遇戦が始まりました。ドイツは6ターンの終了時にソ連より多くのVPを持っていたら勝利です。VPは損害の他に、ボード4と33で支配する建物区画(最初は全てソ連支配)ごとに1VPが入ります。積雪があり、指定個所に吹き溜まりがあり、両軍とも冬季迷彩です。また風がドイツ側からソ連側に向けて吹いています。
守るソ連は村の指定建物へクスに76L野砲1門(特別ルールで建物にも入れる)、ボード4に6個分隊と牽引された76L野砲2門を初期配置。そして第2ターンには43年型T−34が3両やって来ます。
そして攻めるドイツは、丁度隙間から果樹園等を通してボード33の建物が見える位置で走行不能になっている75Lの4号戦車が1両。そしてワゴンに乗り列になって道路を進んでいるSS6個分隊と75L対戦車砲2門が初期配置されます。そして第2ターンには9−2指揮官とSS3個分隊がハーフトラックに乗り、75L4号3両と共に入ってきます。
戦力はそのまま計算するとソ連が8%の優勢ですが、防御側のソ連部隊のほとんどが村に初期配置できず、移動して来なければならないことから考えると、それほど有利ではないかもしれません。なので戦力は調整せずそのままやってみます。子供がドイツ、私がソ連です。
第1ターン、ドイツは最大限前に進んでから、積み荷を皆降ろします。ソ連も村に入って守りの準備を始めました。
第2ターン、ドイツは煙幕を落として村の一角に分隊が入り込みます。すると、あっ、風で煙幕がソ連側に流れて来て、その中に入った部隊が撃てなくなる。ソ連軍は仕方なくそこから移動しました。

第3ターン、SSであるドイツ軍は煙幕弾も豊富なので、さらに村じゅうを煙幕の川で覆い隠し、村の中に入って来ます。こうなるとソ連軍は撃つこともできず、6火力のドイツ分隊に4火力のソ連分隊で白兵戦をしても勝てる訳が無いので、村を捨てて逃げ出すしかありません。この時建物に初期配置されていた野砲を捨てて行きましたが、本当は防御射撃の時に破壊しておけば、捕獲のVPを取られずに済んでいました。
第4ターン、完全に見えない煙の川を通ってドイツ軍は村を占領し、次のターン煙が晴れた瞬間に先制攻撃ができるようよう、配置を整えます。うーん、このままじゃソ連は撃ち負ける。もう勝ち目無いんじゃないか?
しかし丁度ここで風向きが変わります。ソ連は良く良く考えて、砲でドイツ軍との間に煙幕を置き、次のドイツ先制射撃を和らげることにしました。砲2門の内1門が煙幕配置に成功し、残りの部隊は後ろに下がります。

第5ターン、ドイツの準備射撃により、煙幕を撃って仲間を救ったソ連砲の操作班がお亡くなり。点数的にもこれは痛いです。さらにドイツ戦車は森を抜け、ソ連の予想していなかった戦車側面を狙ってきます。T−34は低速回転砲塔であまり分の良くない迎撃でしたが、運良くこの撃破に成功しました。さらに歩兵戦でもソ連はドイツの強力な射撃を耐え、逆に9−2スタックを混乱させる大勝利。これはソ連、運が開けて来たぞ。
ターン後半には、歩兵戦で今度はソ連が撃ち負け、MCで12を出して損耗してしまいました。そして右側のT−34が煙越しに隙間から見えそうなドイツ戦車を撃ってみたら、LOSは通っていましたが弾は外れ。でも煙が晴れた時に捕捉付きで撃てるからまだ有利なはず。
しかし第6ターン、戦車戦の運はドイツに揺り戻し、+4の煙越しにT−34の固い前面装甲はぶち抜かれてしまいます。これでドイツは勝利条件に達しました。さらにソ連野砲もドイツ歩兵に撃たれて混乱し、4号はスモークディスチャージャーまで成功して、ソ連の反撃を封じてきます。
これでソ連の逆転はもう無理か?いや、まだ戦車の一騎討ちがある!T−34は左側で討って出て、今ほど右のT−34を倒した4号の側面に回り込みます。そして照準時間の修正を考えながら、まずT−34のAPCR弾、そして4号の車体ごと振り向き通常弾、そして十分な照準時間になってT−34の通常弾と撃っていきました。しかし結局どの射撃も効果が無くて逆転はならず、3VP差でドイツの勝ちです。

風上から豊富な煙幕を使って高火力のSSで仕掛ける煙幕白兵戦が、戦力の劣勢を覆す強力な戦術でした。これでソ連はもう負けたかと思いましたが、何とか粘って最後はかなり際どい良い勝負となりました。
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