タワーリング・インフェルノ
 
 今日のSword & Fire: ManilaはSF10 High Rent Hooligans マンションのごろつき。同じ場所の前日の戦闘を扱ったSF8と、攻防の場所が入れ替わっていて、何が起こったのか説明もなく意味不明ですが、前日に取った高等弁務官事務所の東側にある(日本で言う所の)マンションやホテルの区画をめぐって争います。7.5ターンの終了時に区画ごとの支配VPが日本より多ければアメリカの勝利で、レベル数がVPになり地面以下は0.5VPです。雨が降っています。
 守る日本は14個分隊と火炎放射器1、爆薬1、25LL(6)対空砲2門、鉄条網2、塹壕4、要塞化2を東側に配置します。
 そして攻めるアメリカは、エリート17.5個分隊と余剰操作班1、火炎放射器2、爆薬2、105ミリ榴弾シャーマン1両、75ミリシャーマン2両、37LL装甲車1両、ハーフトラック1台を、西側の高等弁務官事務所付近に配置します。
 さて日本軍の守る建物群は高等弁務官事務所から少し離れており、間には撃たれやすい大通りがありますが、これは高火力市街戦と見ていいのかどうか。分からないのでまず高火力市街戦と見て、劣勢となる日本軍の戦力を増やしてやってみます。
 子供が日本、私がアメリカです。


 建物グループごとにVPを数えてみると、アメリカ軍正面のベイヴュー・ホテル周りは38.5VP、その奥のミラマー・アパートメント周りは22.5VP、正面北側のペラルタ・アパートメント周りは30VP、その奥サンルイス・テラス・アパートメント周りは24.5VPありました。
 するとアメリカがVP最大のベイヴュー・ホテルを放置すると、かなり広い範囲を取って回らなければならず、その間高層階から撃たれて移動は難儀することになります。そのため戦いはベイヴュー・ホテルが焦点となるでしょう。

 日本はベイヴュー・ホテルとペラルタ・アパートメントのブロックにほとんどの兵力を分けて置き、後方にも若干の部隊を置いています。−1修正の付く大通りを越えて進むのは危険そうなので、アメリカは戦車と火力スタックをベイヴュー・ホテル前に置いて撃ち、他の部隊は敵から離れた右側を回り込みます。
 すると奥のミラマー・アパートメント3階に隠れていた重中機関銃に撃たれて、迂回したアメリカスタックが混乱しました。またベイヴュー・ホテル裏側も、鉄条網、塹壕、対空砲で固められています。さらに後半アメリカスタックの中機関銃が3丁同時故障。
 第2ターンもアメリカは攻撃を続けますが、大雨で建物への射撃は効かない、しかしアメリカ部隊の移動は機関銃に撃たれる。ちょっとアメリカどうにもならない感じで投了。

 やはりここは建物の間が広く大通りが接近の障害になるので、市街戦とは考えず高火力補正はやめます。


 高火力市街戦でなければ、予想勝率はシナリオそのままでアメリカ46%と良いバランスなので、今度は戦力調整せずにやってみます。
「日本軍がさっきより少ないなら、正面力押しで行けるんじゃない?」アメリカは全戦力を高等弁務官事務所に集めると、ベイヴュー・ホテルに猛射を加え、半個分隊をいくつか脇の建物に送り込みます。
 第2ターン、アメリカはさらに射撃を繰り返しますが、大雨と要塞化に阻まれて戦果は僅か。ホテルに向かった半個分隊も撃退されました。日本はホテルに援軍を送り込んできます。

(下が西)

 第3ターン、さすがにアメリカの火力が強過ぎて、日本は前面から戦力を引き揚げたので、アメリカはホテルに大規模な戦力を進めます。するとホテル3階に火炎放射器が隠れていて、目の前まで進んだアメリカ中機関銃スタックが大混乱。それでもアメリカ軍は数を頼みに、ウミガメ戦術でホテルへ食い込んで行きます。
 第4ターン、アメリカは全戦力をホテルに近づけ、左右にも回り込んでホテルを攻撃。射撃、爆薬、火炎放射器、白兵戦、全ての手段を用いて日本軍に打撃を与えます。しかし要塞化と地下室のある石造高層建物に火炎放射器を持って籠られると、半個分隊がほぼ即時回復する日本軍はなかなか減りません。そしてやっと要塞区画を奪取しても、火炎放射器にTEM無しで撃ち返されるので、維持するのも困難です。
 第5ターン、日本軍は少しずつすり減ってはいるものの、塹壕で繋がった後方建物の予備もいて、建物全体の制圧はいつになることやら。アメリカはこの建物を落とした上に、さらに他の建物を落としに行く時間も必要で、もはや明らかに間に合わないので投了しました。



 これはSword & Fireでの日本軍の強さが特に強く出たシナリオです。高層建物、全へクスに階段のある地下室、要塞化、火炎放射器、塹壕連結を上手に組み合わせることで、アメリカ人にとっての地獄になりました。このSword & Fire: Manilaは、他とは全然様相の異なる戦いを提供する、傑作モジュールと言っていいでしょう。

 
インデックスへ