キングタイガーの墓場
今日のASLは、ヒストリカルシナリオ集God Save the Kingより、GSTK7のRaus!。マーケットガーデン作戦でアルンヘム橋北側に降りたフロスト中佐率いる英空挺部隊「レッドデビルズ」は、包囲するドイツSSから降伏勧告を受けたが、"Raus!”(Out!、出てけ!)と拒絶し、ドイツの総攻撃が始まった。ドイツは10ターン終了時に、司令部(橋の降り口西側)、校舎(橋の降り口東側)、橋のたもとの2つのブロックの4つの内、3つを支配していたら勝利です。司令部と校舎にいるイギリス軍はファナティックになり、複数へクス建物にはレッドバリケード地下室があり、橋の上には2か所のトーチカがあります。
守るイギリス軍は弾薬不足で、10−3のフロスト中佐以下エリート中心の24個分隊と、57L対戦車砲2門、76*迫撃砲1門、キャリアー3両、対戦車地雷4戦力、狐穴4、塹壕6を初期配置。内MMC3個までは隠匿配置できます。そして7ターンには、西端の大きな建物か西ブロックの北側の果樹園に、エリート4個分隊が登場します。そしてエリートは静粛で、PAATC不要で、ATMMを持っている可能性があります。
一方これを攻めるドイツ軍は、10−2指揮官のSS15個分隊に、80ミリ盤外砲、81*迫撃砲2門、105ミリ野砲2門、150ミリ野砲1門、88L対空砲1門、そしてティーガーIIが6両です。さらに第6ターンには、SS3個分隊が侵入して来ます。大きい駒は第3ターンにならないと移動できません。
戦力評価はイギリス11%の優勢で予想勝率8割ですが、アーカイヴだとイギリスが5戦3勝の勝率6割です。子供がドイツ、私がイギリスです。
確かに歩兵の数だけを見ると、イギリスは防御側とは思えないほど圧倒的な優勢です。しかしドイツには、イギリスの配置を見てから至近距離に置ける巨砲が多くあります。さらに最強のティーガーIIが6両もあって、57ミリやPIATなど正面からでは全く効きません。そして最も厄介なのが、4つの勝利条件の内2つを守らなくてはならないので、イギリスは全軍を1か所に集中する訳にはいかないことです。そのためイギリスは戦力差だけを頼みに戦っても勝てなさそうで、どう配置してどう戦うか難しいシナリオです。
まず東側の2つの勝利条件については、至近距離から砲で撃たれまくるので守り切るのは無理。そこでイギリスはここを捨てて、西側のたもとブロックと司令部を守ることにします。しかしこの2つだけに集中した場合、いきなり片方を包囲集中攻撃される危険があります。そこでイギリスはそれらを最終決戦場と想定しつつも、多少の損害を覚悟でその外縁にも前衛を置いて、攻撃されなかった方の部隊が他方に駆けつける時間を稼げるようにしました。
これに対しドイツは全ての砲と戦車を東側に並べ、優秀指揮官を含む過半の歩兵を西側に置きました。第1ターン、ドイツ軍は薄いイギリスの前衛を破り、順調に前進します。すると司令部にいたフロスト中佐の鬼神スタックは、西側の救援に駆けつけます。この間にドイツは迫撃砲を一つ壊してしまいました。

(下が南、赤で囲まれた所が勝利条件)
第2ターン、ドイツは東側で前進を続け、校舎付近では隠匿の対戦車砲とPIATを発見しますが、そのPIATはやられる直前にティーガーIIを走行不能にしました。また西側のドイツ軍は、フロスト中佐が強すぎるので、追い詰めたイギリス分隊を諦めて後退します。しかしフロスト中佐の方も、ドイツの−2指揮官2人を攻撃するのは無謀なので、西側ドイツ軍と司令部の間の位置に留まります。
第3ターン、ドイツは移動制限が解けます。まず盤外砲を落としましたが、地下室は固くて効果なし。次に走行不能のティーガーIIが撃つとこれが故障。しかし途中に大きな障害は無いので、ドイツは気にせず東西から橋のたもとのイギリス軍拠点に向けて全軍を進めます。すると河の脇に隠れていたイギリス分隊が、PIATでティーガーIIを背後から撃って炎上させました。さらに橋の上のトーチカにいたPIAT分隊も、橋をくぐって進んできたティーガーIIを走行不能にします。
そしてターン後半には、建物に隣接していたもう一両のティーガーII側面に、イギリス分隊が隠ぺいのまま爆薬を設置しようとします。これに対してティーガーIIは、射撃によって車体ごと正面を向いて爆発に備えます。それから西から迫るドイツ軍に対しては、フロスト中佐が間に入って阻止しに行きます。また分解した迫撃砲を持って移動中だったドイツ操作班が、橋の下で撃たれて混乱しました。
そして発破の時間。と言っても正面を向かれているので、位置DRで4以下を出して上面装甲への攻撃にならなければ、ティーガーIIには効きません。ところがこれがまさに4。ティーガーIIはまた1両破壊されます。
第4ターン、ドイツは盤外砲の無線機が故障。最初に動けなくなったティーガーIIの砲は直ったものの、一所懸命人力移動中の105ミリ野砲は1つが故障中です。そしてイギリス陣地正面に進んだティーガーIIが、地雷にはまってまた走行不能。さらにドイツ歩兵は橋の上のPIAT兵を倒しに進みますが、PIATはやられる前の最後の一太刀で、走行不能だったティーガーIIを9−2戦車指揮官ごと炎上させます。
なんということ。たった3ターン半で、大した対戦車装備も無いイギリス軍が、6両のキングタイガー様の内5両も破壊・走行不能にしてしまいました。しかも盤外砲の無線機も故障中で、まともに撃てるドイツの砲は人力移動中の1門しかありません。
歩兵数ではイギリスが圧倒的に勝る所を、ドイツは強力な戦車と砲で何とかしなければならないのにこの惨状。勝つ可能性はゼロではないものの、ドイツは気力が尽きて投了です。

(ピンクダイヤは、36火力−3のフロスト中佐鬼神スタック。真ん中の戦車と地雷は橋の下。)
対戦車攻撃の運で結果的には勝ったものの、イギリスが2つの勝利条件を両方守るのはなかなか難しく、戦力差ほどドイツは苦しくないように思えます。もしかするとこれは、久々に10%以上の優勢を覆しうるシナリオなのでしょうか?後日もう一度やってみることにします。
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