あ、こら、しゃべるんじゃない
 
 今日のASLは、スコードリーダーからの二つめのコンバートシナリオ集Rivers to the Reichより、U40のVitality I。意味が分かりませんが、ドイツのバイタリティは最後の一つだけになったということでしょうか。1944年のオランダでカナダ軍がドイツの縦深陣地を攻めるシナリオです。
 勝利条件は、カナダ軍が13ターンの最後に5つの塹壕と3つのトーチカ全てを支配していること。最初から雨が降っていて、丘は無く代わりにそこは泥となっています。また建物は全て木造になります。そして珍しい捕虜尋問のルールが使用されます。
 守るドイツ軍は2戦級を中心としたELRが2の質の低い11個分隊に、75ミリ対戦車砲2門、捕獲したフランス製65ミリ歩兵砲1門で、最高指揮官は9−1。一方カナダ軍はエリート6、1戦級9個分隊で、ELRは4、指揮官は10−2、9−2がおり、火炎放射器1、爆薬2、100ミリ盤外砲に加え、クロムウェル高速戦車とクロコダイル火炎放射器戦車が1両づつです。
 子供がカナダ、私がドイツです。


 13ターンもあるので、ドイツは単なる遅滞戦術では勝てないでしょう。かと言ってどこかで決戦しようにも、質の差が大きく有利な地形も少なく、しかもクロコダイルと盤外砲が強力過ぎて無理そうです。そこでドイツの作戦は、あちこちの森の中に砲や塹壕を隠して探すのに時間を使わせ、地形的に唯一有利そうな途中の石垣エリアで戦って時間稼ぎをした後、最後のトーチカで粘るというものです。そしてもう一つ秘密のトリックも隠しておきます。部隊は主に中ほどにスタックさせて置いて、ダミー増殖の技を使って後から防衛線を作ります。
 第1、第2ターンのカナダ軍は、クロコダイルをやられないよう、森や麦畑の中を探りながら前進。ドイツ軍は一旦前の生垣沿いに戦線を作り、前進するカナダ軍を機関銃で撃ってピンにしますが、すぐに石垣と森の線に後退します。
 第3ターン、カナダ軍が泥の中にある森を探り、そこを抜けてドイツ軍の森に迫ると、ドイツ軍は全て石垣の線に後退します。第4ターンには、カナダ歩兵が右手の小さな森に隠れていた対戦車砲を発見し、これを倒します。またドイツ軍正面にも歩兵が迫り、さらにクロコダイルがドイツ中機関銃を混乱させます。もっとここで粘れると考えていたドイツでしたが、クロコダイルと10−2率いるサブマシンガンエリートに挟まれると守りようが無くなり、この線を捨てて後退します。

 第5ターン、カナダ軍は防御射撃をかいくぐって石垣の側面に急速に接近することに成功し、石垣エリア後方にはクロムウェルを回り込ませます。そしてさらに右手のカナダ軍も奥のドイツ軍に向かって一気に前進します。このままでは石垣エリアに残るドイツ軍は袋のねずみです。
 しかしここで、前進したカナダ軍右手の目の前に登場したドイツ対戦車砲。まず隣接するカナダ歩兵フルスタックを全て混乱させ、全員降伏させます。そして無慈悲でこれらを除去すると(捕虜が多すぎて砲を撃てなくなるため)、次にクロムウェルを後ろから撃って撃破。神業でドイツの危機を救います。


 第6ターン、カナダ軍はクロコダイルで対戦車砲を焼き、その後右手の後続部隊を前進させますが、ここに遠方からドイツの中機関銃が射撃し、9−2指揮官を負傷させて追い返してしまいます。右手では散々なカナダ軍でしたが、左手では10−2指揮官率いる精鋭が石垣内部に侵入し、逃げ遅れたドイツ軍を追い立てます。
 第7ターン、回復したカナダ軍右手は、左手の部隊共々前進を再開。クロコダイルに迫られるとどうしようもないドイツ軍は、下がるしかありません。第8ターンもカナダ軍は前進を続け、クロコダイルは道路を外れて右手の奥に向かいます。

 第9ターン、クロコダイルは右奥に発見したドイツトーチカに攻撃を開始します。そしてカナダ軍左手でもついに追いついたドイツ残存部隊を捕虜にします。すると捕虜の一人が、
「ねえねえ、看守さーん」
「んっ?」
「あ、おい」
「実はねー」
「何だ?」
「こ、こら、しゃべるんじゃない!」
「あそこ、まだ、大砲残ってるんすよ」
「はえー、そうなんだ」
「だああ」
敵を撃つにはあまり意味のない端っこに隠しておいたフランスの捕獲砲。大半の隠ぺい地形を探しながら前進していたカナダ軍でしたが、そこは通り過ぎていました。このままなら最後にここから操作班が飛び出して、後ろの塹壕を奪還する算段でしたが、残念ながらばれてしまいました。


 第10ターン、カナダはすぐさま前線から部隊を引き抜いて、塹壕を取り戻しに向かいます。そして他の部隊は、ドイツに残る最後の拠点、3つのトーチカに攻撃を開始します。しかしクロコダイルに攻撃されては、トーチカなど何の防御にもなりません。それ以外のトーチカも守るの徴募兵なので、どうにもならずに次々と白兵戦で落とされ、最終ターンまでには全て占領されます。

 そして最終ターン、残るは操作班が奪還した塹壕のみ。これに−1指揮官付きカナダ2個分隊が隣接しています。そしてカナダ軍は準備射撃をしますが、隠蔽と塹壕に阻まれ効果なし。ドイツはこのまま隠ぺいを維持して白兵戦を待つか、防御射撃するか迷いますが、隠蔽されていても4倍の敵相手に白兵戦2回を生き延びるのは難しいだろうと、射撃を選びます。ピンにでもなってくれれば勝てるのですが、結果は全く効果なし。カナダ軍はあっさり操作班を倒して勝利です。

(操作班に載っているCXはありません)

 もう1ターン隠匿がばれるのが遅ければドイツは勝っていたのに、惜しかったです。捕虜を取られるのを遅らせるよう、途中で抵抗などせずもっと早く撤退した方が良かったです。もっとも占領した塹壕に守備隊を残されていたら、そもそもこのトリックは成立しなかったのですが。
 プレイ予想時間は(29+2×3)×13÷60+1≒8.5時間でしたが、準備以外の実プレイ時間は9時間半程度でした。

 
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