もっとそばに来て
 
 今日のASLは、アニュアル91よりヒストリカルASL A1、ヴォルガの戦火。1942年10月27日スターリングラードで、ドイツは赤い10月製鉄工場への攻撃を開始したが、そこにはソ連の増援が到着していた。ドイツは8.5ターンの終了時に、20火力以上の機関銃が東端の−1レベルへのLOSを持っているか東端に脱出していたら勝利です。レッドバリケードのルールが適用され、S34の工場は天井が焼け落ちています。
 隅の方から攻めるドイツは、9−2指揮の20個ライフル分隊と80ミリ盤外迫撃砲。守るソ連も指揮は9−2で、17個ライフル分隊と82*迫撃砲1門、76*歩兵砲1門、地雷24火力、ロードブロック1、要塞化3が初期配置で、第4ターンには7.5個分隊の増援が来ます。
 戦力評価では、縦に走る数本の崖のある涸れ谷がソ連軍の横方向の対応移動を阻害しているので、厳密には要件に少し足りませんが、広域突破として評価することにしました。それでもソ連は10%台の優勢になります。
 しかし他にもソ連側は、良い地形が少なかったり見通しが悪くて砲を置いても撃てる場所が少なかったりするなど、戦力ほど有利ではないように見えました。そのため戦力調整は、ソ連の初期戦力を1個分隊減らすだけにします。これによりソ連の優勢は9%台となり、計算上の予想勝率は7割5分です。
 子供がドイツ、私がソ連です。


 さてソ連は配置を考えますが、どうにも守りにくい。ドイツは木造建物街をまっすぐ進むことも、真横に進んで工場を取ることもできますが、ソ連が両方を守るには涸れ谷が邪魔で完全に別々に分けなければなりません。すると片方を攻撃されて各個撃破されてしまうでしょう。
 今まで突破に対しては、敵から距離を置いて先制攻撃を避けると共に対応移動の余裕を作り、両脇に多少の足止め部隊を置いて、中央に置いた主力の機動防御部隊が敵の前面に移動して対応するのが常道でした。今回もソ連はそれを基本にし、涸れ谷の少し下がった所にある崖の途切れ目付近に多くの戦力を置いて、ドイツ軍が来た方に移動して守ることにします。
 そして第1ターン、ドイツはまず手薄な工場の方に進みます。そしてドイツの鬼スタックが前の木造建物を迂回して工場へ入ろうとした時、手前の石造建物2階からソ連重中機関銃の連射!ドイツはエリート2個分隊が消えて残りも全員混乱し、機関銃が転がりました。ドイツ失敗、投了です。



 ソ連は幸運に恵まれて勝ちましたが、それが無ければ工場伝いに回り込んで来るドイツ軍を、全然止められなかったでしょう。そこで違う守り方を考えてもう一度やります。
 そして考えた結果は「わざわざ敵の至近距離で薄く広がった分散配置をして、敵の集中攻撃で各個撃破され、穴を空けられて突破されたら対応できなくなる」ような配置。いつもならまずやらない作戦ですが、今回は以下のような理由で、実はこの方が良いのではないかと考えました。
・後ろに下がると守る範囲が急激に広がる上、防御に有利な地形が少なくなる。
・至近距離で不利な戦いを強いられても、それに耐えられるだけの戦力優位がある。
・混乱した部隊をコミサールですぐ回復できるので、持久力がある。
 これに基づいて、正面の木造建物街では多くの部隊をドイツ軍のすぐ近くに散らし、天井の落ちた工場(盤外砲に弱い)側では、盤外砲を避けて内部に4個のスタックを置きました。工場の方は守りが薄めなので、こちらには地雷、隠匿配置の機関銃、歩兵砲を置いてあります。

 第1ターン、ドイツは正面の木造建物街を攻撃してきました。これは守りが少数でも工場は防御に有利である一方、木造建物街は守りが多数でも機関銃の先制攻撃で打撃を与えられるからです。
 ドイツはまず観測弾をその辺に落下させ、機関銃部隊の準備射撃で2個分隊を混乱させます。そして撃たなかったドイツ歩兵は、弾痕を利用した警戒移動で隠蔽を付けたまま前進。ここで遠く離れた3階建て建物屋上から、ソ連迫撃砲がこれを撃ちましたが、はずれました。白兵戦ではダミーを飛ばしただけで戦果無し。
 ターン後半、ソ連の迫撃砲はドイツのダミーを潰し、工場に隠れていたソ連機関銃が建物の隙間から撃って、ドイツ2個分隊を損耗・混乱させました。工場にいた他のソ連部隊は、戦場に向かって移動します。一方木造市街地では一歩下がって持久に努めましたが、前半に混乱したソ連分隊1つが撃たれて除去されました。

 第2ターン、敵味方が近すぎるのでドイツは盤外砲を使わず、代わりに歩兵の射撃でソ連4個分隊を混乱させて、市街地に食い込みます。するとここで隠れていたソ連の歩兵砲が登場し、振り返って射撃します。これが運良く色付きで1を出して連射に成功し、軽機関銃を持ったドイツ2個分隊を半個分隊に減らしてしまいました。
 第2ターン後半、ソ連軍はコミサールにより2個分隊が即時回復。そしてその付近で動ける部隊は皆、ドイツ機関銃スタックに撃たれる今のブロックを捨て、後ろのブロックに下がって隠蔽を付けました。さらに工場の部隊も前進して、脇からドイツ機関銃部隊前面の道路を見張ります。
 こうなってしまうともうドイツ前衛だけでは、コミサールですぐ回復してしまう正面のソ連軍を破ることはできません。かと言って頼みの機関銃スタックを前進させようにも、迫撃砲、歩兵砲、機関銃に狙われていて、通りを渡るのは大変です。しかも2ターン後にはソ連の増援まで到着して、ドイツはどうにもならなくなるので投了しました。



 いつもは使わない作戦が必要でしたが、それに気づけば結局いつも通り戦力の優劣が勝敗を分けました。

 
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