策の難きを運で雪ぐ
 
 今日のASLは、BdF#8 Cold Reception冷遇。先日のシナリオでBaraque de Fraitureを失ったアメリカ軍でしたが、態勢を整えて反撃に転じ、2週間後ついにこの地を奪還しに戻ってきました。アメリカは7ターンの(たぶん)終了時に、ドイツの1.5倍を超えるVPを稼いでいたら勝利です。アメリカは損害と南端への突破で通常通りと、建物支配1つにつき2VP。ドイツは損害VPに加え、建物支配が1つ4VPです。
 天候は強風、積雪で大雪が降っていますが、吹き溜まりはできず、道は全て除雪されています。前回同様有刺鉄線と地下室がありますが、今回は建物に初期配置でき、その際は通常ルール通り落下のチェック(4以上で除去)が不要です。地下室は石造建物だけが支配に影響します。
 ELR4のアメリカは10−2指揮官率いる11個分隊と105ミリ盤外砲無線機を、北側に初期配置するか、第1ターンに西から侵入するかに割り振ります。そしてエリート3個分隊とシャーマン5両(内長砲身型2両、白燐弾型3両))が、第1ターンに北か西から侵入します。
 ドイツは半数超がSSの8.5個分隊と75L対戦車砲1門、75Lの3号突撃砲1両、IFE6火力の装甲車、81*迫撃砲搭載のハーフトラック1台、ロードブロック1を、村とその南に初期配置。さらに与えられたポイントで地雷、鉄条網、狐穴、隠蔽、要塞化を買うことができます。ELRはSSと指揮官が5、それ以外が1です。
 戦力評価ではアメリカが0.9%優勢なだけの互角。しかしアーカイヴではドイツが7戦全勝の絶対的優勢になっています。どういうことでしょうか。子供がドイツ、私がアメリカです。


 ドイツの配置は、一番固い3階建て石造建物に歩兵主力と3号突撃砲で、西側の建物には副力。そして迫撃砲ハーフトラックは中ほどの生垣の中、機関砲装甲車は奥の方から西側の森を監視します。
 さてアメリカ、かなり難しい。建物を取りに行かなければならないのは分かっていますが、ドイツの1.5倍超のVPを取るという縛りから、あまり損害は出せません。そのためいつもなら全戦車で対戦車戦を挑み、防御側の戦車を全滅させてから歩兵を進める所ですが、今回はそうもいきません。小型で石造建物(下手すると要塞)にいる3号突撃砲を戦車で攻撃してもなかなか当てにくく、75ミリ砲も隠れていることを考えると、自殺行為になりかねないのです。
 そこでまず歩兵で対戦車砲を炙り出すまで、戦車は丘に隠れて慎重に進むことにします。すると次は歩兵をどう割り振るかが問題です。アメリカは丘の上に盤外砲無線機、迫撃砲、中機関銃の4個分隊で支援し、北の森から4個分隊、西の森から6個分隊で進むことにしました。


 第1ターン、アメリカ戦車は3号突撃砲から見えない丘の上と陰を進みます。北の歩兵は森から顔を出し、西の歩兵は森の中を移動中。
 ターン後半、ドイツはハーフトラックから迫撃砲を取り外しますが、吹雪にもかかわらず遠くからシャーマンの射撃が当たって、操作班はディスラプトしてしまいます。さらにそれを救出しに行った指揮官が迫撃砲に撃たれてピンになり、しかも間近に盤外砲の観測弾まで。一方アメリカは丘の上で回復用に待機していた8−0指揮官が、狙撃兵に撃たれて負傷しました。

 第2ターン、アメリカは石造建物に煙幕を落とすのに成功し、これに乗じて北からの歩兵を近くまで進めます。また西の森の歩兵は南下して、一部の部隊が建物の前に顔を出しました。アメリカの盤外砲は効果が無かったので、シャーマンはハーフトラックの抜け殻を撃って点数稼ぎ。ドイツに目立った動きはありません。

(下が西)

 第3ターン、北側ではアメリカが煙幕を撒きまくって、戦車歩兵共々石造建物に接近。そして西側では丘に隠れていた長砲身型シャーマンが、この煙幕を利用し有刺鉄線を越えて南に駆け抜けようとします。これは1両がボグ(確率1/6)になったものの、もう1両は3号突撃砲の射撃を躱して回り込み成功。一方西から建物に向けて進もうとした半個分隊たちは、地雷にはまったり装甲車に撃たれて除去されます。残りの部隊はこのターンの前進を諦めて、南側に迂回しました。
 そして前進射撃。進んできた長砲身シャーマンが、指揮官&ジャイロスタビライザーの力で吹雪をくぐり抜け、なんと装甲車を一発撃破。運がいい。
 しかしターン後半、そのシャーマンを秘かに狙っていた76L砲。キラリと光った砲身が火を放ち、8以下で側面命中だが。外れ、やっぱりアメリカ運がいい。ただ砲を狙った10−2指揮官の射撃も効かなかったので、シャーマンは引き続き危険な状況です。

 第4ターン、長砲身シャーマンが煙幕をドイツ砲に置くのに成功。これを利用してアメリカ歩兵は建物に向けて突進します。煙に覆われたドイツ砲は、当たりにくい上に正面では効くかどうか分からないシャーマンを撃つより、歩兵を撃ってこれを混乱・損耗させました。
 一方北ではアメリカ歩兵が半減後24火力で石造建物を撃ちましたが、10を出してピンチェックにすらならず。隠蔽が取れなくては戦車砲も当たらないので、シャーマンは煙幕迫撃砲で再び目くらましをします。
 ターン後半、ドイツ砲はまた1つアメリカ分隊を混乱させましたが、アメリカも地下室のドイツ半個分隊を混乱させて捕虜にしました。


 第5ターン、北の石造建物への攻撃は、建物へクスに地雷があり、隠蔽が取れてもすぐ後ろの隠蔽された部隊と交代するだけで、全く埒があきません。できるのは戦車で煙幕を撒き続けることくらいです。ただ5以下でしかないにもかかわらず、かなり煙幕を持っていたのはラッキーでした。
 ボグから抜け出したシャーマンは煙幕に隠れて3号突撃砲の射撃を逃れ、既に建物の前まで進んでいたシャーマンの煙幕迫撃砲にも援護されて、2両一緒に建物の向こうまで駆け込むのに成功しました。ただ南端への唯一の脱出口にはロードブロックが置かれていて、突破するのはほぼ無理。シャーマンたちはここで建物占領支援に徹することにします。
 西の建物群に入ったアメリカ歩兵は、南側でまた1つ建物を占領。さらに煙幕で東からの射撃が防がれたおかげで、エリート分隊が北側を回ってドイツ砲に隣接します。そして砲に突撃すると、8火力地雷が待ち構えていましたが、これも運良く潜り抜けて、白兵戦で操作班を倒し砲の捕獲に成功。もし地雷で混乱していたら、アメリカの方が逆にやられるところでした。
 ターンの後半には、ドイツ指揮官が石造建物地下室からパンツァーシュレックをシャーマンに撃ってみましたが、自分が負傷・混乱しただけ。

 第6ターン、西側建物群の制圧が完了したアメリカは、シャーマンで煙幕を置いて通路を保護し、がら空きの南側建物を目指しました。最初に進んだ8−1指揮官と半個分隊は石造建物からの射撃で混乱したものの、次に向かった10−2と分隊が残留火力を抜けて建物群にたどり着きます。またドイツ半個分隊が建物から無理やり撃ったパンツァーファウストも外れ。これでこのままならアメリカが勝利条件を達成できる見込みとなりました。
 こうなったらドイツは最後の手段。建物の奥にいた3号突撃砲を無理矢理前側に動かし、シャーマン3両との撃ち合いに勝つことに賭けます。しかしこれは半分の確率で地下室に落ちてしまうという無謀な博打。が、見事これをくぐり抜けました。
 こうなってみるとシャーマン3両の防御射撃も、実は簡単には当たらない。小型、石造建物、移動目標、雪でたった3以下。まあ次に捕捉も付くからひとまず撃っておこう。2、致命的命中、破壊。最後の最後まで運の良かったアメリカ、勝ちです。


 かなりの幸運に救われて結果的にはアメリカが勝ちましたが、確かに戦力評価互角の割にアメリカが難しいシナリオです。しかしそれでもドイツが全勝するようなバランスとは、全く思えません。雪のせいで遠距離攻撃は効きにくく、多くの戦力が籠る石造建物の占領は困難なので、アメリカは迫撃砲以外の歩兵を北側に置かず、全部西側に回した方がより楽に戦えたのではないでしょうか。

 
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